丹螭晤啢颏蓼袱蓼袱纫姢俊 「? どうしのた?」 この人はあたしたちの知らないことをいっぱい知っている人だ。そして今、ナルもリンさんもいない。はっきり言ってこれはチャンスだ。 「あのう……森さん」 「なぁに?」 「ナルの両親って、どんな人なんですか?」 両親がいるとリンさんは言ってた。実を言うとあたしはちょっくら驚いたわけよ。いや、ナルも人間なんだから親がいて当然なんだが。 森さんは首をかたむける。 「どんな人って……ふつうの人よ」 「ふつーの人は息子が、学校にも行かずにこんなことをしてたらとめません?」 ああ、と森さんはニッコリ笑う。 「ナルのお父さんは超心理学の研究者なの」 げっ。親子二代のパライサイコロジストかぁ? 「じゃ、教授かなんか……?」 「ええ。そう。――?」 森さんはあたしの顔をのぞきこんだ。 「ひょっとして、身元調査?」 「あ、いや……そんなわけでは」 あるんですが。 森さんはあたしの顔をまじまじと見て、それからナルホドとつぶやいた。 「ナルは聞かれるまで自分のことを言わない子だけれど、べつに秘密主義というわけではないのよ。ちょっと今は事情があるだけ」 「……事情?」 森さんは重々しくうなずいた。 「これは内緒《ないしょ》にしといてね」 「はい」 もちろん、貝のよーに口を閉ざしていますとも。 あたしたちは思わず身を乗り出した。 「――実は、ナルとリンさんはカケオチ中なの」 どんがらがっしゃん。 「……な、なんですってぇ?」 森さんは深刻そうにためいきをつく。 「道ならぬ恋に反対されて手に手を取って……ご両親に見つかったらどんな折檻《せっかん》が待っていることか……」 「あ、あのう……」 「きっと哀れに引き裂かれて……」 「もしもし?」 森さんは顔を上げる。 「それ……マジですか?」 あたしがおそるおそる聞いてみると、 「え? ちょとは信じたの?」 驚いたように問い返されて。 ……がっくり。傷心の人間で遊ばないでほしいのよね。 タカがひきつった笑いをもらす。 「そ、そうですよね。ありえませんよね。だって、所長さんは原《はら》さんが……」 言いかけて、あわててあたしのほうを見て口を押さえる。 原さんがなんだよ、気にせず言ってみろよ。 森さんはキョトンとした。 「そうなの?」 タカは身を乗り出した。 「そうなんじゃないですか? だって、原さんの櫛を持ってたんでしょ?」 そう言うと、森さんは一瞬目を見開いてそれからコロコロ笑った。 「ちがうわよぉ。誤解。それは完全な誤解」 「だって……森さんが、そんなに心配だったのね、って」 そう言ったんじゃないかぁ。 森さんは目を丸くする。 「わたし、そういう意味で言ったんじゃないわ。ナルだって仲間のことくらい心配するわよ。表に出すのへたな子だけど、べつにロボットじゃないんだから」 「……そ、そうなんですか」 あの冷血鉄面皮の下に暖《あたた》かいココロがある、とおっしゃるわけで? 森さんは心許《こころもと》なげに天井を見た。 「……そうだと……思うんだけど……ちがうかしら」 だめだ、これは。 タカと千秋センパイが頭をかかえた。 んでも、ちょっと安心したかもな。少なくとも気分は浮上した気がするぞぉ。 笑う角には福来る、待てばカイロのヒヨリあり、果報は寝て待て、棚からボタモチ、残り物には福がある。昔の人はよく言ったもんだ、うんうん。 ようは、あきらめるにはまだ早いかもしれないってことさっ。 森さんが立ち上がった。 「ナルとリンはいないことだし、思い切ってオフィスを閉めて、食事に行こう。おねーさんのオゴリで」 おお、例のニッコリ・スマイル。なんて神々しいんだろう。 「なにが食べたい?」 「オゴリでしたら、なんでも受けてたちます」 「あら、言ったわね」 ポンと背中をはたかれて。 あたしたちは意気揚揚《いきようよう》とオフィスを出た。 外には桜が咲いていた。
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