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楼主: 相扑迷

(文章阅读)日文版阿Q正伝

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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:50:10 | 显示全部楼层
 油は残り少くなったが阿Qはまだ到著しなかった。趙家の内の者は皆待ち焦れて、欠伸をして阿Qの気紛(きまぐ)れを恨み、鄒七嫂のぐうたらを怨んだ。趙太太は春の一件があるので来ないかもしれないと心配したが、趙太爺は、そんなことはない、乃公がよべばきっと来ると思った。果して趙太爺の見識は高かった。阿Qは結局鄒七嫂のあとへ跟いて来た。
「この人はただ無い無いとばかし言っているんですが、そんならじかに話してくれとわたしは言ったんです。彼は何とかいうにちがいありません。わたしも言います――」鄒七嫂は息をはずませていた。
「太爺!」阿Qは薄笑いしながら簷下(のきした)に立っていた。
「阿Q、お前、だいぶんお金を儲けて来たという話だが」と趙太爺はそろそろ近寄って阿Qの全身を目分量した。
「何しろ結構なこった。そこで……噂によるとお前は古著(ふるぎ)をたくさん持っているそうだが、ここへ持って来て見せるがいい……外(ほか)でもない、乃公も欲しいと思っているんだ……」
「鄒七嫂にも話した通りですが、皆売切れました」
「売切れた!」趙太爺の声は調子が脱(はず)れた。「どうしてそんなに早く売切れたのだ!」
「あれは友達の物で、品数もあんまり多くは無いのですが、少しばかり分けてやったんです」
「そんなことを言っても、まだいくらかあるに違いない」
「たった一枚幕が残っております」
「幕でもいいかた持って来てお見せ」と趙太太は慌てて言った。
「そんな物はあしたでもいいや」趙太爺はさほど熱心でもなかった。「阿Q、これからなんでも品物がある時には、まず、乃公の処へ持って来て見せるんだぞ」
「値段は決してほかの家(うち)よりすくなく出すことはない」秀才は言った。
 秀才の奥さんはチラリと阿Qの顔を見て彼が感動したかどうかを窺(うかが)った。
「わたしは皮の袖無しが一枚欲しいのだが」と趙太太は言った。
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:50:35 | 显示全部楼层
 阿Qは応諾しながらも不承々々に出て行ったから、気にとめているかどうかしらん。これは趙太爺を非常に失望させ、腹が立って気掛りで欠伸がとまってしまうくらいであった。秀才太爺も阿Qの態度に非常な不平を抱き、この「忘八蛋(ワンパダン)」警戒する必要がある。いっそ村役人に吩咐(いいつ)けてこの村に置かないことにしてやろうと言ったが、趙太爺は、そりゃ好(よ)くないことだと思った。そうすれば怨みを受けることになる。ましてああいうことをする奴は大概「老いたる鷹は、巣の下の物を食わない」のだから、この村ではさほど心配するには及ぶまい。ただ自分の家(うち)だけ夜の戸締を少々厳重にしておけばいい。
 秀才もこの「庭訓」には非常に感心してすぐに阿Q追放の提議を撤囘(てっかい)し、また鄒七嫂にも言い含めて、決してこのようなことを人に洩らしてくれるな、と言った。
