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NHKにようこそ!
作者:    出处:咖啡日语    发表时间:2007-09-20    浏览次数:     

加減に──
 そう思いっきり罵倒《ばとう》しそうになったが、俺はその衝動をなんとか堪《こら》え、昔に読んだ『自害の心理学』という本を思い出してみた。
『自殺を試みる人間は、本当は誰かに助けてもらいたがっているのです。誰かに話を聞いてもらいたいのです。できるかぎり神妙に、なおかつ否定的意見を唱えることなく、優しい態度で話を聞いてあげましょう』等々といった内容が、その本には書かれていた。
『神妙に』
『否定的意見を唱えることなく』
『優しい態度で』
 というのがキーワードらしい。
 俺は襟元をただし、岬ちゃんに向き合った。神妙な態度の証明だ。
 そして言う。
「死んじゃダメだ。生きていこう」
 岬ちゃんは微笑んだ。それは嘲笑《ちょうしょう》だった。
 俺がどれだけ苦労してここまで来たのか、それをしっかり思い知らせてやりたくなったが、当然それも我慢する。優しい声色で訊《き》く。
「どうして急に自殺なんか?」
「別に佐藤君のせいじゃないよ」
「そんなことはわかってる。だから──」
「生きていくのに疲れました」
「……もっと具体的にさ」
「全部がイヤになりました。生きてても仕方がありません」
 微笑みながら、そんな抽象的語句を唱える女だった。
 ──やっぱりバカにされているのだろうか?
「うん、そうだよ。だっていまさら佐藤君に助けてもらおうとは思わないよ。しよせん佐藤君はひきこもりだし」
 頭に血が上った。
「なら死ね!」
「うん死ぬ」
「うそ! 嘘です。死ぬな、死んだら地獄に──」
「そんなにあたふたしなくてもいいよ。そもそもね、ホントだったらもう死んでるんだよ、一年かけて集めたクスリを一気飲み。オジサンに見つかってなきゃ成功してたよ。……だからもう、佐藤君が何したって、あたしはそろそろ死ぬんだから」
 互いの顔も見えないほどに真っ暗な冬の岬で、死ぬだの死なないだの、どこまでも浮世離れした会話を続ける俺たちだった。
 すでに時刻は深夜零時を回っている。
 寒い。
 岬ちゃんはカチカチと歯を鳴らしていた。
「どっちにしても、死ぬんだよ」
 完全に開き直っているようだった。
「止められるものなら止めてみせてよ、どうせ無理だけどね」
 もはや、自殺に対する社会通念は通用しないらしい。何の恥じらいも見せずに、これから死ぬことをアピールしていた。俺は反撃した。
「……そんなこと言って、ホントは岬ちゃん、もう死ぬ気なんてないんじゃないの?」
 すると岬ちゃんは、コートのポケットに手を入れて、何やら金属製の物体を取り出した。
「ここに一本のカッターナイフがあります」
 チキチキチキッと一気にカッターの刃を伸ばし、宣言した。
「このカッターで、さくっとあたしの右手首を──」
「危ない!」俺は岬ちゃんの手を捕まえようとした。
「近寄らないでよ!」岬ちゃんは素早くベンチから立ち上がり、俺の手から逃れた。
「もう、どうしていいのかわかんないんだから。きっと頭がおかしくなってるんだから。近寄ったら、たぶん刺しちゃうよ!」
 そう叫ぶと、カッターを持った右手を前方に伸ばして、左手を背中に回し──フェンシングの構えのような格好をした。
「……なにそれ?」
「この前図書館で、『ザ?殺人術』って本を読んで覚えたんだけど。……シチリアマフィアのナイフ格闘術」
「…………」
 岬ちゃんは俺から数メートルの間合いをとって、威嚇のつもりか、カッターをひゅんひゅんと振り回した。
「呆れてるでしょ? せっかく助けに来てくれたのに、なんておかしな奴だって、呆れてるでしょう? だけどね、しょうがないんだよ。……きっと佐藤君は、アレでしょう? こう、自殺しそうな頭の弱い女の子を、格好良く助けてやろうとか、そうゆうことを考えてたんでしょう? でも、無理です。無理だからね!」
