咖啡日语论坛

 找回密码
 注~册
搜索
查看: 2263|回复: 5

みかんの樹

[复制链接]
发表于 2004-7-7 23:00:00 | 显示全部楼层 |阅读模式
『みかんの木』 - R: ^- _. D* r, @
" x2 E1 x+ l# ~- ?! t+ H. h

8 E0 m) J1 y. ~# J
! L- d; k0 i2 X! b8 p* p' { ごみごみとした商店街の一角に、小さな洋服屋さんがありました。洋服屋さんといっても、子供用の服しかない本当に小さなお店です。
* L: d6 r& l0 X  {8 E; u
: F! u3 E$ r! _* D$ j そのお店では、年老いたおばあさんが一人で店番をしています。でも、なんだか元気がありません。なぜなら、もうお昼をすぎたというのに、お客さんが一人も来ないからです。
  }, {- Y3 E5 H# v+ T- l* V1 K" N7 d1 h- ~* i* J
 それもそのはずです。この小さなお店では、もう何年も新しい洋服を仕入れていないのですから。流行おくれのデザインのスカートや、日に焼けてうす茶色に変色してしまった白いブラウスなどが、堂々と店先にならんでいるのです。
' Z. I% B2 Z' W/ K" q6 f! L  `; l% N  y' _9 P6 F  @4 f
 おばあさんはそんな洋服たちに向かって、にっこりと笑いかけました。
5 G9 E" w5 [% T! `
; b0 a  J3 R+ t6 q「安心おし。わたしは、おまえたちを見捨てたりはしないからね」
  y" ~: j7 U; T* A1 Z5 Q! {1 s5 S6 E; ^2 E0 K! \' m# M
 茶色く焼けてしまったブラウスを、やさしくなでながら、おばあさんはそういいました。
/ K: ]  E9 d% K4 q
" C' j- o# t) A9 V8 R4 s% L  R「おまえたちがいつか買われてゆく日まで、わたしがしっかりとめんどうを見てあげるからね…」
% i6 `& L  P6 \# e6 `, {! }9 n0 l7 X/ q- v, Q; ^- c$ v! F

/ H8 T' q4 I! e- [: I9 R+ L! e; A& X9 Q. {- d+ a4 C
 おばあさんのお店の名前は『みかんの木』といいます。店先の植え込みに、小さなみかんの木が植えられているからでした。みかんの木は夏の初めになると、白いかわいらしい花をつけます。その花を見るのが、おばあさんの楽しみでもありました。
# \. A4 r# V; f7 r" O1 h9 o
, e! H$ @6 e  M  g  A 今年も夏が始まろうとしていました。季節が移り変わるのを待っていたように、みかんの木は白い花を開きはじめました。その花の白さといったら、まるで夏の空にわきあがる入道雲のようです。おばあさんはうれしそうに、愛らしい白い花を、お店の中からながめていました。
% C) h0 x& E9 ^9 t0 ?: d6 z2 j5 W
+ d2 t; z& s- ~$ w5 ?2 ?「お母さん、わたし新しいお洋服がほしいよう」
5 v9 E1 n* Z1 I' y9 q) T/ c# l4 y7 L6 T
 お店の前で、女の子がお母さんにおねだりをはじめました。おばあさんは久しぶりのお客さんに、心がおどります。今日こそ洋服が売れるかもしれない。おばあさんは期待に胸がふくらみました。
6 t5 b, N+ q3 u! ]6 z3 T3 b8 e( T, p
「でも… ほら… このブラウス…」
# O% B2 v1 k' p9 J- k& @7 m' I* @4 L( Z8 q
 しかし女のこのお母さんは、しかめっつらで店先のブラウスを見ています。日に焼けてしまって、茶色く変色してしまったブラウスを。
" U7 k  U/ R2 Q: V
) x) j/ P7 t- I. w1 ?" z2 Z「よそのお店で買ってあげましょうね。さっ、行きましょう」
; F* e. `. @! `$ W/ p+ G
& |/ r1 j% K& w+ M( \ 女の子はうなずき、お母さんに手を引かれて商店街の人ごみに消えてゆきました。
! O. m; m1 f4 s+ H6 _( u4 v5 M" A4 @1 h7 }5 f0 X+ |. n. Q
 おばあさんはがっかりです。茶色くなってしまったブラウスでは、やっぱり買ってもらえません。だからといって、処分してしまうにはあまりにも愛着があります。おばあさんは悲しそうに肩をおとしました。
9 l* R( y1 b, U2 j5 @- Z/ k, z5 P3 c4 Y% f
 そのときです。咲いたばかりのみかんの花が一輪、風に吹かれてちりました。そしてひらひらと空中を舞い、茶色く焼けたブラウスの肩口に、静かに落ちました。+ O, C9 j9 h# l" O

