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高校卒業まではお菓子なんかとおもってました。
そんなもんは女の子が暇つぶしに口にするものだと。
時が流れ、大学生となった自分のもとに妹がおとずれ、
デザートバイキングに付き合ってといわれ、いやいやながらも行ってみた。
幼いころから味にうるさかった自分にとって、
アイスクリームやケーキの類は所詮甘さをもって、
人の食感を騙す邪道な食べ物だと信じてきた。
そんな自分のもとに一切れのチーズケーキがはこばれて来た。
妹が微笑みながら、「たべてみてよ」といやな顔をしている自分に勧めた。
フォークをとり、軽くそのやわらかい三角の一角をきりとって口に運んだ。
あれ、いがいな味やな
「これで、兄さんも大人の味がわかったね」と妹はまた悪戯な笑みをみせた。
おかげで、いま、虫歯一杯となった。 |
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