些か(いささか):
(1)少し。幾らか。
例:「これには些か驚いた」「些かの悔恨とともに思い出される」
(2)(下に打ち消しの語を伴って)少しも。全然。現代語では「いささかも」の形をとる。
例:「確信は些かも揺るがない」「此の世には、些か思ひ慰むかたなくて/源氏(総角)」
寧ろ(むしろ):
二つの物事をくらべ合わせ、あれよりもこの方を選ぶという意を表す。どちらかといえば。いっそ。
例:「会えないくらいなら寧ろ死にたい」「美しいというより寧ろかわいい人だ」
尤も(もっとも):
[副]
(1)当然。なるほど。いかにも。
例:「但し、歌道は風月延年の飾りなれば、尤もこれを用ふべし/風姿花伝」
(2)(打ち消しの語を伴って)少しも。全然。決して。
例:「ふつつり心残らねば尤も足も踏み込まじ/浄瑠璃・天の網島(上)」
[連続]
前の事柄を受けながらも、それに反することをつけ加えることを表す。そうはいうものの。ただし。
例:「君の悪行をばらす。尤も僕の願いを聞けば別だ」
乃ち(すなわち):
[連続]
(1)言い換えれば。とりもなおさず。
例:「国会は二院、乃ち衆議院と参議院より成る」「子の喜びは、乃ち親の喜びである」
(2)(多く「…ば」を受けて)そのときは。つまり。
例:「戦えば乃ち勝つ」「狂人の真似とて大路を走らば乃ち狂人なり/徒然 85」
[副]
(1)即座に。すぐに。
例:「御願も乃ち成就して/平家 3」
(2)とりもなおさず。つまり。
例:「竜神は乃ち千手の廿八部衆の其一なれば/平家 2」
〔本来、名詞で、?(1) が原義。「即時」の意の「即」の訓として用いられたものが、他の意の場合の「即」や「乃」「則」などの訓としても用いられるようになり、そこから接続詞や副詞としての用法が成立した〕
偏に(ひとえに):
〔一重に、の意〕
(1)まったく。もっぱら。
「今日の成功はひとえに諸君の努力のたまものである」
(2)ひたすら。いちずに。
「ひとえにお願い申し上げます」
(3)ただそれだけで他のものがないさま。単に。一面に。
「春はただ花のひとえに咲くばかり物のあはれは秋ぞまされる/拾遺(雑下)」
将に(まさに):
(1)ある事柄が成り立つことが動かしがたいさま。疑いもなく。確実に。
例:「金十万円まさに受領致しました」「まさに名案だ」「まさに一石二鳥だ」
(2)一つの事物をそれ以外にはないものとして特に取りたてるさま。ちょうど。ぴったり。
例:「彼こそがまさに適任だ」「あの姿はまさに彼だ」「悲劇から今まさに一年が経過した」
(3)(多く「将に」と書く)もう少しのところで物事が起こるさま。ちょうど今。
例:「まさに沈もうとする夕日」「彼は今まさに運命の分かれ目にさしかかろうとしている」「まさに出発する直前だった」
(4)(多く「当に」と書く。「まさに…べし」の形で)ある事柄が成立することが強く望まれているさま。当然。
例:「彼こそがまさに罪を受けるべきだ」「男はまさにかくあるべきだ」
(5)(反語表現に用いられて)ある事柄が成立するはずのないことを強調する。どうして…しようか。
例:「なに人か迎へきこえむ。まさに許さむや/竹取」
〔(3)(4)は漢文訓読に用いられた語法〕
終ぞ(ついぞ):
(下に打ち消しの語を伴って)これまでに一度も。いまだかつて。
「そんな人には終ぞ会ったこともない」「終ぞ聞かない話だ」
予て(かねて):
(1)前もって。以前より。あらかじめ。
「かねて御案内申し上げましたように」「かねて婚約中の二人」「かねてからの懸案事項」
(2)(名詞的に用いて)ふだん。平生。
「かねては猛く見えしひとびとも/増鏡(新島守)」
漸う(ようよう、やうやう):
〔「ようやく」の転〕
(1)しだいに。だんだん。
「かくて翁漸う豊かになり行く/竹取」
(2)かろうじて。やっと。
「漸うとして、穴の口までは出でたれども/宇治拾遺 13」
(3)おもむろに。しずしずと。
「普賢菩薩、象に乗りて漸うおはして/宇治拾遺 8」
(4)まさしく。もはや。
「女を、漸うあきがたにや思ひけむ/伊勢 123」
悉く(ことごとく):
〔「事事」に接尾語「く」の付いた語。漢文訓読に用いられた語〕すべて。残らず。
「財産を悉く失う」
頗る(すこぶる):
〔漢文訓読に用いられた語〕
(1)非常に。たいへん。たいそう。
「頗る元気だ」
(2)少し。わずか。ちょっと。
「みなこそ忘れ侍りにけれ。頗るおぼえ侍るなり/大鏡(時平)」
序でに(ついでに):
何かをするその機会を利用して。関連して。
「買物に出たついでに立ち寄る」
而も(しかも):
〔漢文訓読に由来する語〕前述の事柄にさらに後述の事柄がつけ加わる意を表す。その上に。さらに。
「最初で、しかも最後の機会」「さんざん待たせて、しかも平然としている」「彼様(あんな)猥褻な席に連つてゐる。…しかも一所に成つて巫山戯(ふざけ)てゐる/浮雲(四迷)」
以上Weblioより。時間が足りなかったのでちょっと手抜き… |