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原文:
志賀(しが)の浦や遠ざかりゆく波間(なみま)より氷りて出(い)づる有明(ありあけ)の月。
――藤原家隆(ふじわらのいえたか) 巻六.冬歌.六三九
现代口语译文:
志賀の浦よ、(その浦では岸から沖の方へ、次第に凍ってゆくので)立つ波もだんだん岸から遠くなってゆくが、その波の間から凍りつくばかり寒々(さむざむ)とした様子で出てきた有明の月よ(何と寒々と身にしみることよ。)
向海远去志贺浦 浪间浮冰映晓月
原文:
旅人(たびびと)の袖吹きかえす秋風に夕日寂しき山のかけはし。
――藤原定家(ふじわらのさだいへ) き旅歌.九五三
现代口语译文:
吹く秋風に袖をひるがえしながら旅人が通ってゆく。夕日が寂しく照らす山の桟道(さんどう)を。(実に寂しい風情だなあ。)
旅人衣袖秋风动 山间栈桥映斜阳 |
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