４５．「～ために・～ように」

 ●「～ために」について

「～ために」は原因・理由を表す｢～ために｣と、目的を表す「～ために」があります。
両方とも次のような文の形をとります。

　　　　　　　　　　　　ために、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

           前文                　　　　　　　　　後文　　　　　　　　(文末)　　　　　　　　　　　　　　　

　　原因・理由を表す従属節　　　　　　　 主節

　　目的を表す従属節

「ため」は(形式)名詞なので、前に来る述語は連体修飾と同じ普通形（「な形容詞」の非過去・肯定では「（不便）なために」、「名詞＋だ」では、「（病気・家族）のために」をとります。

●原因・理由を表す「～ために」

原因・理由を表す「～ために」では、「雪のために」「病気のために」などの「名詞＋のために」の形、また、「雪が降ったために」「家が倒壊したために」のように動詞タ形
「～たために」の形をとることが多いです。原因・理由の「～ために」は書きことばで
用いられることが多い表現です。

１）主節と意志表現

原因・理由を表す「～ために」は、本来、因果関係（原因・理由と結果）や事実関係を
論理的に述べるときに使われます。

　（１）急用ができたために、午後の会議には出られない。

したがって、主節の文末には意志表現はとりません。

　（２）？急用ができたために、午後の会議は休ませてください。

原因・理由を表す「～ために」は「に」を省略しても意味は変わりません。

　（３）ａ．雨が続いたために、作物に被害が出た。

　　　　ｂ．雨が続いたため、作物に被害が出た。

原因・理由を表す「～ために」文では、（１）や（３）のように、後文（主節）にはよくないことが来やすいです。

２）「～ために」節の中の主語は「が」をとります。主節の「主語」は「は・が」の規則にしたがって、「は」をとったり「が」をとったりします。

　（４）マンションが建ったために、部屋に日が射さなくなった。

●目的を表す「～ために」

目的を表す「～ために」では、「自分のために」「家族のために」などの「名詞＋のために」の形、また、「生きるために」「入学するために」のように動詞「辞書形」「～（る）ために」の形をとることが多いです。動詞は意志動詞が来ることが多いです。

次に意志動詞と無意志動詞の例を示します。

意志動詞

　食べる、飲む、買う、書く、読む、聞く、見る、働く、行く、来る、する、勉強する、など（意志動詞とは「－（よ）う形」をとる動詞です。23課参照）

無意志動詞

　ある、困る、要る、こわれる、あく、しまる、見つかる、など

　（５）食べるために働いている。

　（６）英語を勉強するために、英字新聞を買った。

　（７）ITを勉強するために、日本へ来ました。

原因・理由を表す「～ために」と異なり、目的を表す「～ために」では主節の文末に意志表現をとることができます。

　（８）家族を守るために頑張りました。

　（９）家族を守るために頑張ってください。

　（10）家族を守るために頑張れ。

●目的を表す「～ように」

「～ようだ」のところで、例示の「～ように」比況の「～ように」について説明しています。ここでは、目的を表す「～ように」について説明します。

目的を表す「～ように」も、「～ために」と同じように、次のような文の形をとります。

　　　　　　　　　　　　ように、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

           　前文            　　　　　　　　後文　　　　　　　　(文末)　　　　　　　　　　　　　　　

　　　目的を表す従属節　　　　　　　　主節

　（11）日本語の会話が理解できるように、毎日テープを聞いている。

　 (12) 子供が元気に育つように、親は頑張っている。

　 (13) かぜがひどくならないように、薬を飲んで早めに寝よう。

これらの例文でもわかるように、「～ように」はその前に、無意志動詞（可能形や自動詞）、動詞のナイ形が来ることが多いです。これは、「～ように」が「そういう事柄、状況が結果として成立するように」という意味合いを持つからです。「～ために」が意識的に目的達成の意志を表すのに対して、「～ように」は「結果としてそうなることを目的として」という意味を表します。

「～ように」節の中の主語は「～ために」と同じく「が」をとります ((11)～（13）)。

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