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楼主 |
发表于 2011-3-11 07:47:15
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深夜に自転車の二人乗りをしている私たちは、周りからどんなふうに見えたのでしょう?すれ違う人や車などほとんどなく、そもそも、そんな関係じゃないのに、私は少しドキドキしていました。
痩せてると思っていた修哉くんの背中が、思ったよりも広かったからかもしれません。暗闇の中で、世界が終わってしまえばいい、と思っていた私を修哉くんが救いに来てくれたような気がしました。
十五分ほど走り、住宅街から外れた川沿いにある、平屋の一軒家の前で、修哉くんは自転車を止めました。修哉くんの家ではないはずだし、人が住んでいる気配も感じられないのに、修哉くんはポケットから鍵を取り出すと、その家の玄関を開けました。不安そうに見ている私に、修哉くんは、ここは無くなったおばあさんが住んでいた家で、今は店の商品の在庫置き場として使っているのだ、と教えてくれました。
玄関に入り、修哉くんが電気を点けると、廊下にまで大きいなダンボール箱が積み重ねられていました。荷物だらけで風通しの悪い家の中は、サウナのように蒸し暑く、私たちは玄関前に並んで座ることにしました。修哉くんがくれたグレープフルーツ味の缶ジュースを、両手で転がしながら、あの日、私が何をしたのか修哉くんに話しました。悠子先生も知らないことです。
私は悠子先生の話で、どうしても一ヶ所だけ、信じられないところがありました。最後のところです。聞いたときは、本当に、背筋がぞくぞくとするほど先生のことが怖かった。
先生が出ていったあと、直くんが出ていき、みんなも逃げるように教室から出て行きました。最後にポツンと取り残された私も、教室を出ようとしましたが、黒板脇の台の上に、空になった牛乳パックを並べたケースが置かれたままになっていることに気付きました。
当番は誰だっけ?と思いましたが、誰であろうとこんなものに触りたいはずがありません。自然と、直くんと、修哉くんの牛乳パックに目が行きました。
先生は、話のあいだ何度か「倫理観」という言葉を使いましたよね。では果たして、「倫理観」と繰り返す先生の倫理観はどうなのか。私は、先生の悲しみや苦しみを、ある程度想像することはできても、完璧に理解することはできません。好きな人はいるけれど、その人は生きているし、死んだところを想像してみても、それは想像でしかないからです。でも、先生が直くんや修哉くんを、どんなに憎んでも、先生の中にはやはり、「倫理観」が残っていたのではないか、そんなふうに思いました。
私は二人の牛乳パックを掃除ロッカーに入っていたビニール袋にくるんで、家に持って帰りました。もちろん、二人のパックだけなくなっていると、あとで何か問題になるかもしれないので、全員分のパックを回収場所には持っていかず、可燃ゴミの袋に入れて、体育館裏手にあるゴミ置き場に持って行きました。途中、数人の先生とすれ違いましたが、ごくろうさま、と言われても、ゴミ袋の中身を疑われることはありませんでした。委員長という肩書きは、こういうとき役に立ちます。私は家に帰ると、さっそく、二人の牛乳パックをハサミで開き、血液に反応する溶液をそこに落としてみました。たまたま、そういう薬品を持っていたのです。
結果は、思った通りでした。
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