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楼主: hmily_1983

中国怪奇小説集_捜神記(六朝)(日文版)

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 楼主| 发表于 2005-12-10 13:55:52 | 显示全部楼层
雷車

 東晋の永和(えいわ)年中に、義興(ぎこう)の周(しゅう)という姓の人が都を出た。主人は馬に乗り、従者二人が付き添ってゆくと、今夜の宿りを求むべき村里へ行き着かないうちに、日が暮れかかった。\
 路ばたに一軒の新しい草葺(くさぶ)きの家があって、ひとりの女が門(かど)に立っていた。女は十六、七で、ここらには珍しい上品な顔容(かおかたち)で、着物も鮮麗である。彼女は周に声をかけた。
「もうやがて日が暮れます。次の村へ行き着くのさえ覚束(おぼつか)ないのに、どうして臨賀(りんが)まで行かれましょう」
 周は臨賀という所まで行くのではなかったが、次の村へも覚束ないと聞いて、今夜はここの家(うち)へ泊めて貰うことにすると、女はかいがいしく立ち働いて、火をおこして、湯を沸かして、晩飯を食わせてくれた。
 やがて夜の初更(しょこう)(午後七時―九時)とおぼしき頃に、家の外から小児(こども)の呼ぶ声がきこえた。
「阿香(あこう)」
 それは女の名であるらしく、振り返って返事をすると、外ではまた言った。
「おまえに御用がある。雷車(らいしゃ)を推せという仰せだ」
「はい、はい」
 外の声はそれぎりで止むと、女は周にむかって言った。
「折角(せっかく)お泊まり下すっても、おかまい申すことも出来ません。わたくしは急用が起りましたので、すぐに行ってまいります」
 女は早々に出て行った。雷車を推せとはどういう事であろうと、周は従者らと噂をしていると、やがて夜半から大雷雨になったので、三人は顔をみあわせた。
 雷雨は暁け方にやむと、つづいて女は帰って来たので、彼女がいよいよ唯者(ただもの)でないことを三人は覚(さと)った。鄭重(ていちょう)に礼をのべて、彼女にわかれて、門を出てから見かえると、女のすがたも草の家も忽ち跡なく消えうせて、そこには新しい塚があるばかりであったので、三人は又もや顔を見あわせた。
 それにつけても、彼女が「臨賀までは遠い」と言ったのはどういう意味であるか、かれらにも判らなかった。しかも幾年の後に、その謎の解ける時節が来た。周は立身して臨賀の太守となったのである。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 13:56:33 | 显示全部楼层
武陵桃林

 東晋(とうしん)の太元(たいげん)年中に武陵(ぶりょう)の黄道真(こうどうしん)という漁人(ぎょじん)が魚を捕りに出て、渓川(たにがわ)に沿うて漕いで行くうちに、どのくらい深入りをしたか知らないが、たちまち桃の林を見いだした。
 桃の花は岸を挟んで一面に紅く咲きみだれていて、ほとんど他の雑木はなかった。黄は不思議に思って、なおも奥ふかく進んでゆくと、桃の林の尽くるところに、川の水源(みなもと)がある。そこには一つの山があって、山には小さい洞(ほら)がある。洞の奥からは光りが洩れる。彼は舟から上がって、その洞穴の門をくぐってゆくと、初めのうちは甚だ狭く、わずかに一人を通ずるくらいであったが、また行くこと数十歩にして俄かに眼さきは広くなった。
 そこには立派な家屋もあれば、よい田畑もあり、桑もあれば竹もある。路も縦横に開けて、(とり)や犬の声もきこえる。そこらを往来している男も女も、衣服はみな他国人のような姿であるが、老人も小児も見るからに楽しそうな顔色であった。かれらは黄を見て、ひどく驚いた様子で、おまえは何処(どこ)の人でどうして来たかと集まって訊くので、黄は正直に答えると、かれらは黄を一軒の大きい家へ案内して、を調理し、酒をすすめて饗応した。それを聞き伝えて、一村の者がみな打ち寄って来た。
 かれら自身の説明によると、その祖先が秦(しん)の暴政を避くるがために、妻子眷族(けんぞく)をたずさえ、村人を伴って、この人跡(じんせき)絶えたるところへ隠れ住むことになったのである。その以来再び世間に出ようともせず、子々孫々ここに平和の歳月(としつき)を送っているので、世間のことはなんにも知らない。秦のほろびた事も知らない。漢(かん)の興(おこ)ったことも知らない。その漢がまた衰えて、魏(ぎ)となり、晋(しん)となったことも知らない。黄が一々それを説明して聞かせると、いずれもその変遷に驚いているらしかった。
 黄はそれからそれへと他の家にも案内されて、五、六日のあいだは種々の饗応を受けていたが、あまりに帰りがおくれては家内の者が心配するであろうと思ったので、別れを告げて帰って来た。その帰り路のところどころに目標(めじるし)をつけて置いて、黄は郡城にその次第を届けて出ると、時の太守劉韻(りゅういん)は彼に人を添えて再び探査につかわしたが、目標はなんの役にも立たず、結局その桃林を尋ね当てることが出来なかった。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 13:57:04 | 显示全部楼层
離魂病