 月を背負った岬ちゃんの姿は、まったくもって、よく見えなかった。どんな表情を浮かべているのかもわからなかった。だが──冗談のようで、冗談ではない。それは確かなようだった。
 だから俺は言った。真顔で。
「……俺が岬ちゃんのことを心底好きだとか、そんなことを言ってみたら、どうする?」
「どうもしないよ。もうおしまい。だって、佐藤君なんて、しよせんひきこもりだし。すぐに気が変わったりしそうだし。それにホントは、あたしのことなんて、ぜんぜん好きじゃあないんでしょう? 誰かが、頭からつま先まであたしのモノになってくれなきゃ、あたしは死んじゃう方がいい。というわけで、あたしの欲求は、どんな人間にだって叶《かな》えることは出来ません。あたしはそれを、知ったのです。だからつまりどっちみち、あたしはさっぱり死ぬべきで──」
「好きだ! 愛してる! 死なないでくれ!」
「ははは、面白いこというね佐藤君。でもダメだよ。死ぬんだから!」
 なんとなく、少女漫画チックなセリフを応酬する俺たちだった。
 しかしその一方で、好きとか、嫌いとか、そのような言葉は、たぶんどうでもいいことだと知っていた。たぶん問題はもっと深くて根本的なところにあるのだった。そのことを俺は、なんとかして説明してやるべきなのだった。言葉に出して、岬ちゃんに教えてやるべきなのだった。なのにどんな言葉も、あっという間にするするとすり抜けていくだけだった。口に出した瞬間に意味を失ってしまうのだった。
 わからなかった。
 どうすれはいいのか。俺は何がしたかったのか。俺は何を考えていたのか──
 別に死んだっていいじゃないか。そうも思う。
 おんなじことだ。早いか遅いかの違いだけだ。どうせこのさき生きていても、苦しいことばかりで、大変だ。意味がない。生きている意味がない。死ぬ方が良い。それはどこまでも論理的な結論で、誰にも反論できるわけがない。
 少なくとも俺には、反論できない。自殺を思いとどまらせる役目としては、俺ほど不適当な人間、きっと他には存在しない。
「……だけどダメだぜ」俺は無茶なことを言っていた。
「死ぬとか言うな」俺は嘘臭いセリフを喋《しゃべ》っていた。
 ぶんぶんとカッターナイフを振り回す岬ちゃんに、勢いにまかせて、一歩、近づく。岬ちゃんは後ずさった。俺は構わず前進し、無造作に右手を伸ばした。
 岬ちゃんの体に触れる前に、カッターの刃が俺の手のひらを切り裂いた。
 一拍置いて、血が流れた。
 雪に染みた。
 痛くはあったが、その痛みは、しかし素敵だった。
 岬ちゃんは、血の付いたカッターをぼんやりとした表情で眺めていた。
 俺は笑ってみせた。
 岬ちゃんは泣きそうな顔をした。
 風が吹き、粉雪が舞い上がった。
 そうして俺は、とうとう理解した。
 何を為すべきなのか、それを悟った。
 この女を生かす。
 この女を、救う。
 ──だけど、どうやって?
 俺のようなひきこもり人間に、他人をどうこうできるだけの力があるものなのか? そんなのは、無理じゃないか? 身の程を知った方が良いんじゃないか? どうなのか?
「…………」
 だが、どこかに見事な解決策が存在している。そんな気配があった。なにもかもがうまく解決する、そんなやり方があるはずだった。俺の望み、岬ちゃんの願い、そのすべてが叶えられる、そんな方法があるはずだった。俺はそれを知っているはずだった。
 彼女の苦しみを消す。ニコニコ朗らかに暮らしていけるようにしてやる。明日への活力をプレゼントし、生きる力をくれてやる。
 その方法、そのやり方。俺は、それを、知っているはずなのだ。
 ──いつだったか、この女は言った。
『悪い神様がいるんなら、逆にあたしたちは健やかに生きていけるよ。神様に不幸の責任を押しつけられれば、逆にその分あたし達は、すっかり安心できるでしょ?』
『……神様を信じられたら、幸せになれるよ。神様は悪いやつだけど、それでもきっと、幸せになれるよ』
