現代では「こどもの日」として祝われる5月5日。この日はもともと五節句の端午の節句にあたります。端午の端は「はじめ」という意味で、「端午(たんご)」は5月最初の午(うま)の日のことでした。それが、午(ご)という文字の音が五に通じることなどから、奈良時代以降、5月5日が端午の節句として定着していきました。
端午の節句は、その時期に盛りを迎える菖蒲を様々な形でふんだんに用いることから、菖蒲の節句とも呼ばれています。菖蒲には、古来から健康を保ち、邪気を祓(はら)う力があると信じられていました。菖蒲はいわゆるハーブのように、その葉から出る強い香りが活用されたのです。菖蒲湯に入浴し、菖蒲酒を飲み、菖蒲枕に眠るなど、端午の節句は、まさに菖蒲づくしの一日でした。また、こうした薬効の活用だけでなく、家の軒に菖蒲を飾って邪気を祓うという風習も古くから行われました。
5月は、春から夏への季節の変わり目にあたり、疲れが出たり病気になりやすい頃です。また、田植えという、稲作の最大の要となる行事が行われれるため、これにそなえて十分な鋭気を養っておく必要がありました。端午の節句には、そんな時期を上手に乗り切る知恵が盛り込まれているのです。 |