 宋(そう)のとき、なにがしという男がその妻と共に眠った。夜があけて、妻が起きて出た後に、夫もまた起きて出た。
 やがて妻が戻って来ると、夫は衾(よぎ)のうちに眠っているのであった。自分の出たあとに夫の出たことを知らないので、妻は別に怪しみもせずにいると、やがて奴僕(しもべ)が来て、旦那様が鏡をくれと仰(おっ)しゃりますと言った。
「ふざけてはいけない。旦那はここに寝ているではないか」と、妻は笑った。
「いえ、旦那様はあちらにおいでになります」
 奴僕も不思議そうに覗いてみると、主人はたしかに衾を被(き)て寝ているので、彼は顔色をかえて駈け出した。その報告に、夫も怪しんで来てみると、果たして寝床の上には自分と寸分違わない男が安らかに眠っているのであった。
「騒いではならない。静かにしろ」
 夫は近寄って手をさしのべ、衾の上からしずかにかの男を撫(な)でていると、その形は次第に薄く且(か)つ消えてしまった。
 夫婦も奴僕も言い知れない恐怖に囚(とら)われていると、それから間もなく、その夫は一種の病いにかかって、物の理屈も判らないようなぼんやりした人間になった。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 13:57:33 | 显示全部楼层
狐の手帳

 呉(ご)郡の顧旃(こせん)が猟(かり)に出て、一つの高い岡にのぼると、どこかで突然に人の声がきこえた。
「ああ、ことしは駄目だ」
 こんなところに誰か忍んでいるのかと怪しんで、彼は連れの者どもと共にそこらを探してあるくと、岡の上に一つの穽(あな)があって、それは古塚の頽(くず)れたものであるらしかった。
 その穽の中には一匹の古狐が坐って、何かの一巻を読んでいたので、すぐに猟犬を放してそれを咬み殺させた。それから狐の読んでいたものを検(あらた)めると、それには大勢の女の名を書きならべて、ある者には朱で鈎(かぎ)を引いてあった。察するに、妖狐が種々に形を変じて、容貌(きりょう)のいい女子(おなご)を犯していたもので、朱の鈎を引いてあるのは、すでにその目的を達したものであろう。
 女の名は百余人の多きにのぼって、顧旃のむすめの名もそのうちに記(しる)されていたが、幸いにまだ朱を引いていなかった。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 13:58:21 | 显示全部楼层
雷を罵る

