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経済あっとらんだむ

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发表于 2003-12-12 23:00:00 | 显示全部楼层 |阅读模式
  
http://www.tbs.co.jp/newsi_sp/keizai/

このコラムの作者:

斉藤 満(UFJつばさ証券チーフエコノミスト)

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 楼主| 发表于 2003-12-12 23:00:00 | 显示全部楼层


米景気絶好調下のドル安 (2003.12.10)

  米国のGDPが7-9月期は年率8.2%と、主要国の間で最も高く、しかもこの間の生産性上昇率が9.4%で、過熱によるインフレも当面心配ない理想的な形となった。にもかかわらず、ドルが全面安を続けており、下落に歯止めがかからない。11月の雇用者数が5.7万人の増加と、期待はずれに終わり、中国の銀行がドル資産を処分売りした、と報道される。9日開催のFOMCでは、デフレ懸念こそ後退したものの、「相当の期間、緩和は維持できる」との時間軸文言が外されず、利上げの後ずれを思わせる結果となった。これらで一段とドル安が進み、ドル円は一時106円台をつけた。日欧と比べて圧倒的に景気のパフォーマンスが良い米国のドルが、いつまでも下がり続けるはずがない、との見方も苦しくなっている。

  もともと景気と為替の因果関係は乏しい。端的な例が、バブル前後の日本経済とドル円の動きに現れていることは、以前紹介したことがある。つまり、日本がバブル下で絶好調の時に、ドル円は円安が進み、逆にバブルが崩壊し、日本経済が沈み込む過程で、しかも米国が長期繁栄に向かう中で、ドル円は80円割れを見るような円高となった。では、絶好調経済のなかで、なぜ米ドルが下げ続けるのか。経済、外交両面に要因がある。

  まず、景気がよい裏返しで、経常赤字が増え、ドル売り圧力が高まってしまうことだ。これまでのドル安もあって、輸出が増えるようになっているが、それ以上に内需の高まりによって輸入が増えるためだ。これから大統領選挙戦が本格化するにつれて、輸入減らしのための景気抑制は不可能だ。むしろ、イラク統治などのために追加した財政支出の効果がこれから現れ、先の減税効果が春の税還付時に現れる。住宅需要も大都市圏ではバブル的な住宅投資も指摘され、現在の金利コストでは抑制しきれない。これら内需の好調を考えれば、米国の経常赤字は、これからもう一段拡大する可能性のほうが高い。

  この赤字に対する調達額が拡大しそうな中で、米国への資本流入がむしろ縮小傾向にある。これは、高い生産性上昇率などの経済成果を打ち消すだけのマイナス要因が生じていることを意味している。その一つが外交問題だ。

  イラク統治は泥沼化し、産油国の中でも投資家として大きな役割を演じてきたサウジアラビアが、最近ではロシアに接近している。全般に、アラブ産油国と米国との関係悪化から、オイルマネーのドル離れは修復されていない。

  また米国は欧州諸国にやや歩み寄りの姿勢を見せているが、欧米との間には依然として大きな溝が横たわる。ドイツのシュレーダー首相は、ロシアのプーチン大統領に、原油輸入代金のユーロ建て支払いを持ち出し、ロシアはこれを否定しなかったと言われる。石油の支配力を高め、ドル・石油本位制を進めようとする米国には大きな打撃だ。実際、原油取引がドル建てから一部でもユーロ建てになれば、それだけドル需要が低下し、ユーロ買いが進む。

  ドル安が進めば進むほど、ドル資産を保有する海外投資家の為替差損は大きくなる。ドルはユーロに対して、ピークから既に30%あまり下落している。これをカバーするだけのリターンをあげている投資物件は限られている。これからドル安が進むたびに、ドル安がドル資産売り、従って株や債券の売りを伴ったドル売りが生じる可能性が高まってくる。ドル下落に歯止めがかからないと、ドル円単独の介入にも限度がある。1ドル105円は通過点に過ぎない。
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 楼主| 发表于 2003-12-12 23:00:00 | 显示全部楼层
ドル安で原油、金高 (2003.12.10)

  先のOPEC総会では、減産決議こそなされなかったものの、ドル下落による実質的な手取り収入減少をかなり意識し始めたことは間違いなさそうだ。ドルの下落は、それだけ原油価格に上昇圧力をかける。実際、WTIはまた32ドル台にまで戻している。