 けれど鄒七嫂は次の日あの藍袴を巳兢崽妞à瓢ⅲ绚我嗓Δ伽潳蜓预げ迹à眨─椁筏茪iいた。確かに彼女は秀才の阿Q駆逐の一節を持ち出さなかったが、これだけでも阿Qに取っては非常に不利益であった。最先(まっさ)きに村役人が尋ねて来て、彼の幕を奪った。阿Qは趙太太に見せる約束をしたと言ったが、村役人はそれを返しもせずになお毎月(まいげつ)何ほどかの附届(つけとど)けをしろと言った。それから村の人も彼に対してたちまち顔付を改めた。疎略なことはするわけもないがかえってはなはだ遠ざかる気分があった。この気分は前に彼が酒屋の中で「ぴしゃり」と言った時の警戒とは別種のものであった。「敬して遠ざかる」ような分子がずいぶん多(おお)まじっていた。
 閑人の中には阿Qの奥底を根掘り葉掘り探究する者があった。阿Qは包まず隠さず自慢らしく彼の経験談をはなした。
 阿Qは小さな馬の脚に過ぎなかった。彼は垣の上にあがることも出来なければ、洞(あな)の中に潜ることも出来なかった。ただ外に立って品物を受取った。ある晩彼は一つの包(つつみ)を受取って相棒がもう一度入ると、まもなく中で大騒ぎが始まった。彼はおぞけをふるって逃げ出し、夜どおし歩いて終に城壁を仱暝饯ㄎ辞Pに帰って来た。彼はこんなことは二度とするものでないと誓った。この弁明は阿Qに取ってはいっそう不利益であった。村の人の阿Qに対して「敬して遠ざかる」ものは仕返しがこわいからだ、ところが彼はこれから二度と泥棒をしない泥棒に過ぎないのだ。してみると「これもまた畏るるに足らない」ものだった。
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:51:09 | 显示全部楼层
        第七章 革命

 宣統(せんとう)三年九月十四日――すなわち阿Qが搭連を趙白眼に売ってやったその日――真夜中過ぎに一つの大きな唬à恧趣蓿─未w屋敷の河添いの埠頭に著いた。この船は担à椁浃撸─沃肖藫eられて来た。村人はぐっすり寝込んでいたので、皆知らなかった。出て行(ゆ)く時は明け方近かったがそれがかえって人目を引いた。こっそり調べ出した結果に拠ると、船は結局挙人老爺の船であると知れた。
 この船はとりもなおさず大不安を未荘に撙螭扦欷啤⒅绀摔猡胜椁踏Δ沥巳澶稳诵膜戏浅¥藙訐eした。船の使命はもとより趙家の極秘であったが、茶館や酒屋の中では、革命党が入城するので、挙人老爺がわれわれの田舎に避難して来たと、皆言った。ただ鄒七嫂だけはそうとは言わず、あれは詰らぬガラクタ道具や襤褸(ぼろ)著物を入れた箱で挙人老爺が保管を頼んで来たが、趙太爺が突返してしまったんですと言った。実際挙人老爺と趙秀才はもとからあんまり仲のいい方ではないので「しん身の泣き寄り」などするはずがない。まして鄒七嫂は趙家の隣にいるので見聞(けんもん)が割合に確実だ。だから大概彼女の言うことには間違いがない。
 そういうものの、謡言(ようげん)はなかなか盛んだ。挙人老爺は自身来たわけではないが長い手紙を寄越して趙家と「仲直り」をしたらしい。趙太爺は腹の中が一変して、どうしても彼に悪い処がないと感じたので箱を預り、現に趙太太の床(とこ)の下を塞いでいる。革命党のことについては、彼等はその晩城に入って、どれもこれも白銕啞锥丹恰⒊缯à工Δ护ぃ┗实郅伟鬃笆蛑皮い郡趣いΑ
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:51:43 | 显示全部楼层
 阿Qの耳枻沃肖摔狻ⅳ趣Δ楦锩长趣いυ挙蚵劋挨螭恰⒔衲辘蓼垦郏à蓿─陇藲ⅳ丹欷扛锩长蛞姢俊1摔悉嗓长槔搐郡筏椁蟆ⅲ郏!浮ⅰ工系妆兢扦稀浮!梗菀环Nの意見を持っていた。革命党は址慈摔馈⒅反人は俺はいやだ、悪(にく)むべき者だ、断絶すべき者だ、と一途にこう思っていた。ところが百里の間に名の響いた挙人老爺がこの様に懼(おそ)れたときいては、彼もまたいささか感心させられずにはいられない。まして村鳥のような未荘の男女が慌て惑う有様は、彼をしていっそう痛快ならしめた。
