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15 十二時のお茶の会(2)
「いわしは元気ですよ」と運転手はジープを運転しながら言った。「まるまると太っちゃいましてね」
僕は運転手の隣りに座っていた。彼はあの化け物のような車に乗っている時とは別人に見えた。彼は先生の葬儀や猫の世話についていろいろと話してくれたが、僕は殆んど聞いていなかった。
ジープが駅に着いたのは十一時半だった。町は死んだように静かだった。老人が一人、シャベルでロータリーの雪をかきわけていた。やせた犬がその隣りで尻尾を振っていた。
「どうもありがとう」と僕は運転手に言った。
「そういたしまして」と彼は言った。「それから、あの神様の電話番号ためしてみました?」
「いや、暇がなくてね」
「先生が亡くなって以来、通じなくなっちゃったんです。いったいどうしたんでしょうねえ?」
「きっと忙しいんだよ」と僕は言った。
「そうかもしれませんね」と運転手は言った。「じゃあ、お元気で」
「さようなら」と僕は言った。
上り列車は十二時ちょうどの発車だったよ。ホームに人影はなく、列車の乗客も僕を含めて四人だった。それでも久し振りに見る人々の姿は僕をほっとさせた。何はともあれ、僕は生ある世界に戻ってきたのだ。たとえそれが退屈さにみちた凡庸な世界であるにせよ、それは僕の世界なのだ。
僕はチョコレートをかじりながら発車のベルを聞いた。ベルが鳴り終わり、列車はがたんと音を立てた時、遠い爆発(ばくはつ)音が聞こえた。僕は窓を思い切り押し上げ、首を外につきだした。爆発音は十秒間を置いて二度聞こえた。列車じゃ走り出していた。三分ばかりあとで、円錐形の山のあたりから一筋の黒い煙が立ちのぼるのが見えた。
列車が右にカーブを切るまで、僕は三十分もその煙を見つめていた。
“沙丁鱼很健康。”司机一边开着吉普车一边说。“溜圆溜圆地发胖了。”
我坐在司机的旁边。看上去和他乘坐那个怪物车时判若两人。他给我讲了很多有关先生的葬礼和猫的事情。我几乎没有听。
吉普车到达车站时已经是十一点半。镇像死了那样非常安静。老人一人用铲了除交通环岛的雪。瘦狗在其周围摇着尾巴。
“非常感谢你了。”我对他说。
“为你开车很高兴。”他说。“从那之后您和那神打过电话了吗?
“没有,没有时间。”
“先生死了之后,就再也打不通了。这到底怎么回事呢?”
“肯定很忙了。”我说。
“也许是这样吧。”司机说。“那么,祝您健康!”
“再见。”我说。
所乘的列车正好十二点发车。在站台上没有人影,列车的乘客包括我也只有四人。看到很久未见的人们的身态让我安心下来。无论怎么样我回到了有生的世界。即便它是充满无聊的平庸的世界,但它毕竟是我的世界。
我在嚼着巧克力的时候听到了发车的铃声。铃声结束,在列车发出咔噔声音的时候,听到了远处传来的爆炸声。我用力地将窗户玻璃抬上去,把头朝外伸出去。隔十秒钟后听到了第二次爆炸声。列车跑了起来。三分钟之后看到了在圆锥形山的附近冒出了一股黑烟。
列车向右穿过弯道,我看那股烟看了三十分钟。 |
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