  かつて2度の石油ショックを経験しているが、当時、OPECが値上げに出た背景として、「OPECの3方程式」というものが示された。これは、原油価格を決める要素として、3つのことが意識されていることを世に示した。3つとは、つまり「世界インフレ」、「世界成長率」、そして「ドル価値」だ。

  具体的に言えば、世界のインフレ率が高まれば、原油価格を引き上げないと、相対価格が低下してしまう。世界景気が高まり、石油に対する需要が高まれば、これも価格を引き上げる要素になる。そして最後に、石油の輸出収入をドルで得ているだけに、ドルの価値が減価すれば、手取り収入が減ったことになり、価格引き上げてその分をカバーしなければならない。73年の石油ショックでは、これら3つの方程式が、石油価格の引き上げを求める形となった。

  今日の状況は、世界インフレこそ回避されているが、世界景気が米国主導で回復下にあり、そしてドルが大幅な下げを見せている。OPECは、石油のバスケット価格を22-28ドルのレンジで管理しようとしている。このところは、この上限価格を上回り気味で、本来であれば増産して、価格の安定を図るところだが、あえて放置している。そこにはドル安による実質価格の低下を補填する意図が見られる。

 
  金も同様だ。2年前には200ドル台にあった金価格は、既に400ドルを大きく超えている。金は商品としての性格のほかに、通貨としての機能がある。そして、ペーパー・マネーの価値が揺らいだときに、「絶対的価値を備えた通貨」としての金に、資金が逃避する。ペーパー・マネーの価値が揺らぐケースとは、戦争、内乱によって、ペーパー・マネーが否定されるような場合、インフレで紙幣の価値が減価する場合、それに、ペーパー・マネーの代表であるドルの価値が下落する場合だ。

  今日では、中東の戦乱が続き、しかもドルが大きく下落し、これらがペーパー・マネーの信認を揺るがしている。更に、このところの原油高、金高には、米国がキー・カレンシーたるドルの信認を確保したいがために、世界の石油資源や金の支配力を高めようとの動きも指摘される。その一つが、石油・ドル本位制、の考え方だ。それ以前にも、米国はグリーンバック(ドル)の信認を得るために、金の裏づけや、コモディティ・バスケットによるドル・サポート案も検討していたことがある。

  日本では、2005年春からのペイ・オフ実施が、預金から金への需要シフトをもたらしている面がある。これは、円という通貨への不安というより、制度的に1千万円以上の預金が保護されなくなることへの備えという面が強い。石油や金価格の上昇は、基軸通貨ドルや擬似通貨の信認に黄色信号がともったことを示唆している。
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发表于 2003-12-15 23:00:00 | 显示全部楼层
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 楼主| 发表于 2003-12-21 23:00:00 | 显示全部楼层
フセイン後の中東情勢 (2003.12.17)

  「フセイン元大統領拘束」の報を受けて、週明けの市場では、一時株高、債券安、ドル高、原油安の反応が見られた。中東、あるいは世界経済にとって、一つの「不確実要素」が排除され、米国の負担が軽減される、との評価になったようだ。しかし、これらの反応は、いずれも短命に終わり、すぐに「フセイン氏拘束」前の状況に戻ってしまった。これに大きな期待を寄せるわけにもいかない、との判断が優勢だったようだ。拘束された状況からして、イラク内外でのテロ事件を、彼がリードしていた形跡は見られない。少なくとも、反米活動やテロの源が排除されない限りは、これまでと状況はさして変わらない、ということだ。


  9.11テロ以降、米国がタリバン政権のアフガニスタンからイラクへと攻撃の的を広げていったのは、「中東に民主政権を築くため」とは考えにくい。現に、タリバン政権を倒した後のアフガンに、いまだ民主国家は訪れず、むしろ荒廃が進んでいる。それよりも、米国のエネルギー支配戦略、石油・ドル本位制の推進と、イスラエルの中東支配拡大路線とが手を組んだ、と見るほうが自然だ。この流れの中では、フセイン氏は、かつて石油取引をドル建てからユーロ建てに変えようとしたために、米国から排除された面がある。その限りでは、彼がイラクの石油資源に対して影響力を失ったこの春の時点で、決着していたはずだ。