「革命も好(よ)かろう」と阿Qは想った。
「ここらにいる馬鹿野郎どもの呙蚋铮àⅳ椁浚─幛皮浃臁:蓼啶伽趣馈T鳏啶伽趣馈饯Δ馈⒛斯飧锩长巳毪盲皮浃恧Α筡
 阿Qは近来生活の費用に窘(くる)しみ内々かなりの不平があった。おまけに昼間飲んだ空(す)き腹(ばら)の二杯の酒が、廻れば廻るほど愉快になった。そう思いながら歩いていると、身体がふらりふらりと宙に浮いて来た。どうした機(はずみ)か、ふと革命党が自分であるように思われた。未荘の人は皆彼の俘虜(とりこ)となった。彼は得意のあまり叫ばずにはいられなかった。
「址搐坤尽⒅反だぞ」
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:52:47 | 显示全部楼层
 未荘の人は皆恐懼(きょうく)の眼付で彼を見た。こういう風な可憐な眼付は、阿Qは今まで見たことがなかった。ちょっと見たばかりで彼は六月氷を飲んだようにせいせいした。彼はいっそう元気づいて歩きながら怒鳴った。
「よし、……乃公がやろうと思えばやるだけの事だ。乃公が気に入った奴は気に入った奴だ。
 タッタ、ヂャンヂャン。
 後悔するには及ばねえ。酔うて錯(あやま)り斬る鄭賢弟(ていけんてい)。
 後悔するには及ばねえ。ヤーヤーヤー………
 タッタ、ヂャンヂャン、ドン、ヂャラン、ヂャン。
 乃公は鉄の鞭でてめえ達を叩きのめすぞ……」
 趙家の二人の旦那と本家の二人の男は、表門の入口に立って革命のことで大論判(だいろっぱん)していた。阿Qはそれに目も呉れず頭をもちゃげてまっすぐに過ぎ去った。
「ドンドン……」
「Q(キュー)さま」と趙太爺はおずおずしながら小声で彼を喚びとめた。
「ヂャンヂャン」阿Qは彼の名前の下に、「さま」という字が繋がって来ようとは、まさか思いも依ら[#底本ではここに不要な「「」]なかった。これは外の話で自分と関係がないと思ったから、ただ「ドンチャン、ドンチャン、ヂャラン、ヂャンヂャン」と言っていた。
「Qさん」
「思切ってやっつけろ……」
「阿Q!」秀才は仕方なしにもとの通りにその名を喚んだ。
 阿Qはようやく立ちどまって首をかしげて訊いた。「なんだね」
「Qさま……当節は……」と趙太爺は口を切ったが、言い出す言葉もなかった。「当節は……素晴らしいもんだね」
「素晴らしいと? あたりまえよ。何をしようが乃公の勝手だ」
「……Q、わしのような貧乏仲間は大丈夫だろうな」と趙白眼はこわごわ訊いた。革命党の口振りを探るつもりであったらしい。
「貧乏仲間? てめえは乃公より金があるぞ」阿Qはそう言いながらすぐに立去った。
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:53:31 | 显示全部楼层
 みんな萎れ返って物も言わない。趙家の親子は家(うち)に入って灯(ひ)ともしごろまで相談した。趙白眼も家(いえ)に帰るとすぐに腰のまわりの搭連をほどいて女房に渡し、[#「、」は底本では空白]箱の中に蔵(おさ)めた。
 阿Qは一通りぶらぶら飛び廻って土穀祠(おいなりさま)に帰って来ると、もう酔(よい)は醒めてしまった。
 その晩、廟祝(みやばん)の親父も意外の親しみを見せて阿Qにお茶を薦めた。阿Qは彼に二枚の煎餅をねだり、食べてしまうと四十匁(め)蝋燭の剰(あま)り物を求めて燭台を借りて火を移し、自分の小部屋へ持って行ってひとり寝た。彼は言い知れぬ新しみと元気があった。蝋燭の火は元宵(げんしょう)(正月)の晩のようにパチパチと撥(は)ね迸(ほとばし)ったが、彼の思想も火のように撥ね迸った。