 呉興(ごこう)の章苟(しょうこう)という男が五月の頃に田を耕しに出た。かれは真菰(まこも)に餅をつつんで来て、毎夕の食い物にしていたが、それがしばしば紛失するので、あるときそっと窺っていると、一匹の大きい蛇が忍び寄って偸(ぬす)み食らうのであった。彼は大いに怒って、長柄の鎌をもって切り付けると、蛇は傷ついて走った。
 彼はなおも追ってゆくと、ある坂の下に穴があって、蛇はそこへ逃げ込んだ。おのれどうしてくれようかと思案していると、穴のなかでは泣き声がきこえた。
「あいつがおれを切りゃあがった」
「あいつどうしてやろう」
「かみなりに頼んで撃ち殺させようか」
 そんな相談をしているかと思うと、たちまちに空が暗くなって、彼のあたまの上に雷(らい)の音が近づいて来た。しかも彼は頑強の男であるので、跳(おど)りあがって大いに罵(ののし)った。
「天がおれを貧乏な人間にこしらえたから、よんどころなしに毎日あくせくと働いているのだ。その命の綱の食い物をぬすむような奴を、切ったのがどうしたのだ。おれが悪いか、蛇が悪いか、考えてみても知れたことだ。そのくらいの理屈が分からねえで、おれに天罰をくだそうというなら、かみなりでも何でも来て見ろ。おのれ唯(ただ)は置かねえから覚悟しろ」
 彼は得物(えもの)を取り直して、天を睨(にら)んで突っ立っていると、その勢いに辟易(へきえき)したのか、あるいは道理に服したのか、雷は次第に遠退いて、かえって蛇の穴の上に落ちた。天が晴れてから見ると、そこには大小数十匹の蛇が重なり合って死んでいた。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 13:59:02 | 显示全部楼层
 白帯の人

 呉(ご)の末に、臨海の人が山に入って猟(かり)をしていた。彼は木間(このま)に粗末の小屋を作って、そこに寝泊まりしていると、ある夜ひとりの男がたずねて来た。男は身のたけ一丈もあるらしく、黄衣をきて白い帯を垂れていた。
「折り入ってお願いがあって参りました」と、かれは言った。「実はわたくしに敵があって、明日ここで戦わなければなりません。どうぞ加勢をねがいます」
「よろしい。その敵は何者です」
「それは自然にわかります。ともかくも明日の午(ひる)頃にそこの渓(たに)へ来てください。敵は北から来て、わたくしは南からむかいます。敵は黄の帯を締めています、わたくしは白の帯をしめています」
 猟師は承知すると、かの男はよろこんで帰った。そこで、あくる日、約束の時刻に行ってみると、果たして渓(たに)の北方から風雨(あらし)のような声がひびいて来て、草も木も皆ざわざわとなびいた。南の方も同様である。やがて北からは黄いろい蛇、南からは白い蛇、いずれも長さ十余丈(じょう)、渓の中ほどで行き合って、たがいに絡み合い咬み合って戦ったが、白い方の勢いがやや弱いようにみえた。約束はここだと思って、猟師は黄いろい蛇を目がけて矢を放つと、蛇は見ごとに急所を射られて斃(たお)れた。
 夜になると、咋夜の男が又たずねて来て、彼に厚く礼をのべた。
「ここに一年とどまって猟をなされば、きっとたくさんの獲物があります。ただし来年になったらばお帰りなさい。そうして、再びここへ来てはなりません」と、男は堅く念を押して帰った。
 なるほど其の後は大いなる獲物があって、一年のあいだに彼は莫大の金儲けをすることが出来た。それでいったんは山を降って、無事に五、六年を送ったが、昔の獲物のことを忘れかねて、あるとき再びかの山中へ猟にゆくと、白い帯の男が又あらわれた。
「あなたは困ったものです」と、彼は愁(うれ)うるが如くに言った。「再びここへ来てはならないと、わたくしがあれほど戒(いまし)めて置いたのに、それを用いないで又来るとは……。仇の子がもう成長していますから、きっとあなたに復讐するでしょう。それはあなたのみずから求めた禍いで、わたくしの知ったことではありません」
 言うかと思うと、彼は消えるように立ち去ったので、猟師は俄かに怖ろしくなって、早々にここを逃げ去ろうとすると、たちまちに黒い衣(きぬ)をきた者三人、いずれも身のたけ八尺ぐらいで、大きい口をあいて向かって来たので、猟師はその場に仆(たお)れてしまった。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 13:59:32 | 显示全部楼层
白亀