  先週も紹介したように、米国の石油戦略という点では、既にレームダック化していたフセイン氏の存在よりも、ブッシュ大統領の盟友、プーチン・ロシア大統領と、独のシュレーダー首相との間で交わされた「ロシア石油の取引をユーロ建てに」の話のほうが、はるかに大きな問題だ。そのロシアは、「新軍事ドクトリン」を示して、ブッシュ・ドクトリンに対抗しようとしている。表向き友好関係をみせる米露だが、その裏で、石油をめぐる抗争が進み、原油相場が不安定化する懸念もある。

  また、イラクの混迷をよそに、シリアやイランにも不安要素が飛び火する懸念がある。中東全体の不安定化は改善するどころか、むしろ事態が悪化していると見たほうが良い。これがまたイラクにも波及する。イラクへの米国駐留を快く思わないグループは少なくない。



  フセイン氏の拘束を「中東平和の前進」と受け止めるわけにはいかない。日本が自衛隊をイラクに派遣すれば、これまで以上に大きなリスクにさらされる。派遣された自衛隊員の「戦死」リスクばかりか、国内テロで犠牲者を出すリスクもなお排除されない。そうした事態に際して、小泉政権はどのような対処を見せるのか。その結果如何では参院選での自民敗北など、政権が揺らぎ、それが株価や景況感を冷やすことにもなりかねない。
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 楼主| 发表于 2003-12-21 23:00:00 | 显示全部楼层
「短観」と景気の先行き (2003.12.10)

  先週発表された日銀「短観」を巡って、景気の先行き判断が分かれている。「製造業の景況感は今がピークで、3月は下降する」点や、「企業収益も下期は下方修正されている」点を重視すれば、景気の先行きは悲観的になる。しかし、今回の「短観」は、もう少し強めに見てよいのではないだろうか。

  まず、9月以降対ドルで円高が進んだが、足元の輸出はむしろ上方修正され、製造業の景況感は大方の予想を超えて、大きく改善した。3月に向けて景況感の低下、企業収益の下方修正をもたらしている要因として、円高がありそうだが、輸出そのものは上方修正されている。輸出採算が悪化しやすいことは確かだが、足元の動きを見ると、今後輸出が減らずに、ある程度価格転嫁すれば、収益も拡大を続ける可能性がある。円高といっても、ドル円以外では円高ではなく、実効レート・ベースでは、輸出の足を引っ張るほどの円高ではない。米国景気自体が冷え込まなければ、アジア経済の拡大が維持され、そこに半分近く輸出している日本も、引き続き輸出を増やすチャンスがある。



  また、製造業の在庫が圧縮され、在庫循環の視点で現状を位置付けると、再び「回復局面の若い段階」に戻っている。「短観」でも、流通在庫の過剰感が軽減されている。そのもとで製造業の景況が悪化するとすれば、よほど急速な需要減少に見舞われるケースとなるが、目下のところ、こうした事態は想定しにくい。

  一方、非製造業の動きを見ると、こちらは徐々に景況が改善する形で、反動が懸念されるような急速な、あるいは浮ついた形になっていない。雇用や設備の過剰感も徐々に改善している。こちらにも反転下降を示唆するような要素は見られない。

  米国発のドル安・円高傾向はしばらく続くと見るが、それでも日本の景気回復基調はすぐには崩れないだろう。日本の輸出は、価格弾性値が小さい反面、所得弾性値が大きい。だから、多少円高で価格条件が不利になっても、海外の需要があれば、輸出の拡大が維持できる構造になっている。

  その点、米ドル以外の通貨に対しては必ずしも円高でないことは上述のとおりだが、更に通貨当局は、通常国会で為替介入枠を大幅に拡大し、ドル買いを強める構えだ。その分、他通貨に対しては円安になりやすい。だから、全体としてみれば円高のマグニチュードは大きくない。しかも、海外の需要は足元堅調で、その中心にある米国では、11月の住宅着工が急増し、生産も前月比0.9%もの大幅増となった。しかもコアの消費者物価は0.1%の下落となっているから、政策的にブレーキを要する状況にはない。大統領選挙を考えれば、少なくとも党大会を開く夏場までは景気を冷やすわけにもいかない。そうであれば、アジア経済もしばらくその恩恵を受け、拡大が持続しそうだ。欧州景気も、遅ればせながら回復軌道に仱恧Δ趣筏皮い搿=Y局、輸出は増加を続けて、収益も最後には上方修正されるだろう。