「址矗俊∶姘驻い省搐郡纠搐郡尽R魂嚖伟足巻、白兜、革命党は皆ダンビラをひっさげて鋼鉄の鞭、爆弾、大砲、菱[#「菱」は底本では「萎」]形に尖った両刃の劒(けん)、鎖鎌。土穀祠(おいなりさま)の前を通り過ぎて『阿Q、一緒に来い』と叫んだ。そこで乃公は一緒に行(ゆ)く、この時未荘の村烏(むらがらす)、一群の男女こそは、いかにも気の毒千万だぜ。『阿Q、命だけはどうぞお赦(ゆる)し下さいまし』誰が赦してやるもんか。まず第一に死ぬべき奴は小Dと趙太爺だ。その外秀才もある。偽毛唐もある。……残る奴ばらは何本ある? 王(ワン)なんて奴は残してやるべき筋合の者だが、まあどうでもいいや……」
「品物は……すぐに入り込んで箱を開けるんだ。元宝(げんほう)、銀貨、[#「、」は底本では空白]モスリンの著物……秀才婦人の寝台をまずこの廟(おみや)の中へ移して、そのほか錢家の卓と椅子。あるいは趙家の物でもいい。自分は懐ろ手して小Dなどは顎でつかい、おい、早くやれ。愚図々々するとぶんなぐるぞ」
「趙司晨の妹はまずい。鄒七嫂の小娘は二三年たってから話をしよう。偽毛唐の女房は辮子の無い男と寝てやがる、はッ、こいつはたちが好(よ)くねえぞ。秀才の女房は眼蓋(まぶた)の上に疵(きず)がある――しばらく逢わないが呉媽はどこへ行ったかしらんて……惜しいことにあいつ少し脚が太過ぎる」
 阿Qは彼の胸算用がすっかり片づかぬうちにもう鼾をかいた。四十匁蝋燭は燃え残って五分ほどになり、赤々と燃え上る火光(かこう)は、彼の開け放しの口を照した。
「すまねえ、すまねえ」阿Qはたちまち大声上げて起き上った。頭を挙げてきょろきょろあたりを見廻して四十匁蝋燭に目をつけると、すぐにまた頭をおろして睡(ねむ)ってしまった。
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:54:10 | 显示全部楼层
 次の日彼は遅く起きて往来に出てみたが、何もかも元の通りであった。彼はやっぱり肚が耗(へ)っていた。彼は何か想っていながら想い出すことが出来なかった。たちまち何かきまりがついたような風で、のそりのそりと大跨に歩き出した。そうして有耶無耶のうちに靜修庵(せいしゅうあん)についた。
 庵は春の時と同じような静けさであった。白壁とT、彼はちょっと思案して前へ行って門を叩いた。一疋(いっぴき)の狗が中で吠えた。彼は急いで瓦のカケラを拾い上げ、もう一度前へ行って、今度は力任せにぶっ叩いてTの上に幾つも痘瘡(あばた)が出来た時、ようやく人の出て来る足音がした。
 阿Qは慌てて瓦を持ちなおし馬のように足をふんばって、筏乳_戦の準備をした。だが庵門はただ一すじの透間(すきま)をあけたのみで、筏wび出すことはないと見たので、近寄って行(ゆ)くと、そこに一人の老いたる尼がいた。
「お前はまた来たのか。何の用だえ」と尼は呆れ返っていた。
「革命だぞ。てめえ知っているか」と阿Qは口唬à沥搐猓─盲俊
「革命、革命とお言いだが、革命は一遍済んだよ。……お前達は何だってそんな騒ぎをするんだえ」尼は眼のふちを赤くしながら言った。
「何だと?」阿Qは訝(いぶか)った。
「お前はまだ知らないのだね。あの人達はもう革命を済ましたよ」
「誰だ?」阿Qは更に訝った。
「秀才と偽毛唐さ」
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:54:27 | 显示全部楼层
 阿Qは意外のことにぶっつかってわけもなく面喰った。尼は彼の出鼻をへし折って隙(すか)さず門を閉めた。阿Qはすぐに押し返したが固く締っていた。もう一度叩いてみたが返辞もしない。
