【お名刺を頂戴できますか】
見知らぬ人間に、面会を求めてきたとする。名前を聞いて取りつけばいいのだが、
名前だけではどんな人間かわかりにくいし、聞き取れないこともある。そこで確認のため、
名刺を預かるのはよくある話。
ただしのこの時、「恐れ入りますが、お名刺を頂戴できますか」というのは、ちょっと
考え物だ。
「頂戴する」は、「もらう」の謙譲語である。お客様に対する言葉として一見正しいようだが、
このケースでは当てはまらない。お客様はあなたではなく、別の人間に用があって訪ねてきているからだ。
当然、名刺を受取る必要があるのも、訪ねてこられた人間であり、取り次ぎ役のあなたではない。
あなたの役割は、名刺を預かり、お客様が会いたがっている人間に渡すことである。そう考えると、
「頂戴する」というのは、この場面であなたが使う言葉として不適切なのがお分かりだろう。
「恐れ入りますが、お名刺をお預かりできますでしょうか。」と尋ねるのが正しい。これならあなたが一時的に
名刺を預かり、お客様が指名しいる人間に渡すという意味になる。
こうした対応するならお客様も安心して、あなたに名刺を渡してくるはずである。