  在庫循環の視点から見ても、予想以上の在庫圧縮が進み、景気は再び回復の若い段階に戻った。それだけ生産の拡大が持続しやすい。需要の急減に見舞われても、一旦は在庫がクッションになる。この面からも、景気はまだしばらくピークを向かえるような状況ではない。

  日本経済のリスクとしては、当面、経済内部のアンバランスよりも、むしろ前項で見たような国内政治の動揺が懸念される。
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 楼主| 发表于 2003-12-27 23:00:00 | 显示全部楼层
介入枠140兆円と日米同盟 (2003.12.24)

  為替介入を継続強化するために、介入資金調達のための為券発行枠を、現行の79兆円から一旦100兆円に増額し、来年度分については、更に140兆円に増やす、と報じられた。現在の発行額のほぼ倍に枠を引き上げよう、ということで、裏を返すと、外貨準備高が現行水準の倍くらいになるまで、ドルを買い上げることが出来ることになる。当局の間にも、ドルの暴落は回避したい、米国の赤字ファイナンスに協力しなければならない、との思いが高まっているようだ。



  一見、危機回避のためのセーフティ・ネットのように見えるこの措置にも、いくつかの問題が内包されている。主だったところを以下に示す。

  まず、米国債を買うのは良いが、売るに売れないことだ。介入で買ったドルは、その後ほとんどの場合、米国債の購入に充てられる。ブッシュ大統領は来年の大統領選挙もあって、金利の動きに神経質になっている。特に米国の長期金利が大幅な低下を見せ、ここまでの住宅投資をはじめとする景気拡大に大きく寄与した、と見ているだけに、日本の米国債売却で長期金利が上昇する事態を強く危惧している。


  次に、ドル買い介入にもかかわらず、円高ドル安が続くと、巨大なドル資産をもつ日本の外為特会が、大きな為替差損を被り、結局日本の納税者の負担となることだ。外貨準備のうち、ドル資産が5千億ドルあれば、わずか2円の円高で、1兆円の為替評価損が出る。ドル資産が1兆ドルに膨れ上がれば、1円の円高でも1兆円の損が出る。10円も円高になったら、納税者の負担は甚大だ。実際、少し前までは、120円水準を防衛しようとして、ドル買い介入をしていたが、そこから既に10円以上も円高になっている。

  もう一つの問題は、日本のドル買い介入が、かえってドルの調整を長引かせる可能性があることだ。ドル安の背景には、経常赤字の大きさの割に、資本が米国に入ってこないことがある。イラク戦略への不信感、反米活動、テロリスクなどがあって、ドル資産が従来以上に買いにくくなっている。従って、ドル資産をディスカウントしないと、なかなか売れない。ドル資産のディスカウントとは、米国株や債券相場の下落か、交換レート、つまりドルの引き下げによってなされる。

  そこへ日本が巨額の為替介入を行い、その資金で米国債を買うと、米国債の値引きどころか、その値上げに寄与し、裁定関係から株価も押し上げやすい。そうなるとドルが下がらない限り値引きにならず、投資家は新たにドル資産を買えなくなる。そのドルも、日本が買い支える。これではいつまでたってもドル資産の値引き販売が出来ない。

  その分、米国の経常赤字を縮小させたらよいのだが、日本の米国債買いによって、米国長期金利が低く押さえられ、そのために株価も堅調なため、米国景気にブレーキがかからない。そうなると輸入も減らず、従って経常赤字も減らない。

  残された手は、オイルマネーや欧州の投資家と関係改善を図り、割高なドル資産でも買ってもらえるようにすることだ。しかし、そこでは「ブッシュ・ドクトリン」が邪魔になる。
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 楼主| 发表于 2003-12-27 23:00:00 | 显示全部楼层
マネーサプライ目標は時期尚早 (2003.12.24)

  インフレ・ターゲットの導入にてこずる政府には、戦略転換して今度はマネーサプライ・ターゲットを導入しよう、との動きが見られる。しかし、今日の日本においては、インフレ・ターゲットの導入以上に難しい目標設定と考えられる。

  かつて、米国ではFRBのカリスマ議長といわれたP.ボルカー氏が、果敢にもこのマネーサプライ・コントロールに挑戦し、見事に敗退した。79年の10月6日と記憶するが、ボルカー議長はインフレ・マインドを抑制するために、突然、従来の金利目標策から預金準備のコントロールに切り替え、マネーをコントロールしようとした。金利は突然20%に跳ね上がったかと思えば、翌日には5%に下落する、と言った具合に、金融市場は突然混乱に陥った。この荒療治の結果、その後インフレは次第に終息してゆくのだが、当局は日々のマネー・コントロールの困難さに疲弊し、いつしか金利コントロールに戻さざるをえなくなった経験をしている。