 これもやっぱりその日の午前中の出来事だった。機を見るに敏なる趙秀才は革命党が城内に入ったと聞いて、すぐに辮子を頭の上に巻き込み、今までずっと仲悪(なかわる)で通したあの錢毛唐(せんけとう)の処へ御機嫌伺いに行った。これは「みなともに維(こ)れ新たなり」の時であるから、彼等は話が弾んで立ちどころに情意投合の同志となり、互に相約して革命に投じた。
 彼等はいろいろ想い廻して、やっと想い出したのは靜修庵の中の「皇帝万歳万、万歳!」の一つの竜牌(りゅうはい)だ。これこそすぐにも革擲(かくてき)すべきものだと思ったから、二人は時を移さず靜修庵に行(ゆ)くと、老いたる尼が邪魔をしたので、彼等は尼を満州政府と見做し、頭の上に少からざる棍棒と鉄拳を加えた。尼は彼等が帰ったあとで気を静めてよく見ると、竜牌はすでに已(すで)に砕けて地上に横たわっているのはもっともだが、観音様の前にあった一つの宣徳炉(せんとくろ)が見当らないのが不思議だ。
 阿Qはあとでこの事を聞いてすこぶる自分の朝寝坊を悔んだ。それにしても彼等が阿Qを誘わなかったのは奇ッ怪千万である。阿Qは一歩退(しりぞ)いて考えた。
「彼等が、今まで知らずにいるはずはない。阿Qは已に革命党に投じているのじゃないか」
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:55:03 | 显示全部楼层
        第八章 革命を許さず

 未荘の人心は日々に安静になり、噂に拠れば革命党は城内に入ったが、何も格別変ったことがない。知県(ちけん)様はやっぱり元の位置にいて何か名目が変っただけだ。挙人老爺は何になったか――これ等の名目は未荘の人には皆わからなかった。――お上が兵隊を連れて来ることは、これも前からいつもあることで、格別不思議なことでもないが、ただ一つ恐ろしいのは、ほかに幾らか不良分子が交(まじ)っていて内部の擾乱(じょうらん)を計っていることだ。そうして二言目には手を動かして辮子を剪(き)った。聴けば隣村の通い船を出す七斤は途中で引掴まって、人間らしくないような体裁にされてしまったが、それさえ大した恐怖の数に入らない。未荘の人は本来城内に行(ゆ)くことは少いのに、たまたま行(ゆ)く用事があっても差控えてしまうから、この危険にぶつかる者も少い。阿Qも城内に行って友達に逢いたいと思っていたが、この話を聞くとやめなければならない。
 だが未荘の人も改革なしでは済まされなかった。幾日の後、辮子を頭に巻込む者が逐漸(ちくぜん)増加した。手ッ取り早く言うと一番最初が茂才公(もさいこう)だ。その次が趙司晨と趙白眼だ。後では阿Qだ。これがもし夏ならば、辮子を頭の上に巻込み、あるいは一つのかたまりにするのはもとより何も珍らしい事ではないが、今は秋の暮で、この特別の歳時記が行われたのは、辮子を巻込んだ連中に取っては非常な英断と言わなければならない。未荘としてはこれもまた改革の一つでないということは出来ない。
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:55:45 | 显示全部楼层
 趙司晨は頭の後ろを空坊主にして歩いた。これを見た人は大きな声を出して言った。
「ほう、革命党が来たぞ」
 阿Qは非常に羨しく思った。彼はとうから秀才が辮子をわがねたというニウスを聞いていたが、自分がその様な事をしていいかという事について少しも思い及ばなかった。現在趙司晨がこうなってみると、急に真似てみたくなって実行の決心をきめた。彼は一本の竹箸に辮子を頭の上にわがね、しばらくためらっていたが、思切って外へ出た。
