59.「~のに」
●「~のに」の意味用法
「~のに」を持つ文は次のような形をとります。
のに、
前文 後文 (文末)
従属節 主節
「~のに」の意味用法は次のようです。
1)逆接を表す
「~のに」は前文から予想される結果と逆のことが後文に現れること(逆接)を表します。
「~のに」は前文(従属節)の事柄・事態が現在、または、すでに起こっている場合(既定)に用いられ、文全体として話し手の「とがめ」「非難」「意外な気持ち」などを表すことが多いです。
(1)行くなと言ったのに、彼は出かけていった。
(2)あんなに勉強したのに、どうして不合格なのだろう。
(3)寒いのに、窓を開けている。
「~のに」文では主節末に意志表現をとることはできません。
(4)おいしくないのに、食べてみてください。
(5)漢字が多いのに、頑張って読もう。
2)対比を表す
「~のに」は次のように前文と後文で対比的な関係を表すことがあります。
(6)きのうは寒かったのに、きょうは夏のように暑い。
(7)話すのは上手なのに、漢字は全然書けない。
3)終助詞的な「~のに」
「~のに」は終助詞のように文の終わりについて、話し手の不満や非難、残念だという気持ちを表すことがあります。
(8)どうして食べないの。せっかく作ったのに。
(9)楽しみにしていたのに。
● 「~のに」形の作り方
「~のに」の前には普通形をとります。「な形容詞」「名詞+だ」の接続の仕方に注意してください。
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動詞 |
い形容詞 |
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行く + のに
行かない
行った
行かなかった |
忙しい + のに
忙しくない
忙しかった
忙しくなかった |
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な形容詞 |
名詞 +だ |
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元気な +のに
元気じゃ/ではない
元気だった
元気じゃ/ではなかった |
休みな +のに
休みじゃ/ではない
休みだった
休みじゃ/ではなかった |
●「~が・~けれども」「~ても」「~のに」比較
ここでは、逆接を表す「が・けれども」「~ても」「~のに」について違いを比較してみましょう。ただし、これは絶対的なものではなく、だいたいの目安を示したものです。
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が・
けれども |
ても |
のに |
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未定の事柄に使える |
○ |
○ |
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既定の事柄に使える |
○ |
○ |
○ |
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仮定的な事柄を表すことができる |
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○ |
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主節の文末に意志表現がとれる |
○ |
○ |
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「非難・とがめ・
意外な気持ち」などが含まれる |
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○ |
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前置きを表す |
○ |
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終助詞的に使える |
○ |
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○ |
次のように「~のに」は「未定(まだ確定していない)の事柄」には使えません。
(10)a.彼に聞くつもりだけど、わからないだろう。
b.彼に聞いても、わからないだろう。
c.彼に聞くのに、わからないだろう。
「~が・~けれども」「~ても」「~のに」いずれも「既定(すでに確定している)の事柄に使えます。
(11)a.きのう彼に聞いたけど、わからなかった。(既定)
b.彼に聞いても、わからなかった。(既定)
c.彼に聞いたのに、わからなかった。(既定)
次のように既定の事柄にしか使えない「~のに」は、仮定的な事柄を表すことができません。
(12)a.宝くじを買うけど、当たらないだろう。
b.宝くじを買っても、当たらないだろう。
c.宝くじを買うのに、当たらないだろう。
「~が・~けれども」「~ても」は「主節の文末に意志表現がとれますが、「~のに」はとれません。
(13)a.苦しいだろうが、がんばれ。
b.苦しくても、がんばれ。
c.苦しいのに、がんばれ。
「~が・~けれども」「~ても」は、事柄・事態を述べるにとどまりますが、「~のに」は「非難・とがめ・意外な気持ち」などを表すことが多いです。
(14)a.頼んだけど、彼はやらなかった。
b.頼んでも、彼はやらなかった。
c.頼んだのに、彼はやらなかった。
「~が・~けれども」は「前置きを表す」ことができますが、「~ても」「~のに」はそのような働きはありません。
(15)a.さっきの話ですが、あれはもう決定ですか。
b.さっきの話でも、あれはもう決定ですか。
c.さっきの話なのに、あれはもう決定ですか。
「終助詞的に使える」というのは、次のような場合で、「~が・~けれども」「~のに」と異なり、「~ても」にはその用法はありません。
(16)a.私はよく知りませんが。
b.私はよく知らなくても。
c.私はよくしらないのに
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