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NHKにようこそ!
作者:    出处:咖啡日语    发表时间:2007-09-20    浏览次数:     


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NHKにようこそ! 滝本竜彦

俺は気づいてしまった。悪の組織NHKの存在を。俺が大学を中退したのも、無職なのも、今話題のひきこもりなのも、すべてがNHKの陰謀なのだということを。悪の組織を倒すその日まで、俺は雄々しく戦い抜く。だが、そんな俺の目の前に、とある宗教団体から刺客が送られてきた。日傘を差した清楚な美少女、岬ちゃん。彼女はいったい何者なのか? エロスとバイオレンスとドラッグに汚染された俺たちの未来を救うのは愛か勇気か、それとも友情か?
 驚愕のノンストップひきこもりアクション小説、ここに誕生
-------------------------------------------------------
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)ひきこもり人間が棲息《せいそく》

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CONTENTS

◇序
◇一章 戦士の誕生
◇二章 ジハード
◇三章 邂逅
◇四章 造物主への道
◇五章 二十一世紀のハンバート?ハンバート
◇六章 追憶、そして誓約
◇七章 回転する岩石
◇八章 潜入
◇九章 おしまいの日々
◇十章 ダイブ
◇終章 NHKにようこそ!
◇あとがき
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Welcome to The N.H.K
by Tatsuhiko Takimoto
Copyright c2002 by Tatsuhiko Takimoto
First Published 2002 in Japan by Kadokawa Shoten Publishing co.,Ltd.
This book is Published in Japan by direct arrangement with Boiled Eggs Ltd.

illustration:yoshitoshi Abe
design:Gichi OHTSUKA
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    序


 この世の中には「陰謀」が存在する。
 しかし、他人の口からまことしやかに語られる陰謀は、九十九パーセント以上の確率で、ただの妄想、もしくは意図的な大嘘にすぎない。
 本屋に行けばよく目にする「日本経済をダメにしたユダヤの大陰謀!」「宇宙人との密約を隠すCIAの超陰謀!」などという本も、すべてはつまらない単なる妄想である。
 だが──
 それでも我々人類は「陰謀」が大好きだ。
 陰謀。
 その甘くせつない響きに、我々はどうしようもなく魅了されてしまうのである。
 たとえば、「ユダヤ陰謀論」が作り出される過程を例にとって考えてみよう。
 ユダヤ陰謀論を書こうとしている人間は「どうして俺は貧乏なんだ?」「どうして生活が楽にならないんだ?」「どうして俺には彼女ができないんだ?」等々の、ひどいコンプレックスとルサンチマンを抱えている。彼の精神と肉体は、絶えず外部と内部からの圧迫に晒《さら》されている。
 そして鬱積《うっせき》する怨念《おんねん》、尽きることのない社会への憎悪。怒り。
 しかしそれらの怒りは、そのほとんどが自分自身のふがいなさに由来している。
 貧乏なのは、自分に金を稼ぐ能力が無いためだし、彼女がいないのは、自分に魅力が無いからだ。だが、その事実を認めて自らの無能さを自覚する作業には、かなりの勇気を必要とする。人間ならば誰しも、自分の汚点を見つめたくはない。
 そこで陰謀論者は、自らのふがいなさを外部に投影する。
 自らの外に、架空の「敵」を作り出してしまう。
 敵。
 僕らの敵。社会の敵。
 敵がどこかで悪い陰謀を繰り広げているおかげで、俺は幸福になれない。
 陰謀のおかげで、俺に彼女ができない。そう! 悪いのは全部ユダヤ人だったのだ!
 ユダヤ人がどこかで悪だくみしているから、俺は幸せになれないのだ!
 くそっ、ユダヤ人め! 許さないぞ!
 ……まったく、ユダヤ人もいい迷惑である。
 すべての陰謀論者は、もっと現実を見つめるべきなのだ。
「敵」は外部に存在しない。「悪」は外部に存在しない。あなたがダメ人間なのは、すべてあなたにその責任がある。決してユダヤ人の陰謀ではないし、CIAの陰謀でもないし、当然の事ながら、宇宙人の陰謀でもない。
 まずはそのことを、しっかりと肝に銘じて生きていくべきだろう。
「…………」
 だが、
 しかし、それでも──
 ごくごくまれな確率で、本物の「陰謀」を悟ってしまった人間が存在する。今この瞬間にも水面下で進行中の陰謀を、この目で目撃してしまった人間がいる。
 それは誰だ?
 俺だ。
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    一章 戦士の誕生