 東晋の咸康(かんこう)年中に、予(よ)州の刺史毛宝(ししもうほう)が(しゅ)の城を守っていると、その部下の或る軍士が武昌(ぶしょう)の市(いち)へ行って、一頭の白い亀を売っているのを見た。亀は長さ四、五寸(すん)、雪のように真っ白で頗(すこぶ)る可愛らしいので、彼はそれを買って帰って甕(かめ)のなかに養って置くと、日を経るにしたがって大きくなって、やがて一尺ほどにもなったので、軍士はそれを憐れんで江の中へ放してやった。
 それから幾年の後である。の城は石季龍(せききりゅう)の軍に囲まれて破られ、毛宝は予州を捨てて走った。その落城の際に、城中の者の多数は江に飛び込んで死んだ。かの軍士も鎧(よろい)を着て、刀を持ったままで江に飛び込むと、なにか大きい石の上に堕(お)ちたように感じられて、水はその腰のあたりまでしか達(とど)かなかった。
 やがて中流まで運び出されてよく視ると、それはさきに放してやった白い亀で、その甲が六、七尺に生長していた。亀はむかしの恩人を載せて、むこうの岸まで送りとどけ、その無事に上陸するのを見て泳ぎ去ったが、中流まで来たときに再び振り返ってその人を見て、しずかに水の底に沈んだ。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 14:01:01 | 显示全部楼层
髑髏軍

 西晋(せいしん)の永嘉(えいか)五年、張栄(ちょうえい)が高平(こうへい)の巡邏主(じゅんらしゅ)となっていた時に、曹嶷(そうぎ)という賊が乱を起して、近所の地方をあらし廻るので、張は各村の住民に命じて、一種の自警団を組織し、各所に堡塁(ほうるい)を築いてみずから守らせた。
 ある夜のことである。山の上に火が起って、烟(けむ)りや火焔(ほのお)が高く舞いあがり、人馬の物音や甲冑(かっちゅう)のひびきが物(もの)騒がしくきこえたので、さては賊軍が押し寄せて来たに相違ないと、いずれも俄かに用心した。張はかれらを迎え撃つために、軍士を率いて駈けむかうと、山のあたりに人影はみえず、ただ無数の火の粉が飛んで来て、人の鎧や馬のたてがみに燃えつくので、皆おどろいて逃げ戻った。
 あくる朝、再び山へ登ってみると、どこにも火を焚(た)いたらしい跡はなく、ただ百人あまりの枯れた髑髏(どくろ)がそこらに散乱しているのみであった。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 14:01:31 | 显示全部楼层


 宋(そう)(南朝)の元嘉(げんか)年間のはじめである。富陽(ふよう)の人、王(おう)という男が蟹(かに)を捕るために、河のなかへ※(やな)[#「竹/斷」、64-3]を作って置いて、あくる朝それを見にゆくと、長さ二尺ほどの材木が※[#「竹/斷」、64-3]のなかに横たわっていた。それがために竹は破れて、蟹は一匹もかかっていなかった。
 そこで、その材木を岸の上に取って捨て、竹の破れを修繕して帰って来たが、翌日再び行ってみると、かの材木は又もや同じところに横たわっていて、※[#「竹/斷」、64-6]を破ること前日の如くである。
「これは不思議だ。この林木は何か怪しい物かも知れないぞ、いっそ焚(や)いてしまえ」
 蟹を入れる籠のなかへかの材木を押し込んで、肩に引っかけて帰って来ると、その途中で籠のなかから何かがさがさいう音がきこえるので、王は振り返ってみると、材木はいつの間にか奇怪な物に変っていた。顔は人のごとく、体は猴(さる)の如くで、一本足である。その怪物は王に訴えた。
「わたしは蟹が大好きであるので、実はあなたの竹を破って、その蟹をみんな食ってしまいました。どうぞ勘弁してください。もしわたしを赦(ゆる)して下されば、きっとあなたに助力して大きい蟹の捕れるようにして上げます。わたしは山の神です」
「どうして勘弁がなるものか」と、王は罵った。「貴様は一度ならず二度までも、おれの漁場をあらした奴だ。山の神でもなんでも容赦はない。罪の報いと諦めて往生しろ」
 怪物はどうぞ赦してくれとしきりに掻き口説(くど)いたが、王は頑として応じないので、怪物は最後に言った。
「それでは、あなたの姓名はなんというのですか」
「おれの名をきいてどうするのだ」
「ぜひ教えてください」
「忌(いや)だ、いやだ」
 なにを言っても取り合わない。そのうちに彼の家はだんだん近くなったので、怪物は悲しげに言った。
「わたしを赦してもくれず、また自分の姓名を教えてもくれない以上は、もうどうにも仕様がない。わたしもむなしく殺されるばかりだ」
 王は自分のうちへ帰って、すぐにその怪物を籠と共に焚いてしまったが、寂(せき)としてなんの声もなかった。土地の人はこのたぐいの怪物を山(さんそう)と呼んでいるのである。かれらは人の姓名を知ると、不思議にその人を傷つけることが出来ると伝えられている。怪物がしきりに王の姓名を聞こうとしたのも、彼を害して逃がれようとしたものらしい。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 14:03:49 | 显示全部楼层
熊の母

