[B] クマの縫いぐるみと手編みのベスト[/B]
私の母は、私が中学校三年生の時一年余り病床に伏せた後亡くなった。
今のように進歩した薬もなく、食べ物も少ない時代だったので、栄養なども満足に付けられないまま亡くなってしまったのだった。
今なら絶対に治っていると思うと悔しいし胸が痛む。
母は病床で幾つか詩のようなものを書いていたのを覚えているが、その後探しても見つからなかった。だから母が書いたものは何一つ持っていないが、ただ一つだけ残った物があった。それは病気の初期に私のために編んでくれた毛糸のベストであった。
物のない時代だったので古い毛糸を寄せ集めて編んでくれたものだから、色々な色が交っていて、少年だった私はあまり好きではなかったが、分厚で暖かかったので寒い時にはよく着ていた。
私は結婚してからも、このベストを母の唯一の形見として大切に持っていた。
ところか、ある日このベストを探しても探しても見つからない。
妻に聞いてみたら、「よく覚えていないけれど処分したかもしれない」という。妻の立場からすれば、縮んでもう着られない薄汚れたベストなど不要な物だから捨ててしまったのだろう。「大事な物だったら、そう言ってくれないと私には分からないわよ」。
もう後の祭り・・・・・・母の手を感じるものは全く無くなってしまった。大事なテープをうっかり消してしまったように、いくら後悔してももう元には戻らないのだ。
いまでもベストが無くなったのは夢であって、まだ家のどこかに隠れていて見つからないだけなんだ、と思う自分の気持ちが悲しい。
今年の第55回、毎日映画コンクールでアニメーション賞を受賞した、ドラえもん「おばあちゃんの思い出」を見ていて、母のベストのことと重なって涙してしまった。
物語は、捨てられそうになっていたクマの縫いぐるい、それは幼いののび太が、おばあちゃんに買ってもらったもので、犬に食い破られた所も修理してある想い出一杯の品物・・・・・・これを見ておばあちゃんに会いたくなり、ドラえもんと共にタイムマシンで過去の時代に戻る。そこには懷かしい景色が広がっていた。
そこでは、“幼いのび太”が我がままを言っておばあちゃんを困らせていた・・・・・・ドラえもん版バック・トゥ・ザ・フューチャーといえる作品だが。自分の懐かしい思い出の中に戻ることの出来るキーワードが縫いぐるみであり、私の場合は手編みのベストだった。
のび太は懐かしいさと申し訳なさのあまり、タイムマシンのルールを破って成長した姿をおばあちゃんの前に見せてしまった。
「信じてもらえないかもしれないけれど、ぼく小学校5年生の、のび太です・・・・・・小さなぼくは我がままばかり言って・・・・・・ごめん!」
「のびちゃんかい?さっきからそんな気がしていましたよ・・・・・・」温かいなぁ、この話。
私はのび太が羨ましい。思い出の縫いぐるみはまだ手元に残っているし、懐かしいおばちゃんにもあえた。私にもドラえもんがいてくれたら・・・・・・と思う。
[B]小布熊和针织背心[/B]
我的母亲在我中学三年级的时候病倒了,那个时候不像现在医疗技术这么发达,没有药也没有足够的食物来补充营养,一年后就这么去世了。
如果是现在绝对能够治好的,每次这么想,胸口就不住得痛了起来。
依稀记得母亲在病榻上写过一些诗歌,之后也找不到了。因此母亲也就没有留下书面的东西了。但是还有一样东西是母亲留下的,那便是病的初期母亲亲手编制的背心。
因为那个时候物资贫乏,编制用的毛线也是四处收集起来的,各种颜色交织在一起,对于当时的我来说,并不是十分地喜欢。只有在很冷的时候才穿。
在我结婚之后,这件背心就作为十分重要的东西被保留着。
可是有一天却怎么也找不到了。
妻子听到了以后说:“我看也没什么用就扔掉了。”从妻子的立场来说,一件已经缩了水而且脏兮兮的背心自然是不要了。
“既然是重要的东西,你也没有对我说过,我并不知道。”
在母亲忌日的那天,想到有母亲手感的东西已经全部没有了,不管多么后悔都于事无补了。
在今年第55回的每日映画评选赛上领奖的时候,观赏的作品是多拉A梦之『怀念奶奶』,回想起了母亲编织的背心,不禁黯然泪下。
故事是说野比找到了小时候奶奶买给自己的小布熊,想到小布熊曾被狗咬坏了有被修补过的痕迹,就想和多拉A梦一起用时光机器去看奶奶,至此故事就开始了。
之后他们又遇到了小时候的野比,看到他正在对奶奶任性,感到了十分的气愤······这可以说是一个多拉A梦版本的《回到未来》,让野比产生思念之情的关键道具是那只小布熊,对于我来说就是那件针织背心。
野比因为太想念奶奶了,就违背了之前和多拉A梦的约定,以小学生的样子出现在了奶奶的面前。
『虽然可能很难让人相信,但我是小学五年纪的野比!·······小时候的我太任性了······对不起!』
『真的是小野比吗!从刚才就一直有这样的感觉······』好温馨~啊这段对话。
我非常羡慕野比,看到小时候小布熊就能去见到怀念的奶奶,我也想要一个多拉A梦······
(《NEWTYPE》2001年3月号by 铃木伸一)
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