  今日の日本は、当時の米国とは別の困難に直面している。米国市場が「強すぎる風の中で、凧がうまく上げられなかった」のに対して、今日の日本は「風がなくて凧が上がらない」状況にある。だから、ボルカー議長やグリーンスパン議長のような名人をもってしても、凧は上がらない。

  日銀の指令に対して、現実にマネーを創出する役割は民間銀行に委ねられている。その民間銀行が、マネーの源である資産を拡大しにくくなっている。例えば、マネー創出の最大の柱となる貸出が難しい。ここには少なくとも三つの壁がある。

  第一に、地価の下落で新たな不良債権が発生しやすくなっている。担保不動産の価格が引き続き下落しているため、放っておくと、保全されない「裸の債権」部分が大きくなる。そこに「ディスカウント・キャッシュ・フロー」を持ち込むと、返済期間が長くなってしまう。そうすると、従来「正常債権」であったものが、不動産担保の減価によって「要注意先債権」になる面があり、引当コストが高まる。時限を切られて不良債権比率を半減させ、かつ自己資本比率を維持せよ、ということになると、なかなか貸出を増やせなくなる。

  第二に、企業の債務圧縮傾向が続いており、かつ大企業では潤沢なキャッシュ・フローのなかで、外部資金への依存が低下している。このため、依然として資金需要は低迷している。

  第三に、公的金融も含めてみると、貸出市場が今なおオーバー・レンディングの状況にあり、クレジット・コストに見合った金利設定が難しくなっている。また、大手銀行では市場金利連動型の貸出金利設定が多くなっているが、日銀によるゼロ金利政策と、時間軸効果によって、短期の市場金利もほぼゼロとなっている。つまり、これに連動した貸出金利も低位で推移し、ここでもクレジット・コストをカバーするだけの金利設定が難しくなっている。

  こうした状況では、銀行による貸出の増加は困難で、その分、国債保有等、政府向けの信用が増えることである程度マネーを供給してきた。しかし債券相場が不安定になれば、この面からのマネー創出も難しくなる。こうした市場構造を改善しないまま、マネーサプライ・ターゲットを設定しても、日銀や民間銀行に圧力をかけるだけで、成果をあげる可能性はきわめて低い。ひいては、政策当局のクレディビリティを問われることにもなりかねない。
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 楼主| 发表于 2004-1-11 23:00:00 | 显示全部楼层
日本の景気は青信号 (2004.01.07)

  地方経済の疲弊は続くが、全体としてみると日本の景気は、足元「青信号」が灯っている。もっとも、昨年末に発表された指標の中では、生産が市場予測を下回り、出荷の減少で在庫が大きく増えた。加えて、前年比でも需要を反映する出荷の伸びが、生産の伸びを下回る「拡大後期」の形となったことから、一部に「失望」や「息切れ」との声も出た。しかし、数字に反して生産の実勢は強く、11月単月の「形」にこだわることはなさそうだ。

  当面の景気を楽観的な方向に修正した理由の一つに、在庫循環の若返りがある。一頃、需要の伸び悩みの中で在庫が積みあがり、出荷の伸びが生産を下回るような局面、つまり在庫調整局面に入りかけていたのが、夏場以降予想以上に輸出が伸びたため、出荷が急増して在庫の調整が大きく進んだ。


  これが11月の生産で早々に崩れるというのも不自然だ。実際、10月、11月を均してみると、依然として出荷が生産を上回る「若い段階」にある。予想を下回ったとはいえ、10-12月の生産は、前期比年率で15%前後のスピードにあり、続く1月の生産も、ここから更に年率10%近い伸びが見込まれている。在庫が重たくなっていれば、ここまで強気の生産計画にはなるまい。供給サイドの指標としては、もう一つ、第三次産業活動指数、全産業活動指数の10月分がやはり強く、10-12月のGDPが供給面から見るとかなり高いものになる可能性を示唆している。