『問題は、あたしの想像力が貧困で、うまく神様を信じ込むことができないってことです。──ほら、聖書か何かみたく、目の前で凄《すご》く派手な奇跡とかを起こしてくれればいいのにね』
 彼女は、神様を信じたがっていた。だけど、彼女の神様は悪者だった。悪の元凶だった。
 そんな悪者の存在を信じ込めたら、岬ちゃんは生きていけると言う。悪者の存在を示す奇跡が目の前で起こってくれたのなら、彼女は生きていけると言う。
「…………」
 だったら俺が、君の願いを叶えてやろう。
 その方法──それは限りなく、難しく、大変で、大きな犠牲をともなうだろう。しかしそれこそが俺の望み。我が身を犠牲にしてヒロインを助ける、それは最高に主人公らしい振る舞いだ。
 あぁ、山崎に自慢してやりたい。
 俺は今こそ生きている。愉快に命を燃やしている。生きている実感がある。そう胸を張って自慢してやりたい。
 そうだぜ。よくよく考えてみれば、これはだいぶドラマティックな夜だ。ナイフを振り回す女、その女の自殺を思いとどまらせようとする俺。かなり感動的だ。
 だからもうすぐ言葉が溢《あふ》れてくるはずだ。このような状況ならば、俺にも素敵な一言が言えるはずだ。だけど岬ちゃんは震えていた。俺もおそらく震えていた。恐怖があった。俺は勇気を出した。
 脳裏をよぎっていくのは、二十二年間の思い出だ。きっと俺の人生は、今この時のために存在していたのだと思う。この女をなんとかして生かしてやる。それが俺の使命なのだろうと思う。
 そうでなければ意味がない。生きてきた意味がない。生きて死ぬ、その意味がない。だからこそ俺は理解する。いま、全てを理解する。何もかもを知り、何もかもが繋《つな》がる。
 脅《おび》えて震える岬ちゃん、彼女を助けるのだ。命に替えて、助けるのだ。そのようなシチュエーションこそが、俺の望みだったはずなのだ。エンディングへのフラグは、いまやすべてが完了済みなのだ。エンディングに向けての俺のセリフ、ただそれのみによって、このシーンは動き出すのだ。だからこそ俺は立ち上がり、立ち向かうのだ。そして岬ちゃんは生きる意味を見つけるのだ。ハッピーエンドだ。だけど怖い。助けてくれ──
「…………」
 それでも俺は、勇気を出す。
 震える岬ちゃんを抱きしめる。
「……岬ちゃんは悪くないんだ」
 力一杯抱きしめて、耳元でささやく。
「岬ちゃんは、ちっとも悪くない。なにひとつ、悪くない」
 岬ちゃんは細い。痩《や》せている。ぶるぶると震え、俺にしがみついている。その俺たちを、真っ暗な夜が取り囲んでいる。
 風の強い夜だ。雪のちらつく夜だ。孤独が深まり、やりきれない夜だ。
 どうしてこんなに悲しいんだろう? どうしてこんなに寂しいんだろう? その理由が君にはわかるか?
 ──あぁ、俺にはわかるぞ。もうすぐお別れするからだ。もうすぐサヨナラするからだ。だから俺たちは震えているのだ。いつでも孤独なんだ。いつでも寂しいんだ。だけどもそれは、いつものことだ。当たり前のことだ。誰だって同じだ。だから自分を恨むな。自分を憎むな。憎むべき対象は、他にいる。それを知るんだ。
「……そうさ。悪いやつは他にいる。岬ちゃんを苦しめているヤツは、他にいるんだ」
 君が悲しむ必要はない。まったくもって、その必要はない。
 どうして悲しむ必要がある?
 もしも君が、いつでも苦しくて寂しくてやりきれないとしたら、それは不条理だ。おかしいじゃないか。そんな話は変じゃないか。
 だから、どこかに元凶が存在しているんだ。君を苦しめている悪者がいるんだ。
 だから──だからだ。
「だから、この世の中には『陰謀』が存在しているんだよ」
 しかし、他人の口からまことしやかに語られる陰謀は、九十九パーセント以上の確率で、ただの妄想、もしくは意図的な大嘘にすぎないんだよ。本屋に行けばよく目にする「日本経済をダメにしたユダヤの大陰謀!」「宇宙人との密約を隠すCIAの超陰謀!」などという本も、すべてはつまらない単なる妄想なんだよ。