 彼が往来に出ると、人は皆彼を見るには見るが何にも言わない。阿Qは初め不快に感じてあとになるとだんだん不平が高じて来た。彼は近頃怒りッぽくなった。実際彼の生活は峙亚挨瑜辘悉瑜郅蓧垽筏馈H摔媳摔蛞姢毪冗h慮して、どこの店でも現金は要らないという、だが阿Qは結局少からざる失望を感じた。もう革命を済ましたのに、こんなわけはないはずだ。そうして一度小Dを見るといよいよ彼の肚の皮が爆発した。
 小Dもまた頭の上に辮子をわがねた。しかもかつあきらかに一本の竹箸を挿していた。阿Qはこんなことを彼が仕出かそうとは全く思いも依らぬことだった。自分としてもまた彼がこのような事するのは決して許されない。小Dは何者だろう? 阿Qはすぐにも小Dに引掴んで、彼の竹箸を捻じ折り、彼の辮子をほかして、うんと横面を引ッぱたいて、彼が生年月日時の八字を忘れ、図々しくも革命党に入って来た罪を懲らしめてやりたくなって溜らなくなったが、結局それも大目に見て、ベッと唾を吐き出し、ただ睨みつけていた。
 この幾日の間、城内に入ったのは偽毛唐一人だけであった。趙秀才は箱を預ったことから、自身挙人老爺を訪問したくは思っていたが、辮子を剪られる危険があるので中止した。彼は一封の「黄傘格(こうさんかく)」の手紙(柿渋引(かきしぶびき)の方罫紙(ほうまいし)?)を書いて、偽毛唐に託して城内に届けてもらい、自分を自由党に紹介してくれと頼んだ。偽毛唐が帰って来た時には、秀才は四元の銀を払って胸の上に銀のメダルを掛けた。未荘の人は皆驚嘆した。これこそ柿油党(すーゆーたん)(自由と同音、柿渋(かきしぶ)は防水のため雨傘に引く、前の黄傘格に対す)の徽章(きしょう)で翰林(かんりん)を抑えつけたんだと思っていた。趙太爺は俄(にわか)に肩身が広くなり倅が秀才に中(あた)った時にも増して目障りの者が無い。阿Qを見ても知らん顔をしている。
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:56:35 | 显示全部楼层
 阿Qは不平の真最中に時々零落を感じた。銀メダルの話を聴くと彼はすぐに零落の真因を悟った。革命党になるのには、投降すればいいと思っていたが、それが出来ない。辮子を環(わが)ねればいいと思ったがそれも駄目だ。第一、革命党に知合がなければいけないのだが、彼の知っている革命党はたった二つしか無かった。その一つは城内でバサリとやられてしまった。今はただ偽毛唐一人を知っているだけで、その毛唐の処へ、相談に行(ゆ)くより外は無かった。
 錢家の大門は開け拡げてあった。阿Qは、おっかなびっくり入って行った。彼は中へ入りかけて非常に驚いたのは、偽毛唐がちょうど広場のまん中に突立って、真恃蠓蛑啤€yメダルを附けて、手にはかつて阿Qを懲らしめたステッキを持って、一尺余りの辮子を披(ひら)いて方の上に振り下げ、まるで蓬々髪(ほうほうがみ)の劉海(りゅうはい)仙人のような恰好で立っていたのだ。向き合って立っていたのは、趙白眼の外三人の閑人で、ちょうど今恭々しくお話を伺っているところだ。
 阿Qはこっそり近寄って趙白眼の後ろに立ち、心の中ではお引立に預かろうと思っているんだが、さて何と言ったらいいものか、言い出す言葉を知らなかった。
 彼を偽毛唐というのはもとより好くないことだ。西洋人も穏かでない。革命党も穏かでない。洋先生(やんしいさん)といえばあるいはいいかもしれない。
 洋先生は眼を白筏啤ⅳ沥绀Δ芍v義の真最中であったから、阿Qに眼も呉れない。