3 h7 z1 n: g! t, L8 m; S6 o「おやおや、どうしたことだろう。咲いたばかりの花がちってしまうなんて…」
5 J* N1 Q2 n0 q: i) h% Y9 W) Y8 W5 d
 おばあさんは心配そうにみかんの木を見て,首をかしげました。おばあさんの心配をよそに、みかんの木はとても元気そうに見えます。ところが、せっかく咲いた白い花は、次々とちってゆきます。そしてどの花も、申し合わせたようにブラウスの肩口に静かに落ちました。
: }3 p3 L4 O" C
; e$ u$ e4 Z$ U  h$ S おばあさんはあわてて店の中に入り、じょうろにくんだ水と、園芸用の肥料を持ってきました。みかんの木が枯れてしまう…おばあさんはそう思ったのです。
) o0 Z* m- C6 i1 {
0 S9 u% I2 C0 E: C 水をやり、肥料をまいて、おばあさんは安心しました。どうみてもみかんの木は元気いっぱいに見えるのです。もう花もちってはいないようです。おばあさんはホッとして、店の中に入りました。
& y! `% c' `4 I: ^/ Y% ?  p0 c0 o0 d: c3 O: N
「お母さん、やっぱりわたしここのがいいよう」! A+ J# t0 B7 S7 J  K
1 d1 G; J' ]6 j* _) Q; x2 E" b
 さっきの女の子が、今度はお母さんの手を引いてもどってきました。
# F* \) P+ s/ y# D; ?, h4 Y9 x
! j5 T; A8 [2 e' f「だめよ。そこのは日に焼けて茶色くなっちゃってるから。あら?あらら?」
1 O9 i! n+ M4 I: r4 |( t) }5 y# n/ K( u* s+ N1 p* W
 お母さんはブラウスを見て、おかしな声をあげました。, e1 e# V, j* j8 b+ E

8 }+ f' |  m! t0 v. _& z. C# I「新しいのを出したのかしら?とてもきれいな白いブラウスね。それになんだか甘い香りまでするわ…」
# d2 E& W0 e8 _1 g
# v* i9 ~2 r# D% {/ F お母さんのその言葉に、おばあさんはおどろきました。新しい物を出した覚えはありません。それどころか、おばあさんのお店に在庫などないのです。# n$ `! |: d3 M$ B2 Y
+ h! K3 S3 H* V2 P
「すみません、このブラウスいただきたいのですが」, y5 H+ s% N6 i1 V
+ A) z9 z; e1 G& K
 お母さんが手にしているブラウスを見て、おばあさんはまたまたびっくりしました。そして自分の目をうたがいました。茶色く変色していたはずのブラウスが、真白になっていたのです。それはまるでみかんの花のように。. y% ?! y. c& t: T3 D. M
/ v  u$ p, h: C& j& Z; ]; D5 i
 女の子はそのブラウスがよほど気に入ったようで、とてもうれしそうです。そんな女の子を見て、おばあさんはやさしくいいました。$ I: r, o* s  y

1 }+ M' t! K) N: F. N「大切に着てあげてくださいね」: R2 L4 R: }6 p& ?
9 B- r2 ]* R2 H& v* n

& |  [0 I1 `: H; ~& Q
- V+ p* _2 @2 X# g# S0 K
回复

使用道具 举报

发表于 2004-7-7 23:00:00 | 显示全部楼层
日本好多唯美的文章让人读来心痛不已。
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2004-7-9 23:00:00 | 显示全部楼层
這種文章假如用朗讀的方式
* E$ Y8 J8 x3 }: v6 p! z+ e+ j2 C$ z6 n) {
應該會賺人熱淚吧...
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2006-9-13 22:42:28 | 显示全部楼层
能不能多传点
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2006-10-20 20:21:38 | 显示全部楼层
谢谢
回复 支持 反对

使用道具 举报

发表于 2006-11-1 21:16:58 | 显示全部楼层
好文谢谢楼主了
回复 支持 反对

使用道具 举报

您需要登录后才可以回帖 登录 | 注~册

本版积分规则

小黑屋|手机版|咖啡日语

GMT+8, 2025-11-4 10:07

Powered by Discuz! X3.4

© 2001-2017 Comsenz Inc.

快速回复 返回顶部 返回列表