 東晋(とうしん)の升平(しょうへい)年間に、ある人が山奥へ虎を射に行くと、あやまって一つの穴に堕(お)ちた。穴の底は非常に深く、内には数頭の仔熊が遊んでいた。
 さては熊の穴へはいったかと思ったが、穴が深いので出ることが出来ない。そのうちに一頭の大きい熊が外から戻って来たので、しょせん助からないと覚悟していると、熊はしまってある果物(くだもの)を取り出してまず仔熊にあたえた。それから又、一人分の果物を出して彼の前に置いた。彼はひどく腹が空いているので、怖ろしいのも忘れてそれを食った。
 熊は別に害を加えようとする様子もないので、彼もだんだんに安心して来た。熊は仔熊の母であることも判った。親熊は毎日外へ出ると、かならず果物を拾って帰って、仔熊にもあたえ、彼にも分けてくれた。それで彼は幸いに餓死をまぬかれていたが、日数を経るうちに仔熊もおいおい生長したので、親熊は一々にそれを背負って穴の外へ運び出した。\
 自分ひとりが取り残されたら、いよいよ餓死することと観念していると、仔熊を残らず運び終った後に、親熊はまた引っ返して来て、人の前に坐った。彼はその意を覚って、その足に抱きつくと、熊は彼をかかえたままで穴の外へ跳り出した。こうして、彼は無事に生き還ったのである。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 14:04:21 | 显示全部楼层
烏龍

 会稽(かいけい)の句章(こうしょう)の民、張然(ちょうぜん)という男は都の夫役(ぶやく)に徴(め)されて、年を経るまで帰ることが出来なかった。留守は若い妻と一人の僕(しもべ)ばかりで、かれらはいつか密通した。
 張は都にあるあいだに一匹の狗(いぬ)を飼った。それは甚だすこやかな狗であるので、張は烏龍(うりゅう)と名づけて愛育しているうちに、いったん帰郷することとなったので、彼は烏龍を伴って帰った。
 夫が突然に帰って来たので、妻と僕は相談の末に彼を亡き者にしようと企てた。妻は飯の支度をして、夫と共に箸をとろうとする時、俄かに形をあらためて言った。
「これが一生のお別れです。あなたも機嫌よく箸をおとりなさい」
 おかしなことを言うと思うと、部屋の入口には僕が刀を帯びて、弓に矢をつがえて立っていた。彼は主人の食事の終るのを待っているのである。さてはと覚ったが、もうどうすることも出来ないので、張はただ泣くばかりであった。烏龍はその時も主人のそばに付いていたので、張は皿のなかの肉をとって狗にあたえた。
「わたしはここで殺されるのだ。お前は救ってくれるか」
 烏龍はその肉を啖(く)わないで、眼を据え、くちびるを舐(ねぶ)りながら、仇の僕を睨みつめているのである。張もその意を覚って、やや安心していると、僕は待ちかねて早く食え食えと主人に迫るので、張は奮然決心して、わが膝を叩きながら大いに叫んだ。
「烏龍、やっつけろ」
 狗は声に応じて飛びかかって僕に咬みついた。それが飛鳥のような疾(はや)さであるので、彼は思わず得物を取り落して地に倒れた。張はその刀を奪って、直ちに不義の僕を斬り殺した。妻は県の役所へ引き渡されて、法のごとくに行なわれた。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 14:04:49 | 显示全部楼层
鷺娘