  需要サイドでは、輸出が強い。10月、11月の輸出数量を均してみると、7-9月期から更に伸びを加速している。純輸出でもGDP成長にはっきりとした寄与をするだろう。GDPの半分以上を占める個人消費も堅調だ。家計調査の勤労者世帯でみると、冷夏の影響で7-9月が前期に比べて実質で若干マイナスとなった後、10-11月は小幅ながらまたプラスになっている。後は設備投資だが、機械受注が計画どおりに大幅リバウンドを見せれば、10-12月期のGDP成長率が加速することはほぼ間違いない。

  政治面から足を引っ張らなければ、マクロの景気は当面拡大が持続しそうだ。その点、道路行政では「改革」が掛け声倒れとなり、年金改革も国民の負担が増えるだけのものとなっている。せめて、自衛隊のイラク派遣で、日本にテロが起きないよう、万全の体制で臨んで欲しい。
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 楼主| 发表于 2004-1-11 23:00:00 | 显示全部楼层
作られた米国高成長の着地 (2004.01.07)

  一方、表面上は「絶好調」に見える米国経済は、巨大な双子の赤字を抱えて、どういう着地を見るのか、新年の課題だ。その点では、米国経済がいよいよB/S問題を仱暝饯à啤⒆粤⒌膜蕭埓蠼U路に仱盲郡韦ⅳ悉郡蓼烤薮螭收咧г酥Гà椁欷皮い毪坤堡恰ⅴē螗弗螭工蓼欷小ⅳ浃悉晔伽工毪韦ⅳ长欷窃u価は大きく分かれる。最近ではこのうち、前者の自立回復説が台頭してきているが、米国経済は依然として楽観を許さない状況とみる。理由は以下の3点にある。

  第一に、米国経済を押し上げてきた「政策エンジン」が、そろそろガス欠を起こしそうなことだ。個人の減税効果は、春の税還付でもう一度ガソリン補給があるが、限界的には推進力が低下している。04年度の財政赤字が、GDPの5%程度になろうとしているから、ここからの追加支出は容易でない。長期金利低下に伴う「リファイナンス」効果も既に峠を超え、今後はむしろ長期金利が上昇する可能性があって、借り換えのメリットはなくなる。政策的には、年末で切れる減価償却優遇措置を狙った、設備投資の駆け込みが期待される程度だ。

  第二に、米国のバランス・シートは、財政赤字の問題のみならず、民間部門の「過剰債務」が改善されていない。表向きは売上や生産が増えているから、ストックの負債が表面化しにくいが、ひとたびカソリンが切れると、企業や個人の債務が、投資や消費を圧迫することになる。


  第三は、ドル下落の副作用が、景気を圧迫する懸念だ。年が明けて一段とドルの下げが目立つようになっている。日本の大量介入によって、円の実効レートは小幅な円高に止まり、目立たなくなっているが、欧州やカナダ、豪ドルに対しては大幅な下落だ。大きな為替差損がトリガーとなって、ドル資産売りが高まり、結果的に米国の長期金利が上昇し、あるいは株価が下落するリスクが次第に高まってくる。ここでも、欧州などの投資家による売りと、日本の当局による買いの綱引きとなる。特に、海外投資家の売りが集中するようだと、日本だけでは相場が支えきれなくなる。


  9.11テロ以来、米国は「戦時経済体制」のもとに総力を結集してきたが、大統領選挙前にガス欠を起こし、米国経済はピークアウトする懸念が依然として高い。
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 楼主| 发表于 2004-1-11 23:00:00 | 显示全部楼层
ドル安のマネジメント (2004.01.07)

  念には念を入れて、ということか。財務省は為替介入に必要な円資金を調達する為に、外為特会が保有する外債を、日銀に売却することにした。日銀も、「政府の機動的な対応(円売り介入)に必要な円資金調達に応じることが適当」と判断し、これを受け入れた。通常国会で、介入資金を調達するFBの発行枠を大幅に増額する予定だが、それまでの「つなぎ」でもある。

  新年の大きな課題の一つがドル安のマネジメントだ、との認識が広がってきた。ドルがただ静かに下落しているだけなら、米国も、その貿易相手国も、それぞれにメリット・デメリットがあるから、経済邌婴舜螭手д悉悉胜ぁ¥趣长恧ⅴ丧氚菠蠓摔胜毪取樘娌顡pの拡大が、周辺相場にも大きな影響を及ぼす可能性があるだけに、静観していられなくなる。

