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和歌の名人である紀貫之は、『古今和歌集』の序文を「ひらがな」で書きました。『古今和歌集』は、日本で最初の「勅撰和歌集」――つまり「国家が作った和歌集」です。
《やまとうたはひとのこころをたねとしてよろづのことのはとぞなれりける。よのなかにある人ことわざしげきものなれば心におもふことを見るものきくものにつけていひいだせるなり》
この序文はもっと長く続きますが、ここまでで彼が言っていることは、あきらかです。この、漢字が三つしかない読みにくい文章の中で、彼はこう言っているのです――。「和歌というものは、人の心の中にある感情を核として生まれた言葉によってできているものだ。世の中に生きている人間にはいろんなことが起きて忙しいけれども、その忙しさが人間に働きかけて、いろんな感情を生む。その感情があるからこそ、人間は、なにかを見たり聞いたりするにつけて、自分の感情を形にした和歌を詠むのだ」
これは、「和歌の発生」を語るのと同時に、「人間の感情の発生」を語る文章です。日本人にとって、感情をもっともよく表現する道具は、外国語である漢字の漢文や漢詩ではなく、日本製の「ひらがな」だったということです。それだからこそ、紀貫之は和歌を詠みましたし、「ひらがなの文章」も書きたかったんです。
(原文の出所:『よのなかの教科書――国語』藤原和博 新潮社 P214)
この本を読んだお陰で日本語や日本人についていろんなことが理解できたような気がします。その上教育についても心得がありました。たくさん載せることはできないがみなさんにも読んでいただきたい部分をアープしました。日本でしか手に入ることが出来ないかもしれないがお勧めしたい一冊です。
添付資料:
藤原 和博(ふじはら かずひろ、1955年 - )は、日本の元公立中学校校長、著述家。東京都生まれ。東京都初の民間人校長として杉並区立和田中学校の校長を務めた。2008年3月 5年間の任期満了により、同中学校校長を退任。
参考ページ:
http://www.13hw.com/interview/interview01/01_01.html この人に聞きたい
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