「だけど、それでも、ごくごくまれな確率で、本物の『陰謀』を悟ってしまった人間が存在するんだよ。今この瞬間にも水面下で進行中の陰謀を、この目で目撃してしまった人間がいるんだよ!」
 それは誰だ?
 俺だ。
 ならば敵の名は?
 俺はその名を知っている。ずっと前から知っている。
 俺たちを苦しめる悪の組織、岬ちゃんがその存在を請い願う、悪い神様。
 ヤツの名は……
 NHK。
 そうなのだった。いまこそすべてを思い出した。敵の名前。自分の使命。自分の存在理由。今まで生きてきたそのワケ。ぐずぐずぐずぐずと虚《むな》しく馬鹿らしい毎日を送ってきた、その意味。
 ──そうさ。俺の一生は、君を救うためだけに存在したんだ。それはたぶん本当のことなんだ。
 ぜんぶ本当なんだ! だから聞いてくれ! 岬ちゃんを逃がさぬように抱きしめたまま、懇切丁寧に早口で説明してやる。
「いいかい岬ちゃん、この世には悪い組織が存在する。奴らの名はNHK。NHKは巨大な組織だ。全世界を覆い尽くす、悪の秘密結社だ。奴らが俺たちを苦しめている。悪いのは全部NHKだ。もしもこの先、君の周りに悪いことが起きたとしても、それはぜんぶNHKのせいなんだ。全部NHKが悪いんだ!……もっともNHKという名前は、あくまで便宜的なものだ。名前なんて、どうでもいい。NHKって名前が気に入らなかったら、好きに呼べばいい。なんだったらサタンでもいいぞ。悪い神様でもいいぞ。おんなじことだ」
 そう、名前はどうでもいい。単なる語呂合わせなんだ。自分を苦しめている仮想敵。それがNHKの本質だ。
 NHK──たとえばあの先輩の場合なら、それは「日本ひ弱協会」を意味する。あの人は、いつもひ弱で参っていた。精神肉体、ともにひ弱だった。リストカットはやめてくれ。なんとか幸せになってくれ。
 そして岬ちゃんの場合なら、NHKは「日本悲観協会」を意味している。岬ちゃんは、生まれながらの不幸によって、なんでも悲観的に考えてしまう。生きていてごめんなさい。だけど嫌わないで。そんな感じで、いつも悲観的だ。
 そうして俺のNHKは──
「俺がひきこもりになったのも、実はNHKのせいだ。岬ちゃんが苦しんでいるのも、奴らのせいだ。それが真実だ。俺はとあるルートから、その真理を教えて貰《もら》ったんだ。そうして俺は、奴らと戦っていた。ずっと奴らと戦っていた。……だけどな、もうダメだ。奴らの魔手が、とうとう俺を捕まえた。俺はもうすぐ奴らに殺される。だけど岬ちゃんは大丈夫だ。君は元気に生きていくんだ」
 岬ちゃんは、わけのわからないことを口走る俺に、明らかに脅えている。
 俺は岬ちゃんを解放し、一歩、後退する。
 これから奇跡を見せてやる。NHKの存在を証明する、最高の奇跡を見せてやる。NHKと戦う戦士、その雄々しい姿を見せてやる。俺がNHKを倒してやる。
 そうしたならば、岬ちゃんは俺の話を信じるだろう。そうしてニコニコ生きていくだろう。自分を憎むことはやめるだろう。悲観的なその性格が改善されるだろう。
 ついでに、そうだ。変わらぬ愛とかも、くれてやろう。君は恐れていた。他人に嫌われることを恐れていた。他人の心が変わることを恐れていた。だけども、もう大丈夫だ。俺の心は変わらない。君が好きだ。その気持ちは、もはや決して、変わることがない。
 なぜならば──
「うああああああ! もうダメだ! NHKの精神攻撃だ!」俺は大げさに頭を抱えて、岬ちゃんの目の前で雪の上をゴロゴロ転がった。
「俺の頭がおかしくなってるように見えるか? だとしたら、それも含めてNHKのせいだ。俺はもうすぐ殺される! NHKに殺される! だけど一矢報いてやるぞ! 見ていろよー」
 そうして俺は、起きあがり、一目散に、ダッシュする。
 崖っぷち目がけて走り出す。
 最初はゆっくりと。
「さようなら岬ちゃん! 足が勝手に動くんだ。俺はNHKに殺される。だけど、死ぬ間際に、なんとかNHKに一矢報いてやる。NHKを倒してやる!」