      1

 俺が「陰謀」の存在を知ったのは、寒い寒い一月の夜だった。
 六畳一間の狭いアパートで、俺ほコタツに潜っていた。
 辛《つら》くわびしい、夜だった。
 新世紀だというのに希望は見えない。雑煮を食っても涙がにじむ。
 大学中退の二十二歳無職男に、冬の寒さは身に染みた。
 タバコの臭いが壁に染みついた、脱ぎ散らかされた衣服が床に散乱した、そんな汚い部屋の真ん中で、俺は何度もため息を吐く。
「……はぁ」
 どうしてこんなことになってしまったのか?
 考えることは、そればかりだ。
「……あぁ」と、呻《うめ》く。
 そろそろ現状を打破しないと、完璧《かんぺき》に落伍《らくご》する。人類社会から落ちこぼれてしまう。
 ただでさえ大学中退というドロップアウトだ。早く職を探して社会に復帰しなければ。
 しかし──どうしても、それができない。
 なぜか? どうしてなのか?
 答えは簡単だ。
 ひきこもりだからである。
 今、もっともホットな社会現象の「ひきこもり」。それが俺だ。
 今、もっとも大流行な社会現象の「ひきこもり」。それが俺だ。
 一説によると、現在の日本には、およそ二百万人ものひきこもり人間が棲息《せいそく》しているという。二百万人と言えば、恐ろしい数だ。街頭で石を投げればひきこもりに命中する。……いや、やっぱりそんなことはないか。ひきこもり人間は外に出歩かないからな。
 と、ともかく。
 俺はまさしく、現在日本で大ブレイク中の「ひきこもり」なのである。
 しかも、かなりのベテランひきこもりだ。
 外出は週に一度。コンビニに食料とタバコを買い出しに行くその時だけ。
 友人の数は、ゼロ。睡眠は一日十六時間。
 ひきこもり継続期間は、今年で早くも四年。
 実績は、大学中退。
 ……まったく、どこに出しても恥ずかしくない、もはやプロフェッショナルとも言うべき驚異のひきこもりである。
 実際、よそのひきこもり人間には、そうそう簡単に負ける気がしない。
 もしも「全世界ひきこもりオリンピック」などが開催されたのならば、俺はかなりの好成績を収める自信がある。
 ウォッカに逃避するロシアのひきこもりにも、ドラッグに逃避するイギリスのひきこもりにも、室内で銃を乱射するアメリカのひきこもりにも──どんな国のどんなひきこもりにだって、俺は見事に勝つ自信があるぜ。
 ──そう。
 ゴッドハンドの異名を持つ極真空手の創始者、かの大山|倍達《ますたつ》氏は、若い頃に山籠《やまご》もりをして精神力を鍛え、世界最強の空手家になったという。その観点から考えてみると、数年間にわたってアパートに籠もり続けてきたこの俺も、いままさに、限りなく世界最強の男に近い。
 そこで、ものは試しだ。
 ビール瓶を用意して、それを手刀で割ってみよう。
「えやっ!」

