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发表于 2004-4-17 23:00:00
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04月17日
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2 G1 C+ D! r& c% \$ l( P 「私の生涯は、歯痛に悩まされ通しであつた」。室生犀星の短編「歯の生涯」の書き出しだ。
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仕事を始めると、歯痛も始まる。「歯が燃え、歯ぐきが常態を逸して来て、歯と呼応し、口の中の歯が一さいがたがたに不揃へに凸凹になる。熱が出る」(『室生犀星全集』新潮社)。歯の痛みは、奥が深い。
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" N& w* @$ L7 t7 J) U s. o/ k, m8 ~ ヨーロッパには、歯が痛い時に祈願するアポロニアという女性の聖人がいるそうだ。3世紀ごろ、キリスト教徒に対する暴動に遭う。歯を抜かれる拷問の果てに、殉教した。アポロニアを描いた肖像画では、若く、ほほえむ聖人が右手に歯を抜く「やっとこ」を持っていた。細長いペンチのような道具だ。 7 C |9 C% g& \' M; G4 f8 z
. {8 N1 L, t, u% N- E 失礼ながら、歯医者さんという人たちは、患者にとっては、やっとこに見える時がある。怖いのだが聖人とはまた別の頼りがいもある。患者は、痛さだけでなく「行かなければならない」と「行きたくない」の間でも悩む。 0 e1 K, i0 l8 d. s6 }
+ } i- G+ X9 |+ r 歯科医の辕焾蟪辘蜓菠盲啤K着の構造がくっきりと見えるような汚職事件が発覚した。報酬を決める立場にある委員が、業界のために便宜をはかってほしいという意味のワイロを受け取った容疑だ。古来、こうした事件には、政界が深く絡んでいた。日々まじめに患者を導いている歯科医のためにも、患部の奥深くまで調べてもらいたい。
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& u, Y% O X4 p( ^+ t 犀星は、歯科医に抜かれた歯に「しめやかな感慨」を抱くと書く。「歯は歯だけの死ではない、人間全体の死を小さく縮めて見せてゐる死なのである」。やっとこの世界には、いささかの厳粛さが宿っていてほしい。- v" C0 W5 R; n8 w! {2 O
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昨日、東京は、少し歩いていると、半袖でも汗が出るほどの陽気だった。都心の公園に行った。 0 G1 @ D' w$ e: m" d7 |, ?, o
# o. ^) P; k6 v5 P! V! W 大きなケヤキが数本並んでいる。太い、茶色っぽい幹の上方に、ほうきを広げたように枝が伸びている。その枝先に近いところには、若い葉がこんもりとしげり始めている。少し離れて眺めると、ぽかん、ぽかんと中空に浮かぶ、さみどりの綿雲のようだった。
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0 Y# A% d* c( I- i) M; s( ~ 葉桜の続く一角を、くぐり抜ける。かさり、かさり、乾いた音がする。一面に葉が落ちている。見上げると、クスノキの大樹のようだ。立ち止まっている間にも、黄色になった大ぶりの葉が、次々に身を翻して落ちてくる。この時期に常緑樹が葉を落とす、春落ち葉、なのだろう。 3 ?" Y6 C8 _ V4 Z% |
) _ O7 E) @% u* U3 t- @$ N 今時分の木々の若葉が、夏場の緑と異なるのは、その色の初々しさと、葉の柔らかさ、小ささだ。冬の間隠れていたものが、時を待って緑の点々のように表にあらわれ、少しずつ手を広げてゆく。木々は、以前からその場で生きていたのだが、春ごとに、その生を確かめているかのようだ。 ( l$ [$ x* e! S% K0 \* q# w
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公園を出て、しばらく歩く。ハナミズキのある並木道へ曲がった途端、白い花弁状の総苞片(そうほうへん)をびっしりとつけた姿が見えた。輝く、雪のような白い連なりは、今は遠くへと立ち去った冬の名残のようにも思われた。
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夕方、イラクで武装集団に拘束されていた日本人ふたりの解放を知る。先日解放された3人も、やがて帰国すると聞く。無事でよかった。昼間見た、若葉、落ち葉、白い帯という、木々それぞれの新しい生の息吹をかみしめながら、そう思った。 |
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