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エピローグ(3)
「どうだろう、そのぶんで僕と鼠をここの共同経営者にしてくれないかな?配当も利子も入らない。ただ名前だけでいいんだよ」
「でもそれじゃ悪いよ」
「いいさ、そのかわり僕と鼠に何か困ったことが起きたらその時はここに迎え入れてほしいんだ」
「これまでだってずっとそうして来たじゃないか」
僕はビールのグラスを持ったまま、じっとジェイの顔を見た。「知ってるよ。でもそうしたいんだ」
ジェイは笑ってエプロンのポケットに小切手をつっこんだ。「あんたがはじめて酔払った時のことをまだ覚えてるよ。あれは何年前だっけね?」
「十三年前」
「もうそんなになるんだね」
ジェイは珍しく三十分も昔話をした。ぱらぱらと客が入ってきたところで僕は腰を上げた。
「まだ来たばかりじゃないか」とジェイは言った。
「しつけの良い子は長居をしないんだよ」と僕は言った。
「鼠に会ったんだろ?」
僕はカウンターに両手を置いたまま深呼吸をした。「会ったよ」
「それも長い話なんだね?」
「あんたがこれまでに聞いたことがないくらい長い話だよ」
「端折ることもできない?」
「端折ると意味がなくなっちゃうんだ」
「元気だった?」
「元気だったよ。あんたに会いたがってた」
「いつか会えるかな?」
「会えるさ。共同経営者だもの。その金は僕と鼠とで稼いだんだぜ」
「とても嬉しいよ」
僕はカウンター椅子から下りると懐かしい店の空気を吸い込んだ。
「ところで共同経営者としてはピンボールとジュークボックスが欲しいな」
「今度来るまでに揃えとくよ」とジェイは言った。
僕は川に沿って河口まで歩き、最後に残された五十メートルの砂浜に腰を下ろし、二時間泣いた。そんなに泣いたのは生まれてはじめてだった。二時間泣いてからやっと立ち上がることができた。どこに行けばいいのかはわからなかったけれど、とにかく僕は立ち上がり、ズボンについた細かい砂を払った。
日はすっかり暮れていて歩き始めると背中に小さな波の音が聞こえた。
“怎么样?以这种方式把我和老鼠当成这里的共同经营者不可以吗?不要红利和利息,只需要名字。”
“那可不好。”
“很好。换过来说,当我和老鼠有什么困难的时候,希望能欢迎我们进来。”
“在这以前难道没有让你们进来吗?”
我拿着啤酒杯不动,死盯着洁伊的脸。“这个我知道。但是还想那样做。”
洁伊笑着把支票塞到围裙的口袋里。“你第一次喝醉的事,还记得吗?那是多少年前的事呢?”
“十三年前。”
“已经变成那样了呀!”
洁伊很珍贵地用三十分钟回忆起过去的事。当客人陆续进来的时候我站了起来。
“你这不是刚来吗?”
“教养好的人不宜久坐。”
“见到老鼠了吗?”
我把两手扶到柜台上来了深呼吸。“见了。”
“那也是说来话长吗?”
“那话的长度是你至今还没有听过的那么长。”
“就不能简略一点吗?”
“若简略的话就没有什么意义了。”
“身体还不错?”
“还好。还想见你呢。”
“什么时候可以见面?”
“能见到的。这不是已经成为共同经营者了吗?就把那些钱当成我和老鼠的工钱吧。”
“这真是太高兴了。”
我从柜台椅子上下来后深深地吸了一下这眷恋小店的空气。
“那么已经是共同经营者了,想玩游戏和投币点唱。”
“以后再来时完全准备好。”洁伊说。
我沿着河走到了河口,在最后剩余的五十米的沙滩上坐了下来,哭了两个小时。那样的哭是有生以来的第一次。哭过两小时之后能够站了起来。虽然不知道往哪里走,总算我是站了起来,把粘在裤子上的细砂子拍打掉。
天已经完全黑后我开始走起来,听到了背后小的波涛声。 |
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