いる（居る）
おる（居る）

漢字に直すと同じで、意味も非常に近いですが、日本人は日常でこれを明確に区別しています。
また、方言もかなり多いので注意が必要です。

１．ビジネス日本語の場合

○そちらにＡさんはいらっしゃいますか？（そこにＡさんはいるか？）
×そちらにＡさんはおりますか？（そこにＡさんはおるか？）

△こちらにＡがいますので、お電話をおつなぎ致します。（ここにＢがいる）
○こちらにＡがおりますので、お電話をおつなぎ致します。（ここにＢがおる）

同じ受話器の場合は「かわる」
違う受話器の場合は「つなぐ」

この場合の「おる」は「いる」の謙譲語です。
なので、相手に対して「おる」は使えませんが、自分・身内に対しては「おる」を使います。


２．日常で存在を表す場合

「彼はいつも図書館にいる」
「母がいるときはいつも犬は大人しい」

「おる」は自分の動作、他人の言動を蔑む意味を含むことがあります。

「まだ初級のクラスにおるなんて恥ずかしいことだ」
「いろいろ文句を言うものがおるので困る」


３．動物の存在を表す場合

猫が家の中にいる（おる）
犬が犬小屋にいる（おる）

「おる」の場合は強い発見・驚きを表す場合があります。

うちの犬があんなところにおった（いた）
あの周辺に魚が大群でおるぞ（いるぞ）

人間の場合、目上の人には「おる」はあまり使わない→方言は例外、４へ


４．方言の場合

博多弁の場合

「いる」の尊敬語が「おんしゃる」
（方言）先生がおんしゃる→（標準）先生がいらっしゃる→（標準語化）先生がおる→５へ
（方言）先生がどこにもおんしゃれん→（標準）先生がいらっしゃらない→（標準語化）先生がおらん（ない）→５へ

関西弁の場合

無生物にも「おる」を使うことがあります。

あんなところに箸がおった。（擬人化？）
「埼玉(さきたま)の津におる船の風をいたみ/万葉 3380」（古語由来か？）

関西の場合、日常会話で「おる」を使うことが多い。

「お母さん、おる？」
「うん、おるで（いてるで）」


以下はネット上の有名なコピペ

ﾌﾟﾙﾙ…ﾌﾟﾙﾙﾙ
俺「はい、もしもし」
西濃「おるかーー？」
俺「え…？ど、どちらさまでしょうか…？」
西濃「よーし、おるな！いくわ！」
俺「え、え！？」

ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ、ｶﾞﾁｬ

西濃「ここやで、ﾄﾝﾄﾝ（はんこ押すとこを指で叩きながら）」

　　　西　濃　は　神

他にも中部、北陸でも方言がある


５．古語の用法の場合

「おる」は丁寧語としても使っていました。

現代では老人語のようにも使われます。
「今、なにもしておらんのじゃ」

貴族や大名の発言
「その方、何をしておる？」（ここから尊大な言い方に？）

昔話の語り部の発言
「讃岐国に老夫婦がおったそうな」

「そちらにおられますか？」
ビジネス日本語では失礼だとされていますが、こういう言い方をする人もいます。
80年代頃にビジネスマンという言葉ができ、大体バブル期、90年代にビジネス日本語というものが出てきました。

「いる」「おる」は同じような意味がある場合があります。
「おる」には謙譲語、蔑む意味、丁寧語、古語のように多種多様な意味がありますので注意が必要です。