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日志

物語 --- 口あれば顔いらぬ

已有 484 次阅读2008-12-8 10:33 |个人分类:物語|

  “只食い”と言われる男がいた。誰かの家で美味しい物を作ったと聞くと、しめたとばかりその家にニヤニヤしながら行き、呼ばれもしないのに食べてしまうましてや招かれれば大変だ。座るやいなや遠慮会釈なく食べまくり、手土産一つ持って行かない。

 料理屋に行ってもこれと同じで何人かと料理を食べに行くと、懐に一銭もないのに旦那づらして振舞い、料理の注文にも「これを持って来い、あれを持って来い、金はあとで払う」と言い、みんなが食べおわってから最後に箸をおく。そして人々が勘定を済ますとやっと店の者に「おい、おわった勘定だ、勘定だ」と言う「勘定って何をですか、みなさんからもう貰いました」と言う具合だそれで人々はこの男を“只食い”と言ったのである。

 長い間こんな風で、人々はいつか“只食い”に金を払わせてやろうと考えていた。

 ある日、何人か集まり「あいつをやっつけてやろう」「どうしようか」「わしらだけで食べたり飲んだりして、あいつには食べさせず席にも着かせないそうしたらあいつがどうするか見てやろう」「よかろう」と話し合った。家で料理を沢山作り、大きな食卓に肉は山のよう、酒は海のように用意して五人丸く囲んで席を一杯にし“只食べ”が座れないようにした。

 そこへ“只食い”が来て「やあ-、みんなさん食べてますね」と言ったが誰も何も言わない。「いや-、何時もわたしは何もせず、何も言わずにいましたが、今日は食べおわったらひとつお礼をしましょうどうかわたしの所へ来てください牛一頭、羊一頭、豚一頭買ってあります。わたしは長い間、みなさんにご馳走になるだけでしたが、やっとお返しますみなさん、一緒に牛羊豚を丸ごと食べましょうこれでわたしの食べた分を帳消しにして、みなさんのご好意に報いるつもりです」と言った。

 これを聞くとお人好しの何人かが、あいつは“只食い”ではなかったのだと思い「あんたは本当にいい人だえ、牛を買った、羊を買った、豚を買ったって、それならいいや」と、“只食い”を座らせた。そこで“只食い”はまた腹一杯食べられた。

 食べおわって、みんなが「何時、呼んでくれるのかね」と聞いた。「もう買ってあるから何時でもいいですよ」「それはいい、それはいい、明日ではどうかね」「ええ、いいですよ」

 翌日“只食い”の家に行って見ると、そんな様子はない牛も羊も豚もない煙り出しから煙りも出ていないかまどには火もないこれで何ができると言うのだこれは真っ赤な嘘だまた“只食い”に騙されたのだみんなはすぐ「あんた、牛も羊も豚も全部食べたのかね、何処にあるんだわしら食べなくても見るだけでも見せてくれ」「ヤア-、牛羊豚はあるのか、ないのかだって、はっきり言うがね、あったんだどうしたかと言うと、ゆうべ俺が一口に飲み込んでしまったんだ」「嘘つけ-」「俺が嘘を言ってるって、俺のこの口は、はっきり言って本気になれば、下唇は地面で上唇は天までとどくのだ」「開いた口が地面から天までとどいたら、顔はどうなるんだ」すると“只食い”は「ヤア-、俺は口があれば顔はいらない」と言った。
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