  前号でも示したように、日本が巨額の為替介入をし、そのカネで米国債を買うと、ドル資産の「ディスカウント」が進まない。その分、為替がドル安にならないと、投資家はドルを買わない。しかも、太陽ドルの下落に対して、惑星の一つに過ぎない円だけ売るから、ユーロなど他の「惑星通貨」がより上昇しやすくなる。ドルはユーロや豪ドルに対して、既に30%以上も下落しているから、ここからのドル安は、欧州や豪州の投資家を中心に、為替差損を一段と拡大する。



  87年秋には、プラザ合意後の大幅なドル安によってドル保有者の為替差損が膨れ上がり、ドル資産の投売りを呼んだ。これが、米国株のクラッシュの一因になっている。ここからのドル安は、こうしたドル資産売りのリスクを大きくする面がある。

  これは、いわば「行過ぎたドル安の副作用」でもあり、そこまで行けば、欧米通貨当局も、協調介入によってドル安を止めようと、行動に出る可能性がある。しかし、それでドル安に歯止めがかかると、今度は日本の介入資金による米国の赤字ファイナンスがしにくくなる。それが債券相場を圧迫し、ひいては米国株を冷やすことにもなりかねない。

  円の実効レートはまだ小幅な円高に止まっている。日本の巨大な介入で海外の投資家をそこまで追い込む前に、ドル資産のディスカウントを徐々に進めて「ガス抜き」するほうが、国際金融市場の混乱回避には良いかもしれない。
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 楼主| 发表于 2004-1-17 23:00:00 | 显示全部楼层
政府は米国債を売却 (2004.01.14)

  財務省は、政府が保有する米国債のうち、5兆円を日銀に売却することとした。為替介入に必要な円資金を調達する為のもので、従来の為券発行枠がいよいよ上限に近づいたための措置と考えられる。19日からの通常国会で、今年度分の増枠(従来の79兆円から100兆円に)を予定しているが、それを待っていられなくなったようだ。言い換えれば、年末から年始にかけて、何兆円もの規模で、円売り介入をしたことになる。



  ここへきて為替介入を一段と積極化している感があるが、その背景には、通貨当局自身、1ドル105円を抜けると、一気に100円まで円高が進む可能性を見ている節がある。また、産業界の声として、105円までなら業績への影響も限定的だが、100円になると甚大になる、との認識が示されたことも何がしかの影響を与えた可能性がある。

  このうち、円高の影響については、円が独歩高になっているわけでなく、ドルに対しては円高ながら、他の通貨に対してはむしろ円安になっているものが多い。特に、ユーロ円は136円に迫り、一時の100円割れの水準から見ると大幅な円安だ。豪ドルも83円に迫り、英ポンドは200円に接近している。このため、円の実効レートは、この1年で見ても2年でみても、10%程度の円高にとどまっている。

  輸出を米国に集中している業界はともかく、欧州や豪州などに分散して輸出している企業にとっては、円高の影響もかなりオフ・セットできているはずだ。

  介入資金を調達する上で、市中からFBで取る場合は、一旦市中から吸い上げた資金を、円売り介入で戻すから、需給的には中立となる。しかし、市中からではなく、日銀の信用供与の形で介入資金を調達し、介入した円を市中に散布すれば、流動性の追加供給となる。3月末までの措置とはいえ、日銀マネーを直接利用した形で介入すれば、結果的に量的緩和の一手段となる。日銀が決定会合で、円高抑制のための追加緩和を打ち出せば、今回の措置がとりあえず活きることになる。うがった見方をすれば、これでなし崩し的に流動性の追加に持ってゆく可能性もないではない。
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 楼主| 发表于 2004-1-17 23:00:00 | 显示全部楼层
依然ジョブレス・リカバリー (2004.01.14)

  米国の雇用増加期待が、12月も裏切られる結果となった。非農業分野での雇用者増加数は、事前の10万以上の増加予想に対して、わずか千人の増加に止まったからだ。一部には大雪の影響やスト、予備役召集の影響などが指摘されるが、これらを考慮しても「失望」を買う数字であった。同時に、10月、11月の数字も下方修正となっており、米国の「ジョブレス・リカバリー」(雇用を伴わない景気回復)を改めて見せつける形となった。