 しだいにスピードを上げていく。
「そうさ! NHKを倒すには、命を捨てての特攻しかないんだ。命を燃やして特攻するしかないんだ。だからこそ俺は行くぞ。──君の命は俺が守る!」
 いまや全速力だ。
 力の限り、夜の空へと駆け抜けるのだ。崖っぷちまではもうすぐなのだ。
 あぁ、飛び込んでやるぞ。ダイブしてやるぞ。特攻してやるぞ。
 この俺の、あまりにアホらしい最後によって、岬ちゃんは悪の組織を信じ込むだろう。俺の特攻によって、悪の組織の消滅を思い知るだろう。それは彼女に幸福をもたらすだろう。
 それでも岬ちゃんは、なにひとつとして罪悪感を覚える必要はない。
 なぜならば、これはすべて俺自身の願望なのだから。俺はずっと死ぬつもりだったのだから。
 自分の目的を叶え、岬ちゃんを救う。これこそが一石二鳥の冴えたやりかたなのだ。死ぬつもりだったのは、俺の方だ。ずっとずっと、死ぬつもりだった。餓死してみようかと思ったことさえあった。けれどもそれは無理だった。俺のような意志の弱い人間には、断食なんか、耐えられなかった。四日で限界だった。だから俺は飯代と部屋代を稼ぐために働いた。それは死ぬ前の一働きだった。死に場所を探していたんだ。つまるところ、君よりも俺の方が、頭のおかしい人間だったってことだ。俺の方がずっと、精神が異常な人間だったってことだ。だって、そうでもなければ、こんなふうな行動をとったりはしないだろう?
 だから岬ちゃん、俺を見下しつつ、その一方で、俺の愛だかなんだかを受け取ってくれ。
 もうすぐ俺は死ぬ。しかし岬ちゃんは生きていくんだ。
 NHKは俺が倒してやる。悪の組織は、俺がやっつけてやる。その事実を信じてくれ。そうすれば生きていける。岬ちゃんは生きていける。
 だから君は、俺の特攻を目に焼き付けるんだ。
 ──ほら、見えているか? 俺の右手で淡く輝く革命爆弾が、君には見えているか? 山崎が使用をためらった革命爆弾だ。悪者を倒すための地球破壊爆弾だ。その威力はとても弱々しくて、NHKを爆散するにはあまりにもひ弱だ。しかし、このちっぽけで惨めでくだらない生き物、つまり俺、俺の息の根を止めるには充分に強力で、俺が死んだら俺のNHKも消滅する。なぜならば、NHKは神様だ。そして世界だ。俺の死によって、俺の世界は消滅するのだ。NHKは消えて無くなるのだ。
 だからこそ。
 だからこそ俺は、幻想の革命爆弾と共に、いまこそ雄々しく特攻するのだ。
 俺は死ぬ。
 もうすぐ崖からダイブする。
 背後で岬ちゃんが何かを大声で叫んでいたが、しかしその声も、もはや俺には届かない。誰にも俺は、止められない。
 あぁ、最高なんだ。
 風を切って駆けぬける俺の姿。
 あぁ、良い気分だ。
い闇夜の岬をひた走る、この爽快《そうかい》感。
 だが、恐ろしい。
 死にたくない。
 だけど、生きていてもしょうがない。
 生きたくないんだ。
 俺はもうすぐ死ぬ。
 残すところ崖っぷちまで数メートル。あとほんの一瞬、あと一回俺の心臓が脈動したそのとき。俺は大空へと飛翔《ひしょう》する。
 あと数歩だ。
 力一杯に腕を振り、大きく右足を踏み出して──そうして俺は、ダイブする。 はじめて俺は、脱出する。六畳一間を抜け出して、どこまでもどこまでも高く舞い上がり、広大な大空へと脱出する。ジャンプする。飛翔する。
 あぁ、もうすぐだ。
 もうすぐ飛ぶぜ。
 走り幅跳びの要領で、日本海へと飛び込むぜ。飛び出すぜ。
 飛ぶぞ。
 飛んだぞ。
 俺は飛んだぞ! すでに両足は地面から離れている。
 俺の体は空に浮いている。
 あと数瞬。もうすぐ俺の体は落下する。
 落下し、日本海に叩《たた》きつけられる。
 エンディングはもうすぐだ。
 山崎が作ったエロゲーそのままに、俺はNHKへと特攻する。ヒロインを守るために、最後の戦いへと突入する。あのゲームシナリオが、俺の願望だった。 その願望そのままに、俺は死ぬ。
 そしてそれこそが最高のハッピーエンド。
 もうすぐ俺は、救われる──

