一昨日、元同僚が山で遭難しました。

本社から連絡を受け、ただ呆然とするばかりでした。

 

一昨年会社を退社した時、最後の出張がてらに挨拶に見えた。

その時の会話を思い出す。

「会社人として、上海に来られるのはこれで最後。」

「原田さんはこれからどうするつもり？」

「田舎に帰ってお新香を漬けるさ」

「えっ？」

「だから、お新香を漬けて、田園生活でのんびりするの。あと2年ばかりすると、年金生活だ。それまでの辛抱さ」

「羨ましいわ。今度行ったらお新香をご馳走になるわ。浅漬けがいい。」

「うん、是非そうしてくれ。糠漬けもおいしいよ！」

 

あの最後の会話が一時全部蘇った。

だが、年金生活に入る前に、彼は他界に行きました。

 

気さくな人でした。

辞めるとき、社長と大喧嘩して、「バカヤロ！」と怒鳴って、灰皿を社長にぶん投げた。

社長の額にあたり、血が流れた。

だが、社長は黙って、何も言わなかった。

みんな驚きながら、ココロの中で快哉を叫んだ！

社長は間違っているけど、でもそんなことって、彼以外に誰ができよう？！

最後にひと言「退職金が一銭も要らないから、このことを良く考えてくれ！」

そして、本当に一銭も取らずにわが社を去っていた。

そんな人、いままで一人もいなかった。

退職金は一財産と見て、掛け合っていた人を何人を見ましたけど。

 

その人が死んだ。雪に埋もれて。

社長が泣いて、お通夜と告別式に出かけた。

彼の良さ、彼が正しかったこと、心ではよくわかっているだろう。