「乃公はせっかちだから顔を見るとすぐに言った。洪(こう)君! われわれは著手(ちゃくしゅ)しよう。しかし彼は結局 No(ノー) と言った。これは洋語だからお前達には分らない。そうでなければもっと早く成功したんだぞ。とにかく、これは彼が大事を取って仕事をした方面なんだ。彼等は再三再四湖北に行ってくれと乃公に頼んだが、乃公はそれでも承知しないくらいだ。誰がこんな小っぽけな県城の中で事を起そうと願う奴があるもんか……」
「えーと、こーつ」阿Qは彼の話が途切れたひまに精一杯の勇気を振起(ふりおこ)して口をひらいた。だが、どうしたわけか洋先生と、彼を喚ぶことが出来なかった。
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:57:06 | 显示全部楼层
 話を聴いていた四人の者は喫驚(びっくり)して阿Qの方を見た。洋先生もようやく彼に目をとめた。
「何だ」
「わたし……」
「出て行(ゆ)け」
「わたしも……に入りたい」
「生意気いうな。ころがり出ろ」と洋先生は人泣かせ棒を振上げた。
 趙白眼と閑人は口を揃えて怒鳴った。
「先生がころがり出ろと被仰(おっしゃ)るのに、てめえは肯(き)かねえのか」
 阿Qは頭の上に手を翳(かざ)して、覚えず知らず門外に逃げ出した。洋先生は追い馳けても来なかった。阿Qは六十歩余りも馳け出してようやく歩みを弛(ゆる)め心の中で憂愁を感じた。洋先生が彼に革命を許さないとすると、外に仕様がない。これから決して白銕啞锥丹稳摔摔蛴à死搐毪趣いνà韦兢撸─蚱黏工长趣隼搐胜ぁ1摔证盲皮い勘ж摗⒅鞠颉⑾M⑶巴兢郡酪还Pで棒引されてしまった。閑人のお布(ふ)れが行届(ゆきとど)いて、小D、王※[#「髟/胡」、175-12]などに話の種を呉れたのは、やっぱり今度の事であった。
 彼はこのような所在なさを感じたことは今まで無いように覚えた。彼は自分の辮子を環(わが)ねたことに[#「に」は底本では欠落]ついて無意味に感じたらしく、侮蔑をしたくなって復讎の考(かんがえ)から、立ちどころに辮子を解きおろそうとしたが、それもまた遂にそのままにしておいた。彼は夜になって遊びに出掛け、二杯の酒を借りて肚の中に飲みおろすと、だんだん元気がついて来て、思想の中に白銕啞锥丹违饱椁霈Fした。
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:57:44 | 显示全部楼层
 ある日のことであった。彼は常例に依り夜更けまでうろつき廻って、酒屋が戸締をする頃になってようやく土穀祠(おいなりさま)に帰って来た。
「パン、パン」
 彼はたちまち一種異様な音声をきいたが爆竹では無かった。一たい彼は賑やかな事が好きで、下らぬことに手出しをしたがる質(たち)だから、すぐに暗(やみ)の中を探って行(ゆ)くと、前の方にいささか足音がするようであった。彼は聴耳(ききみみ)立てていると、いきなり一人の男が向うから逃げて来た。彼はそれを見るとすぐに跡に跟いて馳け出した。その人が曲ると阿Qも曲った。曲ってしまうとその人は立ちどまった。阿Qもまた立ちどまった。阿Qは後ろを見ると何も無かった。そこで前へ向って人を見ると小Dであった。
「何だ」阿Qは不平を起した。
「趙……趙家がやられた。[#底本では「。」が重複]掠奪……」小Dは息をはずませていた。
 阿Qも胸がドキドキした。小Dはそう言ってしまうと歩き出した。阿Qはいったん逃げ出したものの、結局「その道の仕事をやった」事のある人だから殊の外度胸が据(すわ)った。彼は路角(みちかど)に躄(いざ)り出て、じっと耳を澄まして聴いていると何だかざわざわしているようだ。そこでまたじっと見澄ましていると白銕啞锥丹稳摔髣荬い啤⒋韦榇韦丐认浃虺殖訾贰⑵魑铯虺殖訾贰⑿悴欧蛉摔螌幉ǎē衰螗荪Γ┣尢ǎà亭坤ぃ─颏猡脸訾筏郡瑜Δ扦猡ⅳ盲郡膝氓辘筏胜盲俊