   *

 ──しかしそのとき。
 俺はふと気がかりなことに思い当たった。あのゲームのエンディング。それがどうしても思い出せない。あのゲームの主人公は、悪の組織に勝てたのだったか? そもそもエンディングは存在したのだったか?
『勝てるわけがない』と、誰かが言った。
 それは夢だったのかもしれない。
 俺はもう、とっくの昔に気を失っているのかもしれない。
 しかし、宙を舞う俺の眼前には、真っ黒な日本海と鮮やかな星空が広がっていた。
 そうして俺は、奴らを見た。
 奴らは俺を、嘲笑《あざわら》っていた。
 もうすぐ俺の体は落下する。もうすぐ俺は死ぬ。そのはずだ。
 それなのに──
『思い出せ』と、奴らが言った。
 ──あまりにも落下事故が多いこの岬、すでに対策工事は完了している。
 革命爆弾は消えていた。不発だった。
 俺は絶叫した。
「それがお前らのやり口ってわけか! 卑怯《ひきょう》じゃないか!」
 答えは返ってこなかった。
[#改ページ]
    終章 NHKにようこそ!

 春になった。
 俺はやっぱりひきこもっていた。
 ──なぜだ! どうして俺はひきこもっているんだ! いい加減にしろ! 真面目に働け! などなどと、自分に怒りをぶつけてみたりもするが、当然の事ながら、そうそう簡単にひきこもりから脱出できるわけもない。
 迫り来る神経症に、じわじわと忍び寄る自殺願望に、その他|諸々《もろもろ》の困った物事(家賃が値上がりりしたこと、行きつけのコンビニが閉店したこと)に、俺は今でも悶々《もんもん》としていた。
 あぁ、そのうえ明日は警備のバイトだ。ひたすらにめんどくさい。
 鬱々《うつうつ》と思い悩んでしまう。
 それなのに、窓の外は桜が満開だ。大学の新入生なんかが、アパートの前を颯爽《さっそう》と歩いていた。
 全世界から見放されたような気がした。全人類からバカにされているような気がした。
「…………」
 たとえば山崎なんかは、この前葉書をくれた。その葉書には写真がプリントされていた。美人な婦女子と、満面の笑みを湛《たた》えた山崎が写っていた。
『いやあ、僕、もしかしてそろそろ結婚するかもしれません。前々から親が見合いしろ見合いしろってうるさくて(田舎は結婚が早いんです)それでしょうがないから、一度だけ思い切って見合いしてみたら、それがもう! ビンゴですよ!』
 最近はエロゲー変好家のロリコンでも、人並みの幸せを享受できる時代になったらしい。
 死ね。地獄に堕《お》ちろ。
 ついでに例の先輩からも年賀状が来た。
『マイホームはすごい豪邸です。ラブラブです。もうすぐ赤ちゃんが生まれます』
 マジで幸せらしい。
 くそっ。地獄に堕ちろ。
 さらに岬ちゃんも、いままさに人生上昇傾向だった。
 オジサンの家に帰ってきた岬ちゃんは、当然の事ながら死ぬほど怒られて、海よりも深く反省したらしい。いつだったか、俺に相談話をもちかけてきた。
『どうしたらちゃんと謝れると思う?』
『元気に暮らしてれば、それでいいんじゃないの?』
『自分でも信じられないくらいに迷惑かけたんだから、それだけじゃ済まないでしょう。もっと、こう、本当に、誠心誠意の感謝と謝罪を示すには』
『オジサン、結構金持ちなんでしょ。だったら勉強して、大学でも行ってみれば? そういや大検、受かったんでしょ?』
 俺は深く考えずに適当なアドバイスをしてやった。すると数ヵ月後に、そのアドバイスは現実のものとなった。なんと彼女は、今年の春から大学生になるという。確かにあの大学、俺でも合格できるぐらいの偏差値なのだったから、それほど驚くことでもないのだが──
 しかし、いまやあの女は大学生。一方俺は、フリーター兼ひきこもり。
 あぁ、もうダメだ。
 みんな地獄に堕ちろ!
「…………」
 だが──人を呪う者は、穴が二つになるという。そこで俺は、無理矢理なんとか気分を立て直し、皆の幸せを願ってみた。
「……あんたたち、たとえ地獄に堕ちても頑張ってくれ」
 俺も適当に頑張る予定だ。
 ぼちぼちと頑張ってみる予定なのだ。
 なぜかというと──ここに一枚の紙切れがある。
 秘密ノートを破り取って作成された契約書だ。その契約書の文面をまっとうするには、頑張るしかない。

