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发表于 2004-3-16 23:00:00
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激动ing。非常好的网站,奖励楼主7咖啡豆。
比较喜欢陸游的这首词。
《釵頭鳳》
紅酥手,
黄縢酒,
滿城春色宮牆柳。
東風惡,
歡情薄。
一懷愁緒,
幾年離索。
錯,錯,錯。
春如舊,
人空痩,
涙痕紅鮫透。
桃花落,
閑池閣,
山盟雖在,
鍟y托,
莫,莫,莫!
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釵頭鳳
紅く 酥(やはら)かき 手,
黄縢の 酒,
滿城の 春色 宮牆の柳。
東風 惡く,
歡情 薄し。
一懷の 愁緒,
幾年の 離索。
錯,錯,錯!
春 舊の 如く,
人 空く 痩す,
涙痕 紅(あか)く (にぢ)みて 鮫(ハンカチ)に 透る。
桃花 落ち,
閑かなる 池閣,
山盟 在ると 雖も,
鍟 ⊥肖贰‰yし,
莫,莫,莫!
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◎ 私感註釈
※釵頭鳳:詞牌の一。詳しくは下記の「構成について」を参照。
この詞は、内容の深刻さに衝撃を受ける。凄い詞である。
青年陸游の有名な逸話だが、彼は妻唐を愛して睦まじく過ごしていたが、妻と、しゅうとめに当たる陸游の母との折り合いが悪く、妻と別離させられた。その別れた妻とある日、偶然に沈園で出会った。その後も激情已むことなく、沈園の壁にこの詞を書いたという。なお、この詞を後に(元)妻唐の知るところとなり彼女も詞を和して応えたという。その作品とこの詞と両方見ると、万感胸に迫る。
この詞の押韻は入声韻であり、他の声調とは異なって、中国語の中で、一番強烈な響きを持っている。若い作者の叫びである。
※紅酥手:ピンク色に染まった柔らかい手。紅:(白話)血色の好い皮膚の形容。酥:(白話)ふっくらとして柔らかい。形容しとして使われている。「紅酥點出牡丹花」や「鈿頭雲映褪紅酥」という風に、やはり少し艶な感じを持ったところに使われている。名詞:バター、チーズ等の乳脂肪を固めたもの。
※黄縢酒:黄色の紙で封をされた酒。宋代の官酒には黄色の紙で封をしたからいう。縢:封鎖する。封をする。滕ではない。
※滿城春色:城内(=市内)一面が春景色。城:城郭内の都市。都市。
※宮牆柳:宮殿の壁沿いの柳。もしも宋代の宮殿の壁が濃い紅(代赭色)の色をしていれば、柳の緑に紅が映えたことだろう。なお、当時、既に紅い壁があったことは唐の李商隠や宋の晁補之の作品に「紅牆」が出てくることから分かるが、それが宮殿の壁かどうかは分からない。牆:壁。
※惡:わるい。みにくい。ここは、声調から見る限りでは「にくむ」の意味はない。この悪字のところは韻脚で入声韻のところ。入声韻は漢語(中国語)韻でいうより日本語韻で見る方が分かりよいので、以後のこの文では、日本語韻を使う。
悪字は多音字で入声と去声。入声は「あく」で「わるい、みにくい、(体調が悪くて)むかつくかんじ」。去声は「う、を」で「にくむ、副詞いづくんぞ」。それ故、ここでは、入声の方の意味で「わるい、みにくい、胸が(体調が悪くて)むかつくかんじ」になる。
ただ、注意を要するのは、現代漢語(中国語)とは意味にねじれが生じている部分があることである。日本語韻入声は「あく」で「わるい、みにくい、(体調が悪くて)むかつくかんじ」。だが、漢語韻入声系統はe4で、「わるい、みにくい」。漢語去声韻系統wu4で、「にくむ」。漢語去声韻系統wu1で「副詞いづくんぞ」となり、きちんと対応しているものもあれば、一部分が対応しているものなどがある。
ここで違ってくるのが「むかつく」という意味の分類は、日本語韻では去声韻だが、漢語韻ではe3で、入声韻の音韻変化の系列に属していることである。
はてさて、日中どちらの方がより祖形に近いのか。
※東風惡:春風がわるい。東風:春風。惡:わるい。にくむ。王建の「春去曲」「春已去,花亦不知春去處。縁岡繞澗卻歸來,百回看著無花樹。就中一夜東風惡,收紅拾紫無遺落。老夫不比少年兒,不中數與春別離。」は、春風の意で使っているが、陸游の意味は、「母親」の意味で使い、若い夫婦の仲を裂いた母の行為を「荒れる春風」として表現している。
※歡情薄:歓びの思いが薄かった。二人が夫婦として楽しく過ごした期間は短かった。
※一懷:ひたすら胸に抱き思ってきた。
愁緒:さびしい(離別の)心情。
※幾年:どれだけの。どれだけ(逢わずにいたことだろう)。
※離索:離別。別居。柳宗元「屏居負山郭,歳暮驚離索。」や白居易 「…兩地湛蓱z,其奈久離索。」にある。
※錯:間違っている。正しくない。
※錯,錯,錯:間違っている、おかしい、まちがっているっ!!!!!これは、若き陸游の叫びである。詞の意味の流れから見ていくと、「(東風惡,歡情薄。一懷愁緒,)幾年離索」ということは、「錯,錯,錯!」とも読める。
※春如舊:春の訪れは旧来のままである。
※人空痩:人は空しく痩せてしまった。前の句「春如舊」と対になっており、自然の営みは毎年変わることが無く、穏やかな春も昔ながらの様子でやってくる。それに引き比べて人の方は、変化が激しく、空しくやせ衰えてしまった、という天人の比較をしている。
※涙痕:涙のあと。
※紅:(頬紅が涙で流れて)紅く。
:ひたす。うるおす。(涙が頬紅を流して、ハンカチに)滲み(透り)。
※鮫:詞では「涙を拭くためのハンカチ」の意で使う。南海の鮫人が織った絹のハンカチ。
※透:にじみ出る。
※涙痕紅鮫透:涙が頬紅を流して、ハンカチに紅く滲み出てきた。
※桃花落:桃の花が散る。
※閑池閣:静かな池の畔の建物。この中に二人がいたのか、作者のの目にこの建物の物静かな様子が映ったのか。さて。
※山盟:男女の深い契りの比喩。千載不磨の誓い。山盟海誓、海誓山盟のこと。
※雖在:…が存在しているとは雖も。まだ、正式の離婚してはいないものの。
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※難托:託し難い。委託しにくい。手渡しにくい。彼女はもう人妻となっているので、手紙も渡せない、ということ。
※莫,莫,莫:だめだ、だめだ、だめだ!!あってはならない!やめた、やめた!終わりだ!等となる。莫:否定、禁止の語。
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