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发表于 2011-4-26 13:10:15
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川沿いにある古い平屋の一室、渡辺くんの「研究室」を訪れるのは二度目だ。今回は、母さんが焼いてくれたキャロットクッキーを持ってきた。
最新型の大画面テレビには、夜の町を徘徊する、生物兵器と化したゾンビたちが、うじゃうじゃと映っている。
渡辺くんはアダルトビデオのモザイクを取り除くのに興味があっても、内容にはあまり興味がないらしい。生理的に嫌悪感を抱くのだそうだ。僕も一度見せてもらったけど、普通にいやらしいのを想像していたら、いきなりリングが映り、金髪美女たちが裸でプロレスし始め、その乱闘ぶりがエグすぎて引いてしまった。
それで、普通のビデオを見ようということになり、駅前のレンタルショップで外国物のアクションホラー映画を借りてきたのだ。僕の家では、銃を乱射するような映画を見るのは、母さんに禁止されている。でも、こんなにおもしろいなんて。かっこいい女主人公が、ゾンビの軍団に向かって、機関銃をこれでもかというほどぶっぱなしている。なんだかすごく気持ちよさそうだ。
「いいよなー、僕もやってみたいよ」
思わず、つぶやいてしまった。聞こえちゃったかな、と渡辺くんを見ると目が合った。
「じゃあ、誰か懲らしめてやりたいヤツいない?」
渡辺くんが言った。
「懲らしめる?」
そう訊ねたけれど、渡辺くんは「終わってからね」と言って、画面に目を戻した。映画の主人公だったら、ってことかな?僕も画面に目を戻す。機関銃でぶっとばされたはずのゾンビたちが、ゆらゆらと立ち上がりはじめている。これが現実なら本当に悪夢だ。
ゾンビ退治はけっきょく収拾がつかないまま、パート2に続くらしい。
「もし、町中がゾンビだらけになったらどうする?」
母さんが焼いてくれたクッキーを食べながら、渡辺くんに聞いてみる。すると彼は、急に立ち上がり、机の引き出しから何かを取り出してきた。黒い小銭入れだ。
「それって、もしかしてびっくり財布?」
「そうだよ。実は、これのパワーアップに成功したんだけどさ、まだ試してないんだよね。下村くん、触ってみる?」
僕は大袈裟に、首と手を横に振る。
「冗談冗談。これってさ、悪いヤツを懲らしめるために作ったものだから、実験も悪いヤツでやらなきゃ、っておもってるんだ。」
渡辺くんはそう言うと、僕の前に財布を置いた。どう見ても、ファスナーつきのただの小銭入れにしか見えない。
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