 銭塘(せんとう)の杜(と)という人が船に乗って行った。時は雪の降りしきる夕暮れである。白い着物をきた一人の若い女が岸の上を来かかったので、杜は船中から声をかけた。
「姐(ねえ)さん。雪のふるのにお困りだろう。こっちの船へおいでなさい」
 女も立ち停まってそれに答えた。たがいに何か冗談を言い合った末に、杜は女をわが船へ乗せてゆくと、やがて女は一羽の白鷺(しらさぎ)となって雪のなかを飛び去ったので、杜は俄かにぞっとした。それから間もなく、彼は病んで死んだ。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 14:05:15 | 显示全部楼层
蜜蜂

 宋の元嘉(げんか)元年に、建安(けんあん)郡の山賊百余人が郡内へ襲って来て、民家の財産や女たちを掠奪した。
 その挙げ句に、かれらは或る寺へも乱入して財宝を掠(かす)め取ろうとした。この寺ではかねて供養に用いる諸道具を別室に蔵(おさ)めてあったので、賊はその室(へや)の戸を打ち毀(こわ)して踏み込むと、忽ちに法衣(ころも)を入れてある革籠(かわご)のなかから幾万匹の蜜蜂が飛び出した。その幾万匹が一度に群がって賊を螫(さ)したので、かれらも狼狽した。ある者は体じゅうを螫され、ある者は眼を突きつぶされ、初めに掠奪した獲物をもみな打ち捨てて、転げまわって逃げ去った。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 14:06:07 | 显示全部楼层
犬妖

 林慮山(りんりょざん)の下に一つの亭がある。ここを通って、そこに宿る者はみな病死するということになっている。あるとき十余人の男おんなが入りまじって博奕(ばくち)をしているのを見た者があって、かれらは白や黄の着物をきていたと伝えられた。
 伯夷(しつはくい)という男がそこに宿って、燭(しょく)を照らして経(きょう)を読んでいると、夜なかに十余人があつまって来て、彼と列(なら)んで坐を占めたが、やがて博奕の勝負をはじめたので、はひそかに燭をさし付けて窺うと、かれらの顔はみな犬であった。そこで、燭を執って起(た)ちあがる時、かれは粗相(そそう)の振りをして、燭の火をかれらの着物にこすり付けると、着物の焦げるのがあたかも毛を燃やしたように匂ったので、もう疑うまでもないと思った。
 かれは懐ろ刀をぬき出して、やにわにその一人を突き刺すと、初めは人のような叫びを揚げたが、やがて倒れて犬の姿になった。それを見て、他の者どもはみな逃げ去った。
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 楼主| 发表于 2005-12-10 14:07:14 | 显示全部楼层
犬妖

 林慮山(りんりょざん)の下に一つの亭がある。ここを通って、そこに宿る者はみな病死するということになっている。あるとき十余人の男おんなが入りまじって博奕(ばくち)をしているのを見た者があって、かれらは白や黄の着物をきていたと伝えられた。
 伯夷(しつはくい)という男がそこに宿って、燭(しょく)を照らして経(きょう)を読んでいると、夜なかに十余人があつまって来て、彼と列(なら)んで坐を占めたが、やがて博奕の勝負をはじめたので、はひそかに燭をさし付けて窺うと、かれらの顔はみな犬であった。そこで、燭を執って起(た)ちあがる時、かれは粗相(そそう)の振りをして、燭の火をかれらの着物にこすり付けると、着物の焦げるのがあたかも毛を燃やしたように匂ったので、もう疑うまでもないと思った。
 かれは懐ろ刀をぬき出して、やにわにその一人を突き刺すと、初めは人のような叫びを揚げたが、やがて倒れて犬の姿になった。それを見て、他の者どもはみな逃げ去った。
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