  この他、12月は労働時間も減っており、いわゆる労働投入量でみても、12月は0.6%の減少で、一人あたり賃金(平均時給)の増加率も、前年比2%増にまで減速している。労働生産性が年率10%近く上昇している中で、賃金がこれだけ抑制されているから、単位労働コストは大幅なマイナスとなる。それではインフレにしたくてもなれない。消費者物価の上昇率はまもなく1%をも割り込むだろう。20年ぶりという高成長を謳歌している米国経済と比べてみると、いかにも寂しい内容ということになる。

  なぜこういうことになるのか。そもそもこの統計がおかしい、との指摘もある。この事業所統計こそ「ジョブレス」となっているが、一方の家計調査では、この3ヶ月は平均で27万人増えている形になっているからだ。両者には一長一短があり、自営業者や新規事業を把握できない事業所統計は、往々にして少なめに出る傾向はある。

  統計上の問題はさておいても、足元の雇用の伸び悩みは、恐らく大方の期待に反して、米国の「三つの過剰」問題が、いまだ片付いていないため、と考えられる。最近になって、遅れていた設備投資が増え始め、これに遅れて雇用も増えるようになったから、米国経済もいよいよ「自立回復」に入ってきた、との評価も聞かれるようになった。

  しかし、三つの過剰のうち、企業の債務は依然としてGDPの9割以上もあり、過剰債務は解消されていない。債務だけ過剰で、その裏側にある設備や雇用の過剰だけ解消された、とは考えにくい。恐らく、設備も雇用もまだ過剰ながら、税制面で減価償却の優遇策が時限を切られてとられていることから、これに誘発された投資があり、それに伴って雇用も一部で増えた、ということではないか。今年いっぱいでこの優遇策も切れる。過剰問題が解消せず、政策的なインセンティブによって引き出されたものとすれば、その政策措置が切れると、設備も雇用も、また抑制気味の動きに戻るのではないか。
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 楼主| 发表于 2004-1-17 23:00:00 | 显示全部楼层
伸びないマネーサプライ (2004.01.14)

  日本政府によるマネーサプライ増加要請が高まる一方で、現実の伸びはますます鈍化傾向を強めている。昨年12月のM2+CDの前年比増加率は1.5%と、一段と低下した。年間の増加率も1.7%と、前年の3.3%増から大きく減速した。

  原因は単純だ。民間銀行が、なかなか積極的に貸出を増やせない状況にあるためだ。マネーサプライM2+CDの残高は、日銀と取引する預金金融機関の資産合計に近似する。だから、預金金融機関が貸出資産を増やすか、政府向けの貸出とも言える国債保有を増やすことで「信用創造」が実現し、マネーが増える。このうち、国債保有は増加傾向にあるものの、民間向け信用、とりわけ貸出残高が減少傾向にあるため、全体のマネーが増えにくくなっている。

  政府はマネーサプライの増加を求める一方で、大手銀行に対して不良債権を2004年度中に半減させるよう求めている。不良債権の圧縮は、直接的に貸出資産の減少を呼ぶが、同時に新たな不良債権発生に対しても銀行は慎重にならざるを得ない。現在のように、担保不動産の価値が下落を続ける中では、貸出のうち、保全されない債権部分が大きくなり、借り入れの「返済可能期間」が長期化して、潜在的な不良債権を生み出してしまうからだ。

  不良債権化すれば、引当コストもかさむ。公的金融も含めてみれば、日本の市場は依然として「オーバー・レンディング」の状態にあるから、クレジット・コストに見合った貸出金利を設定することも容易でない。商品の供給が過剰となって市況が悪化すれば、通常の経済では減産して市況の建て直しを図る。ところが、こと銀行貸出においては、過剰供給で市況が悪化しても、政府がひたすら増産を求める。特に公的資金を注入した銀行に対しては、中小企業向け貸出の「増産」が義務付けられている。これは返って銀行の不良債権処理を遅らせる。

  ただマネーを増やすだけなら、銀行の不良債権処理を一時棚上げし、国債を増発して銀行にたくさん持たせるようにすれば、ある程度は実現できる。しかし、マネーが増えても名目GDP増加の反応は鈍く(貨幣の流通速度が低下)、政策効果が上がりにくくなっている。日銀がマネーの素(ベースマネー)の供給を増やしても、貨幣伿拖陇筏匹蕙桐`も増えなくなっている。名目GDPを高めるためのマネーの供給は、実現が困難な上に効果に乏しい。逆に、何らかの形で名目GDPを高めれば、結果としてマネーは増える。
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发表于 2004-1-18 23:00:00 | 显示全部楼层
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