   *

 俺は血まみれの右手に包帯を巻きながら、やはりコタツに座っていた。
 どうも最近、頭の調子が悪い。一日十六時間もの睡眠を取っているからだろうか? すでに半年以上も他人との接触を断っているからだろうか?
 一日中、頭の中がもやもやと霞《かす》んでいる。トイレに行くその足取りも、妙におぼつかない。が、そんなことはどうでもいい。
 当面の問題は、このどうしようもないひきこもり生活を、いかにして打破するかということだ。
 そう。
 ただ俺は一刻も早く、この爛《ただ》れたひきこもり生活から抜け出さねばならないのだ。
 人類社会への復帰を!
 ドロップアウトからの立ち直りを!
 働いて、彼女を作って、人間らしい生活を送るのだ!
 このままでは、廃人だ。このままでは、人間失格だ。
 いまこそ革命を!
 ……が、しかし、「今日こそは外に出て、バイト探しに励もう」などという決心は、十分もたたないうちに霧散してしまう。
 なぜか? なぜなのか。
 それはおそらく、あまりにも長いひきこもり生活によって、俺の精神が根底から腐れ果ててしまっているからなのだろう。
 このままではまずい。早いところ、なんとかせねば。
 そこで俺は、自らの弱り切った精神を立ち直らせるために、通販で取り寄せた「白いクスリ」を摂取してみることにした。
 白いクスリと言っても、なにも覚醒剤《かくせいざい》などではない。合法の、ちょっとした幻覚剤である。
 しかし合法とはいえ、その効果はLSDにも匹敵するとかしないとか。脳内のセロトニンレセプターに直接作用し、この世のものとは思えない強力な幻覚をもたらしてくれるらしい。
 そうなのである。
 この鬱々とした現状を打破するには、もはやクスリの力にでも頼る他は無い。だからこそ俺は、このクスリの強力幻覚作用によって、自らの弱り切った脳味噌《のうみそ》を激しく刺激してやろうと試みているところなのであった。
 かの澁澤《しぶさわ》龍彦《たつひこ》は言った。「宗教的な修行によって得られる悟りも、薬物によって得られる悟りも、それらは結局のところ、同じ物である」とかなんとか、そのようなことを言った。
 ならば俺は、薬物で悟りを得よう。
 悟りを得て、ひきこもりから脱出するのだ。
 この弱々しい心をうち砕き、強く逞《たくま》しい精神力を我が物に!
 だから俺はクスリを使うぜ。
 コタツの上に、白いクスリを耳掻《みみか》き一杯ぶん、ちょこんと載せて、それを一気に鼻から吸い込むぜ!
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      2

 あぁ、楽しいなぁ、愉快だなぁ。
 床には脱ぎ捨てた衣服が散乱してて、台所には汚れ物が堆積《たいせき》してる、この狭くて汚い六畳一間で、俺はまさしくトリップだ!
 ゆらゆら壁が蠢《うごめ》いているよ。エアコンが深呼吸しているよ。
 ステレオのスピーカーさんも、お喋《しゃべ》りしてる。
 あぁ、みんな生きてるんだ。世界はひとつなんだね。
 冷蔵庫さん、こんばんわ。
 コタツさん、俺を温めてくれてありがとう。
 ベッドさん、あなたの寝心地は最高ですよ。
 テレビさんも、パソコンさんも、いままで皆さん、どうもありがとう。
「佐藤さん! 早くひきこもりから脱出してね!」
 あぁ、皆さん、俺のことを応援してくれるのですか。
 ありがとうありがとう。こんなに嬉《うれ》しいことほありません。
 俺はもう、大丈夫です。皆さんの温かい励ましのおかげで、俺はもう、ひきこもりから抜け出します。
 見ていてください。
 ほら、これからね、俺は外に出てきます。
 今は深夜の三時ですけど、そんなこと、気にしません。
 俺はこれから、この部屋を抜け出します。広大な世界へと、脱出します。
 でも、外は寒いから、ちゃんと身支度しなくちゃね。
 よいしょ。服を着て、帽子を被《かぶ》って、コートを羽織って──よし、準備オッケー。
 さぁ、これから俺は、外に行って来るよ。
 もう、俺はもう、ひきこもりなんかとは、おさらばするよ。
 じゃあね。
 さらば。
 ……が、しかし、なぜかアパートのドアは開かなかった。
 なぜだ?
 なぜ、ドアが開かない?
 そうして俺は、不安に駆られた。
 ──何者かが、俺の脱出を妨害している。
「そうだよ。だって佐藤さん。外に出ちゃったらひきこもりじゃなくなるもの」
 スピーカーがそんなこ

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责任编辑:Mashimaro

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