 彼はもう少し前へ出ようとしたが両脚が動かなかった。
 その夜(よ)は月が無かった。未荘は暗沃肖税蓼欷皮悉胜悉坤筏螭趣筏皮い俊¥筏螭趣筏皮い启嘶剩à长Γ─雾暏韦瑜Δ侍饯扦ⅳ盲俊0ⅲ绚狭ⅳ盲皮い毪Δ沥摔袱欷盲郡胜盲评搐郡⑾颏Δ扦悉浃悉昵挨韧袱瑜Δ恕⑼盲郡昀搐郡辘筏皮い毪椁筏⑾浃虺证脸訾筏郡昶魑铯虺证脸訾筏郡辍⑿悴欧蛉摔螌幉ǎē衰螗荪Γ┣尢à虺证脸訾筏郡辍璡
 持ち出したと言っても、彼は自分でいささか自分の眼を信じなかった。それでも一歩前へ出ようとはせず、結局自分の廟(おみや)の中に帰って来た。
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:58:08 | 显示全部楼层
 土穀祠(おいなりさま)の中は、いっそうまっ闇(くら)だった。彼は大門をしっかり締めて、手探りで自分の部屋に入り、横になって考えた。こうして気を静めて自分の思想の出どころを考えてみると、白銕啞锥丹稳摔洗_かに著(つ)いたが、決して自分を呼び出しには来なかった。いろんないい品物は撙映訾丹欷郡⒆苑证畏证鼻挨悉胜ぁ¥长欷先瘋蚊皮瑦櫎い韦馈1摔夏斯酥叛を許さない。峙绚蛟Sせば、今度乃公の分け前がないことはないじゃないか? 阿Qは思えば思うほど、イライラして来て耐(こら)え切れず、おもうさま怨んで毒々しく罵った。
「乃公には峙绚蛟Sさないで、自分だけが峙绚工毪螭坤省qR鹿、偽毛唐! よし、てめえが峙绚工搿V叛すれば首が無いぞ。乃公はどうしても訴え出てやる。てめえが県内に引廻されて首の無くなるのを見てやるから覚えていろ。一家一族皆殺しだ。すぱり、すぱり」
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 楼主| 发表于 2005-9-6 09:58:57 | 显示全部楼层
        第九章 大団円

 趙家が掠奪に遭ってから、未荘の人は大抵みな小気味よく思いながら恐慌を来(きた)した。阿Qもまたいい気味だと思いながら内々恐れていると、四日過ぎての真夜中に彼はたちまち城内につまみ出された。その時はしんの闇夜で、一隊の兵士と一隊の自衛団と一隊の警官と五人の探偵がこっそり未荘に到著して闇に仱袱仆练Y祠(おいなりさま)を囲み、門の真正面に機関銃を据えつけたが、阿Qは出て来なかった。
 しばらくの間、様子が皆目知れないので、彼等は焦らずにはいられなかった。そこで二万銭の賞金を懸けて二人の自衛団が危険を冒してやっとこさと垣根を越えて、内外相応じて一斉に闖入(ちんにゅう)し、阿Qを抓(つま)み出して廟(おみや)の外の機関銃の左側に引据えた。その時彼はようやくハッキリ眼が醒めた。
 城内に著いた時には已に正午であった。阿Qは自分で自分を見ると、壊れかかったお役所の中に引廻され、五六遍曲ると一つの小屋があって、彼はその中へ押し込められた。彼はちょっとよろけたばかりで、丸太を整列した門が彼の後ろを閉じた。その他の三方はキッタテの壁で、よく見ると室(へや)の隅にもう二人いた。
 阿Qはずいぶんどぎまぎしたが、決して非常な苦悶ではなかった。それは土穀祠(おいなりさま)の彼の部屋はこの部屋よりも決してまさることは無かったからだ。そこにいた二人は田舎者らしく、だんだん懇意になって話してみると、一人は挙人老爺の先々代に滞っていた古い地租の追徴であった。もう一人は何のこったか好く解らなかった。彼等は阿Qにわけを訊くと、阿Qは臆面なく答えた。「乃公は峙绚蚱黏饯Δ人激盲郡椁馈
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