   *

 あの夜──
 俺は飛び、そして着地した。転落事故防止のために、岸壁に張り巡らされていた金網のフェンス。その上にちょこんと着地した。
 フェンスは崖の岩肌に、「レ」の字になるように埋め込まれていた。綺麗《きれい》な景観を壊さぬよう、わざわざ崖壁に柵をとりつけるとは、さすがに観光地だ。安全対策にぬかりがないとは、さすがに観光地だ。
 泣きたくなった。泣いた。死にたくなった。死ねなかった。
 あと一歩足を踏み出せば、今度こそ飛べる。しかし、無理だ。できなかった。両足がガクガクと震えていた。心臓の音が馬鹿みたいにうるさかった。気持ち悪かった。吐き気がした。もういやだった。
 だから誰かなんとかしてくれと呻いた。俺は死にたいんだとわめいた。つまりいますぐ殺してくれと思った。誰か俺を突き落としてくれと願った。アパートに帰ってひきこもるのも嫌だし、岬ちゃんと顔をあわせるのも嫌だった。ゴタゴタしたことを考えたくはない。これ以上苦しいことを味わいたくはない。いますぐ死にたい。だから頭をかきむしり、体を丸め、それから仰《の》け反り──しかし滑稽《こっけい》だ。惨めだ。馬鹿みたいだ。びゅうびゅう風が吹くたびに、俺はよつんばいになってフェンスにしがみつく。怖い。落ちるのが怖い。下を見ると寒気がする。金網の下は日本海だ。荒波だ。助けてくれ。いいや、助けるな。笑うなよ。どうすればいいんだ? ふざけるなよ。見るんじゃない。こっちを見るなよ! なに泣いてんだよ! 泣きたいのは俺の方だ!
「…………」
 岬ちゃんは崖っぷちから顔を出し、俺を見下ろしていた。
 俺は両手で顔を隠した。
 どうしていいのかわからなかった。これ以上生き恥をさらしたくはなかった。
 岬ちゃんは崖っぷちに寝そべり、手を差し伸べてきた。
 俺を助けようとしている。その表情、俺を哀れんでいる。
 俺は岬ちゃんの手を振り払うと、岩肌に足をかけ、自力で岸壁を登った。数度、凍った岩肌に滑り、フェンスに尻餅《しりもち》をついてしまった。三度目の挑戦で、二メートルほどのロッククライミングは成功した。
 崖っぷちにへたり込んでしまった。
 目の前に岬ちゃんが立っていた。彼女は俺の手を取ると、力任せにずんずんと国道の方に引っ張っていった。一刻も早く、崖っぷちから離れようとしているようだった。俺は雪の上を引きずられた。
 数分前まで座っていたベンチの前まで到着すると、今度は俺を、叩いてきた。
 ぽかぽかと叩かれた。しまいにはがつんとショルダータックルされた。俺は仰向けにすっ転んだ。その上に岬ちゃんはのしかかってきた。俺の胸に顔を埋め、言葉にならない鳴咽《おえつ》を漏らしていた。
 いまになって、カッターで切られた右手が痛んできた。
 出血は止まらなかった。
 岬ちゃんは俺の手のひらを握りしめた。
 俺はその手を乱暴に払った。彼女の頬に、血の飛沫《ひまつ》が飛び跳ねた。彼女はそれを拭おうともしなかった。俺に馬乗りになり、わめいていた。
 俺は岬ちゃんを押しのけた。しかし彼女はマウントポジションを崩さなかった。俺の肩を押さえ込み、ずっとそうして震えていた。震えて拳《こぶし》を振り上げた。俺の胸に叩きつけた。何度も何度も殴っていた。
 しまいには、ばっこんばっこん顔面を叩かれた。
 女は加減を知らなかった。
 意識がもうろうとしてきた。
 岬ちゃんは拳を振り上げ、「死んじゃダメだよ」と言った。
 俺は答えず、黙っていた。すると、彼女はもう一発、俺の顔を叩いた。
「……死なないでよ」
 これ以上殴られるのは嫌なので、うなずくしかなかった。
 うなずき、なんとか笑顔を作る。
 ついでになにか、冗談を言ってみようとした。
 無理だった。
 声を出して、泣いてしまった。
 岬ちゃんは目をそらしてくれなかった。
 いつまでもいつまでも俺を見つめていた。
 それでも俺たちは、人心地がついた。
 このままでは凍死してしまうので、ともかく岬を後にすることにした。
 しかし、人生は辛《つら》く苦しい。まったく、いろいろ参ってしまう。だいぶ大変だ。
 車道に出た俺は、かなり大変なことに気がついた。
 ──駅までどうやって帰ればいいんだ?
「タクシーで一時間近くかかったということは──」
「うん、駅まで歩いたら、朝になっちゃうよ」
 俺は絶望した。
 すると岬ちゃんは、俺を引っ張った。
「近くに廃屋があるんだけど──」
「廃屋?」
「あたしの家」
 十分はど歩くと、その廃屋に到着した。窓ガラスは割れ、玄関の開き戸には大穴が空いていた。
 もうすぐ自然倒壊しそうな廃屋で、俺たちは一夜を明かした。
 意外にも、それほど寒い思いはしなくてすんだ。

 一歩歩くごとに床板が抜ける廃屋で、俺たちはいろいろなことをつらつらと話した。
 岬ちゃんは、この家での思い出などを教えてくれた。そのほとんどはかなり悲惨なエピソードだったが、ちょっといい話もあった。
「最初のお父さんがね──顔も覚えてないんだけど──あたしの名前をつけたんだ。すぐ近くに立派な岬があるから、だから岬。ずいぶん適当な命名だよね」
 俺は笑ったものだった。
 そうしてぼちぼち眠くなってきた。
 あと数秒で眠りに落ちるというそのときに、ふいに岬ちゃんは、俺を小さく揺さぶった。
「……結局NHKって、何だったの?」
 長い話になるので、繰り返して説明はしなかった。すると岬ちゃんは、毛布代わりに敷いていたコートから身を起こし、鞄《かばん》の中から秘密ノートを取りだした。
「あたしも考えたよ、あたしのNHK」
「はぁ?」
「暗いから、ちょっとライターで灯《あか》りをつけて──と思ったけど、やっぱりストップ! 大丈夫、まっくらでも字は読めるから」
 早口でそう言うと、秘密ノートに何かをボールペンで書き込み始めた。
「えーと、よし、これで完成」
 そのページを破り、俺に手渡した。
 照明は窓から射し込む月明かりだけだった。俺は仰向けになったまま、目を凝らして紙切れの文面を読んだ。

  NHK(日本人質交換会)の入会契約書

  人質交換会の趣旨
   会員同士で人質を交換します。自分の命を人質として、互いに差し出すのです。つまり
  「あんたが死んだら俺も死ぬぞコラ!」という事です。そうすると、あたかも核保有国の冷
  戦下における睨《にら》み合いのごとく身動きがとれなくなって、死にたくなっても死ねなくなります。
   ですが「あんたが死んだって、そんなのどうでもいいよ」という状況になると、この会の
  システムは破綻《はたん》します。そうならないように気をつけましょう。

     NHK会長、中原岬
     会員一号「    」

「ほら、早くサインしてよ」
 俺はボールペンを受け取った。
 しかし、しばし悩んだ。
 結局のところ、なにひとつ物事は解決していない。
 何かが変わった訳ではない。
 前向きに生きていこう?
 ……バカか! 夢があるから大丈夫?
 ……夢なんてねえよ! これからも毎日毎日「もうダメだもうダメだ!」と呟《つぶや》き続けて生きていくのだろう。
 それでいいのか? どうなのか?
「…………」
 そんなことをほんの少しだけグチグチと思い悩んでみもしたが、結局俺は、契約書にサインした。
 一方岬ちゃんは、鞄に契約書をしまうと、俺の肩を掴《つか》んでぐっと引き寄せた。
 至近距離で目が合った。
 そうして彼女は、高らかに言い放ったものだった。
「NHKにようこそ!」
 ヤケに気負ったその表情に、だいぶ笑いのツボを刺激された。
 微妙な笑いの発作に襲われながら、俺は、思った。
 ……どこまで続くものかは知らないが、できる限りは頑張ろう。
 ぼんやりと、そう決心してみた。
 NHKの会員ナンバー第一号、佐藤達広の誕生だった。
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    あとがき

 二十一世紀初頭、日本中で「ひきこもり」が大ブレイクした。
 僕は目ざとい男だったので、時流に乗って大儲《おおもう》けしようと思った。
「ひきこもり小説を書いて、有名になろう!」「ひきこもり小説でベストセラー作家になろう!」「そしたら印税でハワイに行こう!」「ワイキキだ!」
 夢はどこまでも広がった。しかし、いざ書き始めてみると、僕はすぐに後悔した。辛かった。
 リアルひきこもり人間が、ひきこもり小説を書くとどうなるか?
 必然的に、自らの体験を創作に利用せねばならなくなる。自分のことを書かねばならなくなる。
 もちろん小説はフィクションであり、いかに自分と似たキャラクターを登場させようとも、彼は彼で、僕は僕だ。同じ口癖を持っていようとも、同じアパートに住んでいようとも、彼と僕とは何の関係もないのだ。住む世界が違うのだ。
 それでもやはり、辛かった。恥ずかしかった。自らの恥を全世界に向けて大公開しているような気分になった。しまいにはパラノイア的な妄想に捕らわれた。
「こんな小説を書いている僕を、皆が陰で嘲笑《ちょうしょう》しているのでは?」本気でそう思った。
 事実、いまだに僕はこの小説を客観的な目で読めない。
 読み返すたびに軽く錯乱する。冷や汗をかく。
 特定の個所にさしかかるたびに、テキストデータが納められているパソコンを、窓から外に放り投げたくなる。また別の個所では、人知れずインドの山奥などに出家してしまいたくなる。
 それはおそらく、作中で語られるテーマが過去のものなどではなく、僕にとっては現在進行形の問題だからなのだろう。
「あのころ僕らは若かった」などと遠い目をしてはいられない。
 すべてはリアルタイムな問題だった。
 だからとにかく、最後まで書いてみた。書けるだけのものを書いてみることにした。
 そしてできあがったのがこの小説だ。
 赤面しながら読み返してみれば──どうなんだろう?
 気分の良い日に読めば「素晴らしい! オレ天才!」、落ち込んでいる日に読めば「こんなものを書いたオレ最低! 今すぐ死ね!」、そう思います。それでもたぶん「書けるだけのものを書き尽くした」、そのことだけは、おそらく本当だと思います。
 さて、みなさんこんにちわ。滝本竜彦です。
 二冊日の本の、二回目のあとがきでした。
 今回も沢山の方のお世話になりました。この本に関わってくれたすべての方々、そして読者のみなさん、本当にどうもありがとうございました。
 まだまだ今後も頑張ります。気合いを入れて頑張ります。

 二〇〇一年十二月[#地付き]滝本竜彦  
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この作品は Boiled Eggs Online(http://www.BoiledEggs.com)に二〇〇一年一月二十九日から同年四月十六日まで連載され、単行本化にあたり大幅に加筆修正を加えたものです。
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滝本竜彦(たきもとたつひこ)

1978年、北海道生まれ。ひきこもりが高じて大学を中退し、輝かしい青春のひとときをフルスイングでドブに投げ捨てる。小説で人生の一発逆転を狙うものの、狭いアパートに閉じこもったままの薄暗い日々は、いまだ終わる気配を見せない。「ネガティブハッピー?チェーンソーエッヂ」で第五回角川学園小説大賞特別賞を受賞しデビュー。本書は長編小説第二作になる。

|N H K《エヌ?エイチ?ケイ》にようこそ!

平成14年1月31日 初版発行
平成14年5月20日 4版発行

著/滝本《たきもと》竜彦《たつひこ》
発行者/角川歴彦
発行所/株式会社角川書店


ISBN4-04-873339-7 C0093

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责